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青森県八戸市から福島県相馬市までを結ぶ 1000km の「みちのく潮風トレイル」。 宮古エリアでハイカーをおもてなしし、サポートするトレイルエンジェルの皆さんに、サポートをはじめたきっかけやトレイルの魅力を伺う半年間の企画です。(全4回)
青森県八戸市から福島県相馬市までを結ぶ 1000km の「みちのく潮風トレイル」。宮古市はその中腹で1/10 以上の長さを占めており、アクセスの良さに加え、初心者から上級者まで楽しめるルートが点在します。そんな宮古市や宮古エリアでハイカーをおもてなしし、サポートするトレイルエンジェルの皆さんに、サポートをはじめたきっかけやトレイルの魅力を伺う半年間の企画です。
第1回は、宮古市でスポーツ用品店「志賀スポーツ」を営む志賀鉄太郎さんにインタビューしました。
子どもたちの習い事に付き添った際、待ち時間中に見つけた自然歩道を歩いてみたところ、景色が良い場所にたどり着き、非常に気持ちが良く感動したことを覚えています。その時、見慣れない案内看板を発見し、そこがトレイルの正式ルートだったことを知りました。
その後、自分でルートを調べて歩き始め、歩いた場所の写真や感想を SNS に載せていたところ、いろいろな方と知り合 いになりました。そして、浄土ヶ浜ビジターセンターさん及び名取トレイルセンターさんとの繋がりもでき、トレイルの全線開通を目指した整備活動にお誘いいただきました。私自身、トレイルハイクや登山の経験がなかったからこそ、ビギナー目線でルート整備に参加することができたのではないかなと思います。
トレイルを歩き始めたころは、休みの合間をぬって 1 人で歩いていました。当時はルートがあまり整備されていなかったため、うっそうとした草木の中を不安になりながら歩いた記憶があります。私のような地元民ですら歩くのが怖い、ということは、内陸、県外、さらには海外から来る方にとってはより恐怖心を抱く道になっているのではないかと思ったんです。 そこで、実際自分で歩いた経験を持つ地元民である私がルートの整備に携わり、歩くときに必要な物品の知識などを身に着けておくことで、トレイルを歩くハイカー達にいろいろな情報を伝えられる、つまり彼らに安心してトレイルハイクを楽しんでほしいという想いでやっています。また、宮古ならではの魅力を世界中の方々に伝えられることにも大きなやりがいを感じますね。
さまざまな変化がありました。
まず、お店に置く商品については、トレイルなどのアウトドアに挑戦する方向けのグッズを置くようになりました。カタログの知識だけではなく、自分で試して良かったものを厳選しています。
次に、お店を訪れる方については、県内では内陸の方、県外では関東の方がよくいらっしゃるようになったなぁという印象を受けます。
最後に、自分自身については、初対面の方にも気軽に話しかけられるようになりました。以前、津軽石付近を歩いていた外国人ハイカーの方を偶然見つけ、差し入れをしようと意を決して話しかけたことがあったのですが、トレイルを始める前であれば話しかける勇気はなかったと思います。私自身、トレイルをずっと 1 人で歩いていると、いろいろなことを考えて不安になるという経験をしたことがあって。その時、地元の地域住民の方に「どこから来たの~?」「ハイキング楽しんでね!」などと話しかけられると気がまぎれたというか、嬉しかったことを思い出したんです。なので、自分がされて嬉しかったことを、他者に対してするようになったということですね。
ロングトレイルの本場であるアメリカの方が多くいらっしゃいますね。あとはインドネシアやオーストラリアからの方もいらっしゃいました。皆さんロングトレイルを歩く準備はかなりしっかりしてくれるんでしょうけど、何か足りなくなったりとか、壊れちゃったりとかあるでしょうから。
翻訳アプリを使っています。
ドイツからのお客さんですね。一度お店に来られた時は、言葉がわからなくて声をかけられなかったんですが、数日後、船越半島で偶然再会したんです!お店で声をかけられなかった反省から、家族に翻訳アプリを教えてもらったところだったので、声をかけたところ、ドイツから来ているハイカーさんでした。八戸からスタートし、福島を目指していると。お店には靴を見に来ていたとのことだったので、ちょうど入荷したアメリカのメーカーの靴をご購入いただきました。みちのく潮風トレイルをゴールしたあと、別のトレイルに行くのでそこで履くと聞いていて、後日メールが届いたんですが、それがなんとコロラドトレイルだったんですよ!宮古市の僕が取り寄せたアメリカのメーカーの靴を、ドイツからのハイカーさんが宮古で購入し、アメリカで履くという。面白いなと思いましたね。
