【熊本】食の王国を体験!山都・南阿蘇・水俣を巡るグルメツアー
食の王国として有名になりつつある熊本県。山都・南阿蘇・水俣の3地域を巡るツアーの様子を紹介します。こだわりのオーガニック野菜や名物の赤牛、和紅茶をいただき、生産者の話を聞きました。記事の末尾には読者だけのプレゼント情報も!
九州のちょうど中央に位置する熊本県。世界有数のカルデラを誇る阿蘇山がシンボルで、熊本は別名、"火の国"とも呼ばれています。
ミネラル豊富な湧水が出ることから、熊本には"水の国"の異名も。そして近年、熊本は"食の王国"としても有名になりつつあります。豊かな自然や生産者の手によって、おいしいオーガニック野菜や赤牛、川魚が育まれているのです。
筆者は今回、山都・南阿蘇・水俣の3地域のグルメを巡るモニターツアーに参加。農場のすぐそばで新鮮な食材を使った料理を味わえる"Farm to table"も体験してきました。本記事では、それらの体験を紹介します。
移動にはバスを利用しました。出発地は2019年にオープンしたばかりの「SAKURA MACHI Kumamoto」併設のバスターミナルです。
館内は149店舗が入店するショッピングモールで、夜ツアーから戻ったあとは買い物や食事を楽しめます。屋上のサクラマチガーデンからは熊本城を見渡せますよ。
消毒用アルコールや加湿器、換気設備が完備されたバスで安心して旅行できました。
熊本の食・フルコースの産地を巡る日帰りバスツアー
次回以降のモニターツアーの内容は変更の可能性があります。
もくじ:
1.山都町の今と未来を繋ぐ「有機農業とグルメの旅」
2.南阿蘇の水の恵み「グルメと絶景を巡る旅」
3.アジアの地中海・水俣「海産物と紅茶を味わう旅」
4.アンケートに答えてプレゼントをGet!
①山都町の今と未来を繋ぐ「有機農業とグルメの旅」
阿蘇山の南部にある山都町(やまとちょう)。カルデラ噴火の際に流れ出た火砕流や火山灰でできた土地、涼しい気候と昼夜の寒暖差、ミネラル豊富な水という、有機農業(農薬や化学肥料に頼らない農業)に最適な条件が揃っています。
町は40年以上前から有機農業に取り組み、いまでは日本で1、2を争う有機農業の先進地となりました。ひとつ目のツアーでは、山都町のオーガニック野菜を味わうだけでなく、地域の農業や文化についても学べます。
プラン:山都町観光文化交流館 やまと文化の森→有機農園「YASKI FARM」→通潤橋→「なかはた農園」のレストラン→いちご狩り
「やまと文化の森」で八朔祭の目玉を観賞
毎年9月、山都町では五穀豊穣を祈って八朔祭り(はっさくまつり)が行われます。250年の歴史をもつ祭りの見どころは、大造り物(おおつくりもん)の引き回し。
大造り物は樹皮や竹、どんぐり、藁など自然の材料で作られています。町では1年かけて素材を集め、およそ40日をかけて大造り物を製作するのだとか。
硬い樹皮や竹を着色せずに用い、人や動物を細密に再現した大造り物は、いまにも動き出しそうで圧巻ですよ。
祭りのあと大造り物は「山都町観光文化交流館 やまと文化の森」に保管されます。祭りの時期以外に訪れても、この大地の立体芸術ともいえる大造り物を目の当たりにできます。
「YASKI FARM」で知る有機農業の魅力
山都町では多くの若者が有機農法に携わっています。「YASKI FARM」の経営者・鳥越さんもそのひとり。仲間とともに、耕作放棄された土地を有機農業で再生しました。
鳥越さんは歌で有機農業の魅力を伝えるミュージシャンとしても活動しています。
「YASKI FARM」は動物たちとの共生の場でもあります。イノシシや鹿が農作物を食べに来ることもある一方、農園ではその動物たちの糞や牛糞・馬糞を肥料にしています。
農園の土壌はもともと鉄、カルシウム、亜鉛などミネラル豊富でしたが、鳥越さんは土壌分析ソフトを用いて土壌改善を実施。栄養豊富でおいしいオーガニック野菜を生産しつづけています。
鳥越さんから有機農業のお話を伺ったあとは、人参の収穫体験です。取材したのは冬。寒さに耐えるため人参は糖分を蓄えるため、いただいた人参は甘くて美味でした。
