広島で日本の伝統文化を満喫!神話の世界を今に感じる「ひろしま神楽」とは
広島で古くから大切にされてきた伝統芸能「神楽」は近年とくに盛んになり、広島県北部にある安芸高田市をはじめ、広島市内でも神楽の公演を観られる機会が増えています。今回、英語解説付きで観賞できる神楽公演シリーズ「An Evening of Kagura」を紹介します。
あなたの広島観光を完璧にする、伝統芸能「神楽」とは?
平和と文化の街広島には、原爆ドームや平和記念資料館がある平和記念公園、絶景で知られる宮島、平和をテーマにした観光複合施設ORIZURU TOWER、広島の歴史を語る広島城や縮景園など、見逃せないスポットがたくさんあります。
有名な観光スポットのほか、活気あふれる街や商店街を散策したり、名物のお好み焼きや牡蠣を食べたりすることで、日常的な場面でも広島ならではの文化を五感で味わってみるのも楽しいです。
さて、寺社仏閣、歴史遺産、絶景、グルメ、ショッピング、なんでもできる広島観光に足りないものは何でしょう? それは「日本の伝統文化体験」です。
広島で伝統文化を体験するなら「神楽」がオススメ。
神楽は、神々への感謝の心から生まれた日本の伝統的な舞楽で、神社で儀式として披露されています。広島県内では古くから、秋の収穫祭のときに奉納神楽の大会が行われ、県の北部に位置する安芸高田市と安芸太田町、そして北広島町では、現在までその伝統が続いています。
本記事では、広島神楽の魅力とともに、2019年に広島で英語解説付きで見られる神楽の公演を紹介します。
「広島神楽」とは?
広島の文化といえば、最近世界的に注目を集めている「広島神楽」です。数百年の歴史を誇る伝統芸能「神楽」は、優雅な舞や豪華な衣装、そして日本で昔から大切にされてきた伝説を素材にした物語で観客の心を魅了しています。
最近では、広島神楽はパリで発表されたKENZOの2018年春夏コレクションでも登場し、独特のビジュアルと演奏のリズムで場を盛り上げました。
神楽の演目は、日本の神話や伝説を素材にしたストーリーを、エネルギッシュな舞やエンターテインメント性の強い劇で、分かりやすく観客の目の前で展開します。英雄による大蛇や鬼の退治の物語、善と悪の闘い、神々が地上を歩いていた時代の物語などが、鮮やかに、見どころいっぱいの演出で上演されます。
言葉が分からなくても楽しめるシンプルな芸能ですが、日本神話に興味があって、その世界を不自由なく味わいたい方は、広島で英語解説付きの神楽公演を鑑賞できますよ!
英語解説付きの神楽公演「An Evening of Kagura」の魅力
「An Evening of Kagura」は、広島を訪れる旅行者向けに、毎週土曜日(5月12日と6月9日のみ日曜日)の夜19:00より開催される英語解説付きの神楽公演シリーズです。会場は、広島県立美術館地下1Fの講堂と、広島YMCA国際文化ホールです。会場それぞれ20公演ずつで計40公演となります。
開演15分くらい前に来れば、会場で展示されている神楽の豪華な衣装や神楽面を近くから見られます。また、開演前には広島神楽の伝統や特徴を紹介するビデオが会場内で上映されるのでこちらも要チェックです。
公演直前に、当日の演目について司会による英語での解説があり、公演中には舞台の横に置かれている画面でセリフの英訳が流れますので、物語の内容を問題なくフォローできるでしょう。公演後は、観客と出演者が直接やり取りできる機会もあり、神楽について、またはその日の演目について質問することもできます。
あさひがおか神楽団による『土蜘蛛』― 鑑賞レポート
英語解説付きで観賞できる話題の広島神楽を、MATCHAが観に行ってきました! 2018年4月15日に行われた、あさひがおか神楽団による『土蜘蛛』の鑑賞レポートをお届けします。
あさひがおか神楽団は、1987年より広島市の安佐北区を拠点に活動している神楽団で、団員17名のうち8名は神楽を愛する学生です。神楽団のメンバーにとって、神楽は職業ではなく生きがいのひとつ。それぞれ仕事や学業がありつつも、週3回の稽古に通い、神社での祭りや一般公演の舞台に出演しています。
