世界中から観光客が集まる、京都のアートホテル「BnAホテル」の魅力とは?
京都に位置するBnA Alter Museumは、「アートの中に泊まる」というユニークなコンセプトを持つ宿泊型ミュージアムです。各アーティストが手掛けた客室は、ひとつひとつ異なるアート作品。一晩中アートに浸る、ここでしか味わえない特別な京都滞在をご紹介します。
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目次
- アートの中に滞在する、未知の体験
- BnA Alter Museumとは?
- 宿泊することがアーティストの応援となる
- 思うまま、感じるまま、アーティストの世界に迷い込む
- 「アート」の中に包まれて、あなたは「アート」の一部となる
アートの中に滞在する、未知の体験
「アート」と聞くと、あなたはどんなイメージを持ちますか?
普段から頻繁にアートを鑑賞しに美術館に行く方もいれば、どこか高尚なイメージで近寄りがたい、どんな風に鑑賞すればいいのか分からないと、感じる方もいるかもしれません。
今回、ご紹介するのは、日本で1番アートに近づけるような宿泊体験ができるアートホテル「BnA Alter Museum」。
Museumという名の通り、滞在するすべての部屋がアーティストによって作られた、まさにアートの一部となるような宿泊体験ができるホテルです。
このホテルの大きな魅力の一つが、アートに入り込みながら、そのアーティストの原点やアーティストの思いをオーディオガイドで直接聞けること。作者の世界に入りながら、作者の言葉を聞いた先には、どんな世界が待っているのでしょうか。
BnA Alter Museumとは?
「BnA Alter Museum」が位置するのは、四条河原町や先斗町、祇園など、京都の中心地からほど近い河原町通り沿いに面した場所。賑やかな中心地から少し離れ、人通りが落ち着いたこの場所で異彩を放つ建物があれば、それこそが「BnA Alter Museum」。
細長でスケルトンの外観からは、エッジの効いたアート作品たちが遠目からもはっきりと見えてきます。
この細長でスケルトンの場所の正体は、高さ30m、10階建ての非常階段を使用したギャラースペース「SCG(staircase gallery)」。階段でつながる5つのギャラリースペースで、年一度のペースで企画展が実施されています。
非常階段を上りながら鑑賞する階段型ギャラリーは、アートだけでなく、普段はなかなか見られない京都中心地を一望できる魅力もあります。宿泊者だけでなく、一般来館も可能とのことなので、宿泊前の予習も兼ねて来館することもおすすめですよ。
宿泊することがアーティストの応援となる
ホテルが提供する31部屋、すべての部屋がアート作品となり、同じ部屋は一つもないのがこのホテル最大の魅力。作品テーマが部屋ごとにまったく異なり、どの部屋もアーティストの個性、作品に対する思いの強さに何度も訪れたくなる魅力があります。
アーティストには、ライゾマティクス真鍋大度さんや、ロックバンド「BOREDOMS」のEY∃さん、インスタレーション制作や音響作家でもある梅田哲也さんなど。
そして、このホテルが持つ大きな魅力の一つに、宿泊費の一部がアーティストに還元されるシステムがあります。作品を展示して終わりではなく、継続的にアーティスト支援につながる仕組みは、ホテル、宿泊者、アーティストを優しい循環でつなぐだけではなく、気負わずに入れるホテルからアートに触れることで、アート人口を増やすきっかけとなるかもしれません。
思うまま、感じるまま、アーティストの世界に迷い込む
今回、宿泊した部屋は、904号室「旅の夢 夢の旅」という若手アーティスト河野ルルさんの作品部屋です。
LULU KOUNO:https://lulukouno.studio.site/?fbclid=PAZXh0bgNhZW0CMTEAAabO96fdH2bQLbTBJHJygTnmpD2LMkDezuRFVl5pbpee06n4zye7CkuU1Jc_aem_wAEeZHWUlwT5HQgBNd3EsA
ドアを開けると、眩しいくらいの明るさ。白で塗られた壁には、様々な国の象徴的なイラストや日本らしいシンボルがカラフルで可愛らしいモチーフとしてたくさん描かれています。
足を踏み入れるだけで一瞬で気持ちが明るく、ワクワクするようなこのお部屋にはどんなエピソードが隠れているのでしょうか。
旅の夢 夢の旅
旅の荷物を整理したら、早速オーディオガイドをスタート。
ON THE TRIPのオーディオガイドは、フロントでチェックインする際にダウンロードをするか、備え付けのタブレット端末から聞くこともできます。ガイドは、歌手・アーティストのコムアイさんのナビゲートから始まります。実際に、部屋のコンセプトや、アーティストの思いを部屋の中で聴きながら過ごすと、全く違う体験に様変わり。たとえば、このように始まります。
