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"日本のいいもの"にこだわったSDGsカフェ「新宿ダイアログ」
JR新宿駅から徒歩約7分の場所にあるカフェ「新宿ダイアログ」では、国連の定めるSDGsをテーマに、ベジタリアン・ヴィーガンも食べられる野菜弁当を提供しています。日本で採れたおいしい食材を中心に、飲み物もオーガニックや自家製などにこだわって提供。エコと健康に配慮したカフェです。
"日本のいいもの"にこだわる隠れ家カフェ「新宿ダイアログ」
JR新宿駅から徒歩約7分。落ち着いた通りに面した雑居ビルを見上げると、カラフルなレインボーフラッグに「CAFE」の文字が見えました。
ビル入口の階段を上り、カフェのある2Fへ向かいます。
「こんにちは!」
明るいあいさつで出迎えてくれたのは、オーナーの野村さんと、料理担当のなぎかわさん。ここは「世界のみんなと、ごいっしょに」というコンセプトを掲げ、国連が定めるSDGs(Sustainable Development Goals)をテーマにしたカフェ「新宿ダイアログ」です。
SDGsとは、持続可能でよりよい世界を目指すことを掲げた国際目標のこと。「誰ひとり取り残さない」という理念のもと、「すべての人に健康と福祉を」や「人や国の不平等をなくそう」など、17の目標を掲げています。
※写真は2020年3月時点のメニューです。2020年6月より一部内容が変更となります。
カフェで提供しているメニューは、お客さんの健康を考えて作られているものばかり。動物性の食材は使わず、日本で採れる野菜をメインに使用しています。
今回は、カフェを運営するおふたりにお店の特徴やオススメのメニューをお聞きしました。
国産の野菜をたくさん使ったヴィーガン弁当
訪れた際にぜひ食べてほしいメニューが、日替わりでおかずが変わる野菜弁当(税込800円)。農家さんから届けられる野菜を確認し、毎日なぎかわさんが献立を考えています。
料理の際に気を付けている点は、素材の味をしっかり味わえるよう調理をすること。蒸し料理にして野菜のうまみを引き出したり、素材の味を引き立たせるような調味料と合わせたりなど工夫をしているといいます。
調味料は、醤油や味噌をベースとした日本ならではのものがメイン。ショウガソースやパクチー醤油など、手作りの調味料もあります。
取材時の野菜弁当は5種類のおかずがありました。ニンジンやブロッコリーのネギ味噌和え、歯ごたえのよいシイタケとサトイモの竜田揚げなど、さまざまな味と食感で賑やかな食べ応え。プラス200円で具だくさんの味噌汁も付けられるので、ぜひ一緒に頼んでみてください。
味噌汁はやさしく、具材に懐かしい味がしました。聞いてみると野菜は、私が生まれ育った東京都西部にあるきりり農園さんが育てているもの。その地域周辺でしか採れない野菜「のらぼう菜」が届けられていたのです! 訪れた際には食べたことのない味に出合えるかもしれません。
苦手な野菜がある方は注文時に伝えておきましょう。また、オリエンタルベジタリアン(※1)の方は、訪れる日を決めて事前に連絡しておくと調整してくれます。
※2020年6月上旬より野菜弁当のメニューが変更になり、ヴィーガンの方でも食べられる軽食メニューを提供予定です。
※1:オリエンタルベジタリアン……五葷(ごくん:ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、アサギ)を食べないヴィーガンのこと。
日本のスーパーフード、甘酒を使ったドリンク
ドリンクも、日本のオーガニック食材を用いたメニューが揃っています。自家製の甘酒ティーラテ(税込650円)は、お店の人気メニュー。
甘酒とは、古くから日本で親しまれている白米を原料とした飲み物です。"酒"とありますが、カフェではノンアルコールの甘酒を使用しています。
甘酒と豆乳を混ぜて作られた甘酒ティーラテは、さっぱりとした飲みごこち。ほのかな甘みがあとに残ります。
地球の健康も考えた「新宿ダイアログ」のアイデア
ドリンクを頼んで気になる項目へ寄付しよう!
