旅の準備はじめよう

第2回は田野畑村で洋菓子店「パティスリーフィエルテ」のオーナー髙橋奈々美さんにお話を伺いました。
もともと田野畑村には帰ってくるつもりでした。小学5、6年生のときにテレビでパティシエ特集を見て、パティシエってかっこいいと思ったのですが、それなのにお菓子屋さんは田野畑村にないなと気づいて。ケーキはいつも岩泉町とか普代村とか、宮古市や久慈市のほうで買うものだったのですが、せっかく田野畑村においしい乳製品があるのであれば、いつかはそれを使ってケーキ屋さんをやってみたいなと思っていました。まずは地元から離れて修行を積もうと思い、関東に出て、学びたい分野は全て学べたと感じたタイミングで田野畑村に戻ってきました。
お店をはじめてから、体験村・たのはたネットワークの方と親しくさせていただくようになり、トレイルはそういった交流の中で知りました。
直接的な関わりはまだあまりないのですが、津波の語り部をさせていただいているので、その活動のなかで徐々に関わっていけたらと。
私が高校2年生の 2011 年3月 11 日金曜日、課外活動で海岸清掃をしていた時に東日本大震災が発生しました。清掃がそろそろ終わるときになって、友達が「地震だ」と叫んだんですが、私は全然気づかなくて。しばらく清掃を続けていたら近くの崖が崩れて、土煙に巻き込まれ、全員戻ろうとなったんですね。
戻るといっても、手堀トンネルを2つ抜けてきたところだったので、戻っているときに津波が来たら流されてしまうんじゃないかと。清掃で出たごみを乗せる船も来ていたんですが、全員は乗せられないとなって、山をのぼって逃げることになりました。揺れるたびに柵につかまったり、しゃがんだりしながら、振り落とされないように気をつけながらのぼって、その間にサイレンが鳴り、大津波警報が発令されました。ある程度の高さまでのぼったので一回休もうとしたら、ガイドの人に「ここはさっき崩れた崖のところだから、いつ崩れるかわかんねえぞ」と言われました。みんな全力で走って、机浜番屋のところまで着いたときに海のほうを見たら、水がない。急いでバスに乗り込んで、高いほうまで逃げて、ちょうど海が見えなくなったあたりで、津波の第一波が到達しました。あとから聞いたらバスが発進した1分後に津波が来たみたいです。
明日海外の方が初めて民泊に泊まりに来られます。いま夫が「トイレはここです」っていう表示なんかを作っているところです。
日本の方はもうすでに何度か泊まりにきていて、日本一周をしている方とか。
フランスの方が自転車で来られたことがありました。息子が「自転車かっこいい」って話しかけて、その方も「私、日本語、少し」って言いながら遊んでくれて、最後に一緒に写真を撮ってっていう。そういった交流も時々ありますね。
その時の方は日本語が話せたんですけど、田老の観光ガイドの方に翻訳アプリをおすすめしてもらったので、今後はそれを活用したいと思っています。
田野畑村はとても静かな場所なので、時間がゆっくり過ぎる感じがするというか…。特に都会から来る方々にとっては、忙しい日常から解放され、日々の疲れが取れるような空気感があると思います。また、北山崎をはじめとした海岸線を歩くルートではダイナミックな景色が見られ、自然そのままの迫力を感じることができます。
そして、ハイカーの中にはその土地の食べ物を楽しみにトレイルを歩く方も多いと思いますが、田野畑村には名産品がたくさんあり、特に田野畑ヨーグルトはおすすめです。甘味と酸味のバランスが取れていてとても美味しいですよ。沿岸圏域では岩泉町の岩泉ヨーグルトも有名なので、田野畑村から岩泉町までのトレイルルートを歩きながら両方を食べ比べしてみるのも面白いかもしれません。
お店のおすすめ商品は「生チョコと番屋の塩生キャラメルサンドクッキー」です。田野畑村の海水で作られる番屋の塩は上品な塩味なので、生キャラメルと生チョコとの相性抜群です。最近はイベント等にも出品しているので、是非食べていただきたい商品です!
田野畑村は「何もないからこそ何でもできる」場所だと思っています。田野畑村を舞台にトレイル関係のイベントなどを実施しようとするならば、可能性は無限大なのではないかなと。
先ほどお伝えしたとおり、私の夫が2階で民泊を経営していますので、そこに泊まりつつ田野畑村のルートをじっくり歩く、というのもおすすめです。夫が「ハイカーの方々がトレイルルートを歩きつつ、体験や食事にお金を使えるように、宿泊料はリーズナブルに設定して、今後、この民泊がハイカーをはじめとしたたくさんの方々の触れ合いの場になったら良いなぁ」と話していましたので、皆様のご利用お待ちしております!
田野畑村にはまだ誰にも見つけられていない穴場スポットがたくさんあると思います。村民でも知らないような穴場スポットをアドベンチャー感覚でたくさん見つけて、日本中、そして世界中の人に是非発信してください!
☑スピーカー
山に入るときはスピーカーをスマホに繋げ、好きな音楽を流してクマよけにしています。自然豊かな土地で野生動物が多いので、身を守るためのマストアイテムです!
こんにちは!岩手県庁の沿岸地区を担当している岩手県沿岸広域振興局です。北は田野畑村から南は陸前高田市までの沿岸13市町村を担当しています。 2011年3月11日、東日本大震災による巨大な津波がこの地域を襲いました。 甚大な被害を受けましたが、世界中からの支援によって復興のみちのりを歩んでまいりました。 防災教育にも力を入れ、震災遺構や伝承施設も整備されています。ガイドと一緒に歩き、復興の歴史を体験できます。 【北部の名所】 田野畑村には高さ200メートルの断崖が連なる「北山崎」、岩泉町には日本3大鍾乳洞の「龍泉洞」、宮古市には真っ白な石の海岸がさながら浄土のようとうたわれた「浄土ヶ浜」、山田町には穏やかな湾内に浮かぶ大島(おおしま)「通称:オランダ島」と小島(こしま)など、迫力ある絶景が広がります。この地域を楽しむには三陸鉄道がピッタリです。ローカル線に乗ってのんびりと車窓の風景を楽しめます。 【中部の名所】 大槌町には、「ひょうたん島」の愛称で町民に親しまれている「蓬莱島」、 釜石市には現存する日本最古の洋式高炉跡で、 世界遺産に登録されている「橋野鉄鉱山」など 海と山、それぞれを楽しむことができます。 また、この地域は虎舞や鹿子踊りなどの郷土芸能も盛んで、古くから受け継がれてきた伝統を、イベントやお祭りで体感できます。 【南部の名所】 大船渡市には、リアス式海岸の変化に富んだ景観を楽しめる「碁石海岸」、陸前高田市には、津波被害の事実と教訓を発信する「東日本大震災津波伝承館」、住田町には、国内最大級の洞窟内滝を有する鍾乳洞の「滝観洞」など、この地域特有の自然・文化を感じられるスポットがたくさんあります。 雄大な自然がもたらす恵みを楽しみつつ、自然の脅威と共生する知恵と教訓も学ぶことができる地域です。 皆様のお越しをお待ちしております。