日本最大のアーチ式水路橋、通潤橋
山都町で必訪のスポットといえば、通潤橋です。長さは75.6メートル、高さ20.2メートルを誇る日本最大のアーチ式水道橋で、国の重要文化財にも指定されています。
通潤橋は江戸時代に水不足解消のために造られました。運がよければ、豪快な放水の様子を見られますよ。
ビニールハウスのレストランで山都町のグルメを味わう
旅の目玉は、「山都でしか」が提供する山都町グルメのフルコースです。
「山都でしか」は山都町の若手農家やシェフたちが立ち上げた会社で、山都町の魅力を広める活動をしています。"でしか"とは、日本語で"ここだけ"という意味です。
この日、いちごを生産する「なかはた農園」のビニールハウスにレストランが開店。ツアー参加者たちは、山都町の山や畑の恵みを堪能しました。
生産者と距離が近いFarm To Tableの食事
ビニールハウスに入ると、藁と木でできたテーブルや椅子が目に止まります。聞こえてくるのは料理の音とジャズ音楽。ワイルドでロマンチックな雰囲気です。
生産者やシェフが料理を運び、食材の特色や調理法について参加者に説明してくれます。
メインディッシュは、ジビエ料理と魚料理から1つをチョイスします。ジビエ料理は山都町で獲れたイノシシのソーセージ。魚料理は山都町産ヤマメの塩焼き。ヤマメは台湾で国宝魚に指定され、大切にされています。
イノシシのソーセージは脂身のコクと歯ごたえが抜群で、ほのかな甘みすら感じます。スパイスは控えめですが、生臭さはまったくありません。
イタリア留学経験のあるシェフがヨーロッパで触れたジビエ料理について話してくれました。ヨーロッパのジビエと異なり、山都町のイノシシは生臭さをとる処理が不要なのだとか。
一方のヤマメはふっくらとした身が特徴。内臓はきれいに処理されています。淡白で甘みがあり、こちらも忘れがたい味です。
散し寿司は山都町産のサクラマスがのった目にも楽しい一品。ヤマメの一種、サクラマスは日本の寒冷地に生息する高級魚ですが、山都町の会社が南国・熊本での養殖に成功しました。
軽く燻製したサクラマスの切り身の上には天然のレッドペッパーパウダーが振り掛けてあり、魚の身が薄いピンク色に染まっています。オレンジ色のサクラマスの卵もたっぷりとのっていますよ。
イクラとは違ってサクラマスの卵は噛み応えがあり、甘みのある上品な味です。これらの具材がアイガモ農法で栽培された米「ひのひかり」の上に重なり、まるで宝石のよう。
このほか、豆だけで作ったコロッケや人参スープなどベジタリアンの方向けの料理もありました。野菜料理は、オーガニック野菜や果物のよさを引き出す調理法で作られていました。
デザートは「なかはた農園」のいちごの食べ放題
フルコースのフィナーレはデザートです。会場となっている「なかはた農園」のいちご畑に行き、いちご狩りをします。
お腹がいっぱいでも心配無用。いちご狩りの前に、いちごの基礎知識や糖度の実験、栽培方法についてのレクチャーの時間があります。
明るく清潔な「なかはた農園」で栽培されているいちごは4品種。酸味と甘みのバランスがちょうどよい「恋みのり」、さわやかな甘さの「ゆうべに」、香り高い「紅ほっぺ」、それに希少品種の「よつぼし」が、20分間食べ放題です。
新鮮ないちごをその場で摘んでたくさん食べることができて、もう幸せいっぱいです。
※季節や日程よって、料理の内容や食材が異なることがあります。
熊本県山都町ツアー
日本の有機農業のパイオニア・山都町をぜひ訪れてみてください。川の幸や山の幸を実際に味わってみましょう。有機野菜の収穫やいちごの食べ放題も体験できますよ。
【山都町コース/熊本桜町バスターミナル発着】
有機野菜の収穫体験、いちご農園でいちご教室&食べ放題ツアー
②南阿蘇の水の恵み「グルメと絶景を巡る旅」
熊本のおいしい水の秘密は阿蘇周辺の地層にあります。噴火後に形成された地層には雨水が染み込み、水は地下深くに流れこみます。そして地層で濾過され、美しく澄んだ湧水が生まれるのです。