お店に入ると、壁にかけられた観覧車のようなオブジェに目がいくでしょう。ゴンドラにも見えるケースは17個あり、それぞれにSDGsの目標が書かれています。
「ドリンクを頼むと、代金の50円分を各項目に適した活動団体に寄付できます。注文時にビンのフタを渡すので、興味のある項目を選んで入れてください」と野村さん。
「どこかに寄付をしよう」と思うと、まず17項目すべてを見渡す人が多いはず。そんなふうに、お店を通してSDGsを知るきっかけが作りたいと野村さんは言います。
「項目を見て『どこに入れようか』と考えたり、友人と会話をしたり、SDGsについて気軽に雑談が生まれてくれると嬉しいです」
エコを意識した提供方法
野菜弁当は、何度も使えるタッパーに入れて提供しています。タッパーはフタがついており外への持ち出しも可能。容器がひとつなので洗う時の水の使い過ぎも防げます。
持ち出す際はスタッフに声をかけてください。また、食べ終わったら容器は返却が必要です。持ち出し用に袋も用意しておきましょう。
ドリンクで使用するストローは、繰り返し使えるステンレス製を使用。できる限りゴミを出さない工夫がされています。
不定期イベントでワークショップも開催
カフェの3Fはイベントスペースとして用意されています。ここで不定期に、SDGsやLGBT関連のイベントを行っているそうです。
取材時には、以前イベントで作成したエコバック「あずま袋」を見せてもらいました。
手ぬぐいを針と糸で縫い合わせた袋で、買い物やお弁当を包む時にぴったりなのだとか。糸を外せば元に戻るので、いろいろな使い方ができるそうです。
"友達"に勧めたいものだけを集めて作った「新宿ダイアログ」
健康によい食事はもちろん、社会全体の問題にまで取り組む野村さん。実はこれまでに、4つの飲食店を経営していた経験もあるそうです。
「最初のころは冷凍ポテトを電子レンジで温めて出すような、食べ物にあまりこだわらないお店を運営していました。しかしお客さんと仲よくなっていくうちに、『もっと健康によいものを食べてほしい』と考えるようになったんです」
オープン時にお客さんからもらった花を、ドライフラワーにしてカウンターのインテリアに。
野村さんの中で、お店に来てくれる人がお客さんではなく、"友達"のような意識にだんだんと変わっていったそう。そんな折に無農薬の野菜を作る農家さんに出会い、畑へ連れて行ってもらい、その畑の美しさにとても驚いたと言います。
「想像したこともないほど、畑の土がとてもふわふわしていて、きれいだったんです! 野菜を掘り出して、少し土を掃えばそのまま食べてしまえるほど。そこで食べた野菜がおいしくて、気持ちも楽しくなってしまって。こんな野菜をみんなにも食べてほしいと思いました」
"友達"の健康のためにおいしいものを、と考えてメニューが完成。次第に地球の"健康"についても考えるようになり、SDGsへ関心をもつようになったそう。
「世の中の環境やいい循環について、カフェで楽しく雑談が生まれてくれると嬉しいです。そんな対話が生まれる場所になれればと思っています」
身近な人を大切にした結果、世界中のことも気遣う愛情が生まれるようになった。野村さんの温かい気持ちがカフェの雰囲気を作っているように感じました。
夜はバー「新宿ダイアログ」に変身
カフェの時のカウンターの様子
カフェの時間は17:00までですが、18:00からはお店がバーに変わります。ご自身もトランスジェンダーでLGBT関連の講演も行う瞬(しゅん)さんがバーテンダーとしてお店に立っています。バーの料理はヴィーガン・ベジタリアン対応ではありませんが、ドリンクを頼むと寄付ができる仕組みは同じです。
カフェ・バーどちらも変わらずフレンドリーな空間。ぜひ訪れて、その雰囲気を感じてみてください。
In cooperation with 新宿ダイアログ
MATCHA編集者兼フリーライター。東京生まれ東京育ち東京在住。これまで渡航した国は30か国以上、住んだ県は4県。日本旅行はもうすぐ全都道府県を制覇!「読んだからこそわかるその土地の魅力」が伝えられることを目指して記事を作っています。森とお寺とラクダが好きです。