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タイ人編集者は日本の休日をどう過ごす?1人カラオケからの豚骨ラーメンで決まり!
カラオケが苦手だったのに、今や週一でカラオケに通いつめる筆者。思いっきり歌った後は、濃厚な豚骨と醤油のスープが病みつきになる豚骨醤油ラーメンで英気を養いましょう!
日本在住外国人が過ごす、日本の休日とは
カラオケとラーメン、この言葉を聞いたことがある人は大勢いますよね。 日本を訪れたら、どこへ行ってもカラオケボックスとラーメン屋を目にするはず。これら2つはすっかり日本の文化として定着しています。
実際ラーメンは中国から日本に渡来したものですが、日本人はアレンジを加えて自分たちのものにしました。日本在住6年のタイ人編集者の筆者にとっては、この2つこそ、まるで砂漠のオアシスのごとく、癒しと休息をもたらしてくれる天からの贈り物なのです。
カラオケ:狭い個室の中の異次元空間
故郷のタイにいた頃は、筆者はカラオケに行くのがあまり好きではありませんでした。自分の声を聞くのも嫌だったし、音程も外す音痴だったので、むしろ嫌いだったと言ってもいいくらいです。友人に誘われて行っても、盛り上げ役に徹するのがほとんど。それが日本に来たら、今や最低でも週に一度は歌いに行くほど、すっかりカラオケの虜です。
カラオケは空オーケストラが語源になっています。「空 (Kara)」とは日本語で「中身が無い」という意味で、「オーケストラ(Okesutora) 」は、「Orchestra」を日本語で発音したものです。
それを略してカラオケ。このように言葉を略すのも、日本語の特徴の一つです。例えば「ポケモン(Pokémon)」も、「ポケットモンスター(Pocket Monster)」の略語。
カラオケの発生に関しては、テレビから生まれたなどいくつもの説があります。昔は歌番組で歌う際には楽団による生伴奏が必要で、高額の出演料を払わなければなりませんでした。そこで歌声なしの楽曲の伴奏のみを事前に録音して、本番では再生した楽曲に合わせて歌手が歌うようにして、歌抜き(空)の楽団演奏(オーケストラ)が生まれた、とも言われています。
その後カラオケ機器とマイクを製造する会社が出てきて、お客さんたちに歌ってもらうよう飲食店に設置するようになりました。それが、現在のカラオケボックスへと変化していったのです。
日本のカラオケにあってタイのカラオケにないもの、それは歌をより一層楽しめるさまざまな機能です。例えば、友人が歌う時に入れられる拍手の効果音、男性・女性、はたまた宇宙人の声にまで自在に自分の声を変えられるボイスエフェクト。さらには採点機能や音程を表示してくれる機能、ログインして好きな曲を登録し、友人や全国の人たちと順位を競えるランキングバトル機能まであります。
採点機能があれば、自分がどれだけ歌えているかという指数を得られるので、次回はもっと高得点を取ろうと精進できます。また、音程表示機能のおかげで音痴も少し治りました。
もう一つ、カラオケボックスやファミレスでよく目にするサービスが、無制限の飲み物のセルフサービス、ドリンクバー(Drink Bar)です。その多くはコーラ、炭酸飲料、カルピス(大好き!)、ホットコーヒー、ティーバッグのお茶といったソフトドリンク。時には温かいコーンスープもあり、喉を温めるのにもってこい。
「まねきねこ(Manekineko)」など、外で買ってきた食べものの持ち込みが許可されている店もあります。匂いがきついものでなければ何でもOK。私はハンバーガーを買ってくることが多いです。自分で買うのが面倒くさければ、店のフードメニューを注文することもできます。たこ焼き、パスタ、フライドポテト、カツカレーまでありますよ!
日本人にとってカラオケとは、いくらでも大声で叫べる、日々のストレス解消の場であるという人もいます。そして、友人たちと楽しく騒げる場でもあります。以前、MATCHA編集部でカラオケに行ったことがありますが、皆上手でしたよ。
日本では大抵の場合、一人ずつ選曲してその歌を入れた人が歌い、周りがハモりを入れるスタイル。それはタイも同様です。ですが、つい最近、オーストラリア在住の日本人の友人と話したところ、向こうでは誰かが選曲した歌でもお構いなしに、上がってきた歌を全員で歌うそうです。他の国ではどうしているんでしょうね。
私はカラオケルームに何時間もいなくても、現実世界からトリップできます。余計なことを考えず、目の前の歌にだけ集中すればいい。いわば瞑想の修行のようなものです。
そして、思いっきり歌った後には、ラーメンを食べに行くのがお決まりのコースになっています。
豚骨の香りにハマる!豚骨醤油ラーメン
「一番好きな日本食は?」 。私たちのような日本に住む外国人たちが、もっとも多く聞かれる質問の一つです。
私の場合は何度聞かれても答えは一つ。「せい家」の「らーめん」 (豚骨醤油ラーメン)です。こう答えると、「ラーメンは日本食じゃないよ」と笑われるかもしれません! 大丈夫、私たちにとってラーメンはすでに、進化を遂げた日本の料理になっています。
初めて「せい家」のラーメンを食べたのは、日本に留学に来ていた2008年の頃です。その頃、タイ人にとってラーメンと言えば、皆「8番らーめん」を連想していました。知られていたのは醤油、味噌、塩、豚骨といったベーシックなラーメンで、個人的には味が薄く感じられ、それほどハマってはいませんでした。
それが「せい家」に来てラーメンのスープを一口啜った瞬間、豚骨の香りが口の中いっぱいに広がったのです。初めての味と出会った瞬間でした。しかも値段もリーズナブルで、ほかの店ならラーメン一杯700~800円以上はするところが、なんと1杯500円!
その時に通っていたのは、語学学校に近かった「せい家 蒲田店」です。その後トッピングも試してみるようになりました。写真は大盛りのネギが乗ったネギらーめん。それが白髪ネギとの初めての出会いでした。白髪ネギとは、「白髪 」と「ネギ」、この2つの言葉からできています。
写真を見れば、なぜこの名前がついたのか分かるでしょう。長ネギを白髪のように細く切っているのです。「せい家」では、これに唐辛子を加えて辛みを利かせていて、これがとてもおいしいんです。初めて食べて以来、「ネギらーめん」しか食べなくなりました。
通常麺は太麺ですが、細麺に変えることもできます。 個人的には太麺が食べやすくてオススメ。
さらに「せい家」など豚骨醤油ラーメンスタイルの店の凄いところは、味をお好みにカスタマイズできるところです!
味(Aji) :
うすめ (Usume) / 普通 (Futsu) / 濃いめ (Koime)
油 (Abura) :
少なめ (Sukuname) / 普通 (Futsu) / 多め (Ome)
麺 (Men) :
やわらかめ (Yawarakame) / 普通 (Futsu) / かため (Katame)
通常特に何も注文しなければ、すべてちょうどいい「普通」で出てきます。
せい家 下総中山店
このような豚骨醤油ベースのラーメンは、横浜の「吉村家」が考案したもので、家系ラーメン(Ie-kei Ramen)または横浜ラーメン(Yokohama Ramen)とも呼ばれています。
現在、蒲田店へ行くことはなくなってしまったのですが、運がいいことに今住んでいる千葉にも下総中山店があるので、気軽に「せい家」に行くことができます。その他の支店は「せい家」の公式HPで探してみてくださいね。
いつもせい家のラーメンを食べるたびに、日本に留学に来た頃のことが思い出されます。週末にカラオケで思いっきり歌い、勢いよくラーメンをすすれば、心とお腹が満たされて、それだけで週明けを乗り切る活力になるんです!