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【Ready For Japan! vol.6】シシリアンライス・他人丼・きつねそばって?不思議な名前の日本食
トルコライス、シシリアンライス、他人丼、きつねそば、たぬきそばなど、日本には名前から想像がつきにくい料理がたくさんあります。今回は、不思議な名前をもつ料理とその由来を紹介。覚えておけば、レストランで料理を注文するときに悩まずにすみますよ!
名前から想像ができない日本食
質問です。ナポリタン、トルコライス、シシリアンライスとは、どの国の料理でしょう?
答えは、日本。この国には名前を聞いただけでは想像ができない料理が多数あります。本記事では、不思議な名前をもつ料理の数々とその由来を紹介。知っておけば日本旅行中、レストランで「なんだこれ?」と、メニュー表とにらめっこする時間が減るかもしれません!
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外国の地名がついた料理
最初に紹介するのは、外国の地名がついた料理です。
ナポリタン
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ナポリタンは、ケチャップやピーマン、ハムとともに炒めたパスタです。イタリア料理のような名前ですが、れっきとした日本生まれ。洋食店や喫茶店の定番メニューのひとつでもあります。
発祥は第二次世界大戦後、アメリカの進駐軍に接収されていた横浜の「ホテルニューグランド」。進駐軍が食べていたパスタをみて料理長が考案したと言われています。「スパゲッティ ナポリタン」という名前で、玉ねぎ、トマト、ニンニクなどとともに炒めたパスタでした。名前の由来はフランス料理でトマト味を「ナポリ風(Napolitaine)」と呼ぶことから(※)。
その後、横浜市内の洋食店が高いトマトの代わりにケチャップを使ったことで、ケチャップ味のものが全国に広まりました。普通のパスタよりももっちりとした食感、ケチャップのコクが合わさって、大人も子どもも喜ぶ味です。ホテルニューグランドの「ザ・カフェ」ではいまでもナポリタンを提供しています。
※参照元:ホテルニューグランド公式HP「ホテルニューグランド発祥 スパゲッティナ ポリタン」:https://www.hotel-newgrand.co.jp/origin/#about-origin-neapolitan
トルコライス
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トルコライスは長崎のご当地グルメ。前述のナポリタンとピラフ、トンカツを一皿に盛った、ボリュームたっぷりの料理です。トンカツにデミグラスソースやカレーがかかっていることもあります。
長崎内にあった「レストラン トルコ」にその原型となる料理があったという説や、洋風のナポリタンと中華風のピラフ、和食のトンカツが一度に味わえることから、東洋と西洋にまたがる国・トルコの名前を付けたという説など、由来には諸説あります。
「ツル茶ん」のほか長崎の喫茶店や洋食店、東京の「66DINING 六本木六丁目食堂 浅草EKIMISE店」などでいただけます。
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シシリアンライス
Picture courtesy of 一般社団法人 佐賀県観光連盟
こちらは佐賀のご当地グルメ。白米の上に炒めた牛肉とレタスやトマトなどの生野菜、マヨネーズを盛り付けたもので、カラフルな見た目が特徴です。1975年頃に飲食店のまかない料理として生まれ、その後喫茶店のメニューとして登場しました。
料理の赤・緑・白の色合いがイタリア国旗を連想させること、そして当時流行していた映画「ゴッドファーザー」の舞台がシチリア島だったことからこの名前を付けたという説、また、長崎のトルコライスに対抗して別の地名を付けたという説など、由来はさまざま。
牛肉に濃いめの味付けがされていますが、添えられた野菜のおかげでさっぱりといただけます。佐賀の「アリユメ」、「Restaurant & Cafe 浪漫座」といった洋食店で味わえます。
漢字から想像がつかない料理
次は、とくに漢字の読める中華圏の方が「漢字からどんな料理か想像できない!」と面食らってしまうこともある日本の料理です。
親子丼・他人丼
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親子丼は、白米の上に、鶏肉とたまご、玉ねぎを煮て作った具材が乗った料理のこと。和食チェーン「なか卯」のほかコンビニでも売られている、日本ではポピュラーな食べ物です。
名前を直訳すれば、親(parents)=鶏肉と、子(children)=たまごを乗せた丼もの(bowl)となり、すこし可哀想な気分になりますね。食べてみると甘辛い具材とふわふわのたまごが白米にマッチして、ペロリと完食できそうなおいしさ!
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親子丼のほかに、他人丼というものもあります。これは、鶏肉以外の肉とたまごを煮て白米にかけたもの。鶏肉(親)以外を使っているから他人(others)と名づけられました。日本人のネーミングセンスは不思議ですね、と日本人の筆者も思います。
うどん・そば(きつね・たぬき・月見・力)
街中のいたるところにあるのが、うどんやそばを提供する飲食店です。トッピングの種類が同じことから、うどん・そばの両方を提供する店もあります。
ここで訪日観光客の頭を悩ませるのが、そのメニューです。きつね(fox)、たぬき(raccoon dog)、月見(moon-watching)、力(strength)など、不思議な言葉が並んでいます。これは、うどんやそばのトッピングを示す日本の言い回しです。
きつね
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きつねとは、甘辛く味付けした油揚げ(deep‐fried tofu)のこと。稲荷神社に祀られているキツネの好物が油揚げとされることに由来しています。
たぬき
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たぬきは揚げ玉のことですが、なぜそう呼ばれるようになったのか、由来ははっきりしていません。天ぷらのタネがないという意味の「タネ抜き」がなまったという説や、きつねうどん・そばよりもスープの色が濃く、狸の皮の色のようになることから名付けたという説などがあります。
月見
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月見とはたまごを割り入れたうどんやそばを指します。黄身は月、白身が月にかかる雲のように見えることからこう呼ばれています。生たまごではなく温泉たまごを入れる店もあります。
力
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力とは、餅のこと。日本語の"力持ち"と"餅"をかけたダジャレからこう呼ばれるようになったという説が有力です。腹持ちのよさから、主に男性たちに好まれています。
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まだまだたくさん。不思議な名前の料理を日本で探そう!
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この記事で紹介したもの以外にも、沖縄の炊き込みご飯「ジューシー(juicy)」や、青森県のウニのお吸い物「イチゴ煮(strawberry stew)」など、日本各地に名前からは想像ができない料理があります。
次回の日本旅行では、そんな料理に出会ってみるのも楽しいですよ!
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