ふたつ目のツアーはそんな湧水が自慢の南阿蘇村。パワースポットを訪れ、熊本の名物・赤牛のグルメを味わいます。
プラン:パワースポット「鳥の小塚公園」→白川水源→レストラン「Minaaso マルデン」→道の駅 あそ望の鄉くぎの
受験生のパワースポット「鳥の小塚公園」
最初に向かうのは、パワースポット「鳥の小塚公園」。岩の穴の間に挟まれ、1万年落ちなかった"免(めん)の石"で知られる公園です。
この石は「落ちない石」と呼ばれ、石を"試験に落ちない"縁起物と考えた受験生が、多く参拝に訪れていました。
残念なことに2016年の熊本地震で免の石は落ちてしまいましたが、今度は岩の穴が猫の形になり、また知名度をあげました。
石が落ちたあとも、石が自分の身代わりなって落ちたと考える受験生たちが参拝に訪れています。
公園には、石が落ちる前の免の石を小さなサイズで再現した像が設置されています。像の後方の山には、免の石があった猫の形の穴が見えますよ。まるで1匹の猫が座って阿蘇五岳(※1)の根子岳(ねこだけ)を眺めているよう。
震災前よりも多くの人々が公園を訪れ、この珍しい景観をカメラに納めているそうです。
※1:阿蘇五岳……阿蘇山を形成する5つの山。根子岳・高岳・中岳・烏帽子岳(えぼしだけ)・杵島岳(きしまだけ)の総称。
名水百選に選ばれた「白川水源と白川吉見神社」
次のスポットは「白川吉見神社」。境内に南阿蘇を代表する水源・白川水源をもつ神社です。
水源は古来より不老長寿、諸病退散の御神水とされ、境内には白川水源の守護神・国龍大明神(くにたつだいみょうじん)と罔象女神(みつはのめのかみ)が祀られています。
環境省から「名水百選」にも選ばれた白川水源の水温は14℃前後、透明度が高く池底まで見通せます。深さによって水の青の濃淡が変わり、不思議な景観を作っています。
水源を訪れる前に隣のみやげ店でペットボトルを購入すれば、名水を持ち帰って飲むことができます。
「Minaasoマルデン」で地震後の阿蘇を応援
この日のランチスポットは、あか牛料理で人気のイタリアンレストラン「Minaasoマルデン」。
阿蘇大橋にあった店舗が熊本地震で損壊したため、2017年からキッチンカーでカレーの販売をしました。おいしいカレーは地域の人々から人気だったそう。
地震から3年後の2020年、オーナーシェフの増田さんは「Minaasoマルデン」を新装オープンさせました。新しいストーリーのはじまりです。
平日もお客さんでいっぱいのため、今は予約優先なのだとか。
あか牛は暑さや寒さに強く、阿蘇地帯での放牧に適しています。日本で流通している黒毛和牛と比べてあか牛は赤身が多いのが特徴。肉にはタウリンが豊富で、肝機能改善や血圧を抑える効果も期待できるといいます。
前菜は、真空低温で2週間熟成したあか牛ハム。口に含むと適度な塩味で脂の甘さが引き立ち、歯応えも抜群です。
メインディシュはあか牛の炭火焼です。豆炭を使い炭焼きにすることで、肉の外側はこんがり、内側はきれいなピンクになっています。噛むたびに肉汁が溢れて美味。肉に添えられているのは、土鍋で炊いた南阿蘇産の米「あきげしき米」です。
阿蘇の食材のよさが味わえる、シンプルな味付けがされています。
あか牛以外にもたくさんの料理が出ました。燻製ニジマスにかけられているのは、熊本の醤油メーカーが開発した透明醤油。さらに阿蘇の水で作った透明ゼリーが添えられ、不思議な食感と味を楽しめます。
このほか、地元で採れた野菜を煮込んだイタリアンスープや、阿蘇育ちの牛のミルクを使った白いイタリアンソースパスタなども。牛を食べない方向けにシーフードのメニューも用意されていました。
どれも食べると自然と顔がほころぶ、魔法のような料理でした。
※季節や日程よって、料理の内容や食材が異なることがあります。
熊本県南阿蘇村ツアー
阿蘇の旅行やあか牛に興味のある方はツアーへの参加がオススメ。大草原で飼育されたあか牛のフルコースランチは絶品です!