今回、観賞した『土蜘蛛』は、日本で古くから伝わる源頼光(みなもとのらいこう)による土蜘蛛退治の説話を題材にしています。
中世に広まった伝説によると、かつての日本では、怨霊が山の洞窟や地下に住み着く「土蜘蛛」となり、悪行を働いていた時代があったそうです。頼光はその頃活躍していた侍で、すでに英雄として知られていました。あるとき、一人の土蜘蛛が、病床で苦しんでいた頼光に毒の薬を与え、彼を殺そうとします。
病気にも関わらず、頼光は土蜘蛛と戦い、傷を負わせることに成功。その後、頼光の従者が土蜘蛛を追い、「蜘蛛切り」として知られるようになった剣で土蜘蛛を退治した、というお話です。
さて、『土蜘蛛』の物語を、あさひがおか神楽団の舞台で観てみましょう。
最初に登場するのは、神楽囃子という、音楽を演奏する人々です。神楽の音楽は、大太鼓、小太鼓、手打ち鉦、笛の4楽器の生演奏からなります。
公演が始まったら、舞を中心としている神楽においては音楽のリズムがどれほど大事なのかがすぐに分かるでしょう。
次に登場するのは、源頼光の女中(女中:女性の世話係)に扮装した土蜘蛛です。頼光に毒の入った薬を渡してから、土蜘蛛の力がどんどん増し、顔が鬼らしくなります。
役者は早業で、観客の目の前でお面を変えていますよ! 見事な曲芸が続けざまに起こる、ワクワク感あふれる芝居です。
物語の展開はだんだんと速くなり、頼光の従者たちと土蜘蛛の闘いというクライマックスに向かいます。土蜘蛛の糸に絡まった英雄たちの運命は!?
激しい戦いの末、従者は頼光にもらった「蜘蛛切り」という剣で土蜘蛛を切ります。血にまみれた糸を吐いて、土蜘蛛は倒れて姿を消します。
最後に、2人の英雄たちが喜びを表現する舞を舞いますが、2人の姿が回転しながら、みるみるうちに豪華な衣装に早変わりをしているのです! 最後まで驚きに満ちた舞台を、精いっぱいの拍手で見送りたくなります。
神楽の衣装を着けてみよう!公演後は無料の撮影会
公演後は、神楽団のみなさんに質問できる時間があり、そして衣装やお面を着けて写真撮影もできますので、めったにないこの機会をお見逃しなく!
衣装を着たら、その重さにきっと驚くでしょう。20キロもする衣装を着て可憐に舞う役者の技に脱帽。
会場の入り口にある「神楽傳」では、広島神楽のグッズも買えます。おしゃれなTシャツやト―トバッグから、クリアファイル、あらゆる文房具やiPhoneケースまで、品揃えが充実しており、好みに合った記念品がきっと見つかるでしょう。
広島観光がてら神楽を観に行こう!
広島神楽を観たい方は、毎週土曜日(5月12日と6月9日の2回のみ日曜日)19:00より広島県立美術館の地下講堂や広島YMCA国際文化ホールで開催される「An Evening of Kagura」公演に足を運んでみてください。土日でも開催しない場合や、月曜日などその他の曜日でも開催する場合がありますので、詳しい公演情報はAn Evening of Kaguraの公式HPを参照してください。
広島県内で活動している神楽団による演目が観賞できます。公演時間は約45分で、その後の撮影会に参加したい方は自由に気の済むまで参加できます。解説や字幕は英語で、神楽団とのやり取りは英語通訳で行われます。
平日は、広島県民文化センターで毎週水曜日19:00より、「広島神楽」定期公演で2つの演目が鑑賞できます。(※こちらの公演は、一般の観客を対象にしています。そのため字幕の表示はありませんが、英語による演目解説が配布されています。)
また、自然の中で、本物の神楽殿や広い舞台で神楽を観たい方は、広島市より北に向かって車で60分くらいでアクセスできる安芸高田市で公演を観ていただきたいです。神楽のテーマパークとして開かれた神楽門前湯治村では、一年中神楽の公演が楽しめます。
広島観光の際に、日本の伝統的な芸能「神楽」をぜひ味わってみてください。その新鮮さと美しさに心を奪われるでしょう。
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