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904|旅の夢 夢の旅
作家の河野ルルの原点は、長期旅行で辿り着いた先のメキシコ。その旅の中で絵を描き始め、それが彼女の仕事となり、今は絵を描くために世界中を旅している。
彼女が旅で何を見て、何を感じたのか。彼女が体験した旅をあなたも共に感じてみてほしい。この部屋はそんな彼女が見る夢の絵日記なのだ。
旅の中で見てきたもの、感じたことを聞きながら宙に浮いた楕円形のベッドに寝転び、あなたもいつしか、旅の夢・夢の旅へ。
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ガイドに合わせて宙に浮いたベッドに寝転んでみると、波打つ星空に始まり、元気なパイナップル、温泉マーク、足跡、ハートの絵柄など、思い思いに描かれた夢の絵が天井いっぱいに広がります。統一性がないのになぜかまとまって感じるのは、彼女の夢の中だからかと納得してしまいました。部屋に入っただけでは分からない、寝転ぶことで見えてくる世界に気持ちが新たに高まります。
コムアイさんのナビゲートのあとには、河野ルルさんご本人とキュレーターの大黒さんのラジオ形式の対談が始まります。約25分の対談の中では、河野さんが絵を描き出したきっかけやタイトルにつながる「旅」と作家活動のつながりについてなど、赤裸々に語られていきます。
会社員を辞めて世界に飛び出し、最後に辿り着いたメキシコで資金がなくなってしまった河野さん。このタイミングで「壁画を描くことで無料で滞在する」ことを思い付きます。そこから始まる絵描きとしての人生は、未知と奇跡の連続。
自然体でのびのびとした口調から繰り出される、絵に対する情熱からの刺激的なエピソードたちを当たり前のように語るパワフルな行動に驚きながらも、ただ純粋に絵と向き合う純粋さがまさに描いた絵の空気感を体現しているかのよう。
聞いているだけで居心地の良さを感じるのは、囲まれている絵から溢れる「楽しさ」と同じエネルギーだからこそ。アートに包まれながら、作家の言葉を聞くことは、アーティストと融合しているような感覚なのかもしれません。
対談の中から、河野さんが思う作品との触れ合い方について少しご紹介します。きらきらとした楽しさに溢れた対談の全編は、自分の耳で、目で、感覚で、河野さんのアートの中で感じてみてください。
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大黒さん)絵を描いていくときに、テーマに置いていることとか、見る人にこういう感覚になってほしい、みたいなことはありますか?
河野さん)きっと、日本以外にもいろんな国を旅している人が泊まるだろうから、しかもいろんな国の人が。絵を一個一個見て、話のネタになったらいいなというか。その人それぞれで、例えばインドに行ったときの、アメリカに行ったときの思い出は、その人それぞれ違うじゃないですか。
だから例えばガネーシャを見ても、「インドでこんなことがあったよね」「インドに行ってみたいよね」と、人ぞれぞれ話す内容が違うと思うんで。そういう風に、その人その人が絵を見ながら、楽しい会話をしてくれたらいいなと思います。
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「アート」の中に包まれて、あなたは「アート」の一部となる
「旅はアートだ」そんな言葉が浮かんできた904号室の体験。これは、904号室だけでなく、全ての部屋で各々の作家のアートワークに対する気持ちが浮かんでくるのだと思います。
アートの中ですごし、作家の声を聴く新しい宿泊体験。アーティストに内包されるような体験は、あなたの中に眠っている感性が目覚めるかもしれませんよ。
ぜひ、アートの物語を聴きながら、世界でもここだけしかない唯一無二の体験に訪れてください。
JR京都駅から「BnA Alter Museum」への行き方
地下鉄利用の場合(約15分)
烏丸線「京都駅」から「四条駅」で下車、ホテルまで徒歩15分
バス利用の場合(約30分)
【市バス205】
京都駅前バスロータリー 「京都駅前」A2番線から乗車、5駅(約10分)「河原町松原」降車後、ホテルまで徒歩1分
取材協力:BnA Alter Museum
お寺や神社、美術館などの文化財や街にある物語を、地図にマッピングされたスポットをめぐりながら楽しむオーディオガイドアプリを作成しています。 一つ一つのガイドはまるで映画や小説のような心動かす作品とななり、ガイドを聴くことで旅先の理解が深まり、旅の体験がふくらむ。 このアカウントでは、オーディオガイドアプリを活用することで見えてくる、ガイドブックには載っていない日本の魅力、オーディオガイドだからこそ味わえる新しい旅の仕方をご紹介していきます。