【南阿蘇コース/熊本桜町バスターミナル発着】
ミネラル豊富な水が生み出したあか牛と草原の体験 ツアー
「道の駅 あそ望の鄉くぎの」で名物の牛乳をいただく
阿蘇で外せないグルメのひとつが新鮮な牛乳です。「道の駅 あそ望の鄉くぎの」では、牛乳や地元で採れた農産物を購入できます。
阿蘇の牛乳は日本ではじめて、優れた味の食品や飲料に贈られる優秀味覚賞の三つ星を獲得しました。
道の駅では、さっぱりしたものから濃厚なものまでいろいろな牛乳が並んでいます。好みのものを見つけて味わってみてください。
③アジアの地中海・水俣「海産物と紅茶を味わう旅」
熊本の南端にある水俣市は、海にぐるっと囲まれた風光明媚なエリア。市が環境保護に力を入れたことから、豊かな自然と海が育んだ新鮮な海産物が名物です。
3つ目のツアーでは水俣地域をめぐります。
プラン:恋路カキ→ランチ「鶴の屋」→「天の製茶園」でお茶摘み・試飲体験
冬限定の恋路カキ
Pictures courtesy of H.I.S
水俣の海・不知火海に浮かぶ恋路島では、「恋路カキ」が養殖されています。綺麗な海水で水俣の漁師さんたちが育てた恋路カキは、小さめながら非常に濃厚な味わい。冬の間だけ道の駅の牡蠣小屋でいただけます。
熊本県水俣・芦北オンラインツアー
水俣・芦北の旅に興味のある方は、オンラインツアーの参加がオススメ。「シェフ特製スープと恋路カキなどのパエリアセット」を自宅に届けてもらえます。オンラインでパエリアの作り方を教えてもらえますよ。
開催日は随時更新されます。
九州の地中海から「シェフ特製スープと恋路カキなどのパエリアセット」
がご自宅に届く♪熊本県水俣・芦北オンラインツアー
里山の旅館「鶴の屋」でいただく名シェフの料理
Pictures courtesy of H.I.S
ランチスポットは、山の中に佇む温泉旅館「湯の鶴迎賓館 鶴の屋」。世界的な工業デザイナー・水戸岡鋭治(みとおかえいじ)氏設計の建物は、周囲の景色に溶け込み、あたりからは鳥やセミの鳴き声まで聞こえてきますよ。
メニューには水俣産の最高級の食材を使い、JR九州の観光列車「肥薩おれんじ鉄道」の料理長・井出シェフが監修しています。
※季節や日程よって、料理の内容や食材が異なることがあります。
「天の製茶園」でいただく和紅茶
Pictures courtesy of H.I.S
地中海型の温暖な気候の水俣では、山間部でお茶の栽培が行われてきました。1956年頃に発生した公害・水俣病により、水俣茶の人気も下がってしまいましたが、市は環境保護に力を尽くし、美しい山と茶畑、綺麗な水がよみがえりました。
Pictures courtesy of H.I.S
今日、水俣では緑茶の茶葉を使った紅茶(和紅茶)の生産が盛んです。ツアーで訪れた「天の製茶園」の主人・天野さんは、1979年から無農薬・化学肥料を使わずにお茶を栽培し、和紅茶を作っています。
天野さんは、熊本で無農薬の和紅茶作りを行う4人のエキスパート"和紅茶四天王"のうちのひとり。店舗では天野さんがどのように自然と共存し、高い品質の和紅茶をつくっているのかを伺えます。
ツアーでは茶摘みや和紅茶の試飲ができました。イギリスの紅茶と違って、渋みの少ないやさしい味わいです。
熊本の風土・人・文化を満喫する旅へ
3つのツアーでは、火の国、水の郷そして食の王国という熊本の3つ魅力を体験できます。興味のある方は、次回開催時に参加して熊本の風土・人・文化をゆっくりと満喫してください。
Written by Lin
Sponsored by 熊本県観光連盟