まずウォーキングの延長として自然歩道も歩いてみようという方には浄土ヶ浜界隈や休暇村陸中宮古のあたりだと、激しいアップダウンがなく、海もきれいでおすすめです。登山経験がある方には、北へ向かうなら浄土ヶ浜から休暇村陸中宮古。もっと行けるのであれば 1 泊2日で田老まで。少しの上りも大丈夫であれば、南下して白浜漁港から月山まで。階段がきついですが、展望所からの眺めは絶景ですね。上級者向けにはなりますけど、絶対行ってほしいです。
あとは、正式なルートにはなっていませんが、三王岩から 10 分くらいのところにある波打崎。寄り道コースにはなりますが、波が打ちつける様子が見えて解放感があります。
休暇村陸中宮古から田老までの間にある松月浜も静かで綺麗です。海水浴場ではないので、海に入るのは危険ですからやめてほしいですが、波を眺めるにはうってつけのスポットです。
松月浜も休暇村陸中宮古の展望台も、ぜひ冬にも行ってみてほしいです。海の色が濃いので夏とはまたちがった様子を楽しめますよ。
基本的には行動食・補給食・水ですね。それからトレイルに適した靴やブーツ、水筒と帽子です。初心者さんには熊鈴も一応持ってほしいです。まずは短い距離でもいいので歩いてみて、自分に必要なものを知っていくのも大事です。私も相談に乗りますよ!
あとは、最近、潮風トレイルのアクリルスタンドも作ってみました。ぜひこれを持って写真を撮ってほしいですね。
トレイルを歩いて感じたこと、楽しかったことはもちろん、辛かったことも含めて、地元に帰って周りの人に話してほしいですね。宮古のルートならではの思い出、例えば、綺麗な景色、過酷な場所、美味しい物、人の温かみなどなど…実際にトレイルを歩いてみなければわからないことをご家族やご友人に伝えてもらいたい。そのなかで宮古のまちやトレイルハイクに興味を持ってくれる方が 1 人でもいれば嬉しいです。
ビギナー目線を忘れないで、誰でも楽しめるトレイルにしていくことですね。やっぱり知らない土地を歩いているわけですから、不安とか怖さをなるべく感じずに、安心して楽しんでもらいたいです。きついかもしれないけど、素晴らしい景色に出会えたと思ってほしいので。
海を見ながら歩けるロングトレイルは世界的にも珍しいです。ぜひみちのく潮風トレイルを歩きにきてください!
こんにちは!岩手県庁の沿岸地区を担当している岩手県沿岸広域振興局です。北は田野畑村から南は陸前高田市までの沿岸13市町村を担当しています。 2011年3月11日、東日本大震災による巨大な津波がこの地域を襲いました。 甚大な被害を受けましたが、世界中からの支援によって復興のみちのりを歩んでまいりました。 防災教育にも力を入れ、震災遺構や伝承施設も整備されています。ガイドと一緒に歩き、復興の歴史を体験できます。 【北部の名所】 田野畑村には高さ200メートルの断崖が連なる「北山崎」、岩泉町には日本3大鍾乳洞の「龍泉洞」、宮古市には真っ白な石の海岸がさながら浄土のようとうたわれた「浄土ヶ浜」、山田町には穏やかな湾内に浮かぶ大島(おおしま)「通称:オランダ島」と小島(こしま)など、迫力ある絶景が広がります。この地域を楽しむには三陸鉄道がピッタリです。ローカル線に乗ってのんびりと車窓の風景を楽しめます。 【中部の名所】 大槌町には、「ひょうたん島」の愛称で町民に親しまれている「蓬莱島」、 釜石市には現存する日本最古の洋式高炉跡で、 世界遺産に登録されている「橋野鉄鉱山」など 海と山、それぞれを楽しむことができます。 また、この地域は虎舞や鹿子踊りなどの郷土芸能も盛んで、古くから受け継がれてきた伝統を、イベントやお祭りで体感できます。 【南部の名所】 大船渡市には、リアス式海岸の変化に富んだ景観を楽しめる「碁石海岸」、陸前高田市には、津波被害の事実と教訓を発信する「東日本大震災津波伝承館」、住田町には、国内最大級の洞窟内滝を有する鍾乳洞の「滝観洞」など、この地域特有の自然・文化を感じられるスポットがたくさんあります。 雄大な自然がもたらす恵みを楽しみつつ、自然の脅威と共生する知恵と教訓も学ぶことができる地域です。 皆様のお越しをお待ちしております。