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日本でもっとも美しい図書館のひとつ、秋田「中嶋記念図書館」
日本でただひとつの「365日24時間眠らない大学の図書館」である中嶋記念図書館。その美しいデザインもさることながら、この図書館には利用者を第一に考えたこだわりに満ちあふれています。
全授業を英語で行い、常に先進的な教育理念を掲げる秋田県(※1)の国際教養大学(通称:AIU)。四方を森に囲まれたキャンパスに佇(たたず)む中嶋記念図書館(なかじまきねんとしょかん)は、日本で唯一の「365日24時間眠らない図書館」です。
※1……秋田県(あきたけん:日本の東北地方の県のひとつで、日本海に面している)
また、一般の利用者も自由に出入りできるため、AIUの学生のみならず秋田市民の憩いの場として親しまれています。
その利便性と美しいデザインもさることながら、図書館には利用者が快適に勉強できるようさまざまな工夫があふれています。
コンセプトは、学生が本と戦う「ブックコロシアム」
2008年に建設された中嶋記念図書館は、ローマの円形競技場コロシアムを彷彿とさせる半円のデザインが特徴です。
学生の学習意欲を奮い立たせるような空間で本と必死に闘ってほしい、という大学側の思いのもと、この「ブックコロシアム」は誕生しました。
国産の秋田杉と傘型屋根(かさがたやね)
photo by Pixta
秋田の自然と伝統を最大限に活かした環境作りを目指し、国産の上質な秋田杉(※2)をふんだんに使用。屋根は秋田の伝統技術を駆使し、パラソルのような円形の傘型屋根構造となっています。
※2……秋田杉(あきたスギ:秋田県内の森林地帯に生息するスギ。高級建築材として有名)
天井を見上げると、秋田杉が傘のように多方面へ広がっています。優しいスギの香りに、心がほっと安らぎます。
勉強に集中できる、「自分だけの」学習スペース
photo by Pixta
いくら周囲が静かでも、勉強中はつい周りの視線や音に気が散ってしまいがち。そこで、中嶋記念図書館は、階段状に連なる書棚の裏に学習スペースを設置しました。
他の利用者が自分の視界に入らないため、誰からも邪魔されることなく勉強に集中できるのです。
利用者のニーズに応えた「椅子」
中嶋記念図書館の3色に分類された椅子には、とっておきの秘密が隠されています。それは座席部分の「高さ」が3種類用意されているということ。
利用者の背丈に応じて、好みの椅子、疲れにくい椅子を選ぶことができます。図書館に長時間滞在する学生を想った心配りです。
蔵書とオンライン・データベース
知の宝庫である図書館に欠かせない「本」の存在。AIUのライブラリーには、計75,000冊の書籍、約200種の雑誌や新聞、約3,000タイトルの視聴覚資料がそろっています。
洋書が全体の約6割を占めるので、日本語の読めない訪日旅行者の方でも楽しんでいただけます。
また、豊富な種類のオンライン・データベースや電子書籍を導入し「情報収集の場」としての存在価値を高めています。
日本全国で14カ所だけ設置を認められた「国連寄託図書館」としての収蔵物や、子どもが喜ぶ「英語の絵本」も自由に閲覧できます。
※3……国連寄託図書館(こくれんきたくとしょかん:国連との契約の下、国連の文書や刊行物を収受、所蔵し、地域の人々に開放している図書館のこと)
中嶋記念図書館の利用方法
さて、冒頭でもお伝えしたように、中嶋記念図書館は一般の利用者でも自由に入館可能です。
24時間の施設利用は在学生と教職員に限られているため、学外の方は利用時間(平日 8:30-22:00、土曜・祝日・長期休暇期間 10:00-18:00、日曜 10:00-22:00)をご確認ください。
また、身分証明書を持参の上、レファレンスデスクで図書利用カードを発行してもらえば、図書の貸し出しもできます。
「大学のシンボル」として学生や秋田市民の知の好奇心を喚起する中嶋記念図書館。
24時間365日開館され、美と機能性が融合されたこの空間は、まさに「生きている図書館」と言えるのではないでしょうか。
皆さんも秋田を訪れた際は、中嶋記念図書館を訪れてAIUのグローバルな教学理念に触れてみてはいかがですか。
※本記事は2015年10月4日に公開した記事をにリライトしました。
ライター
94年生まれ。神戸出身、東京在住。アメリカからの帰国子女。旅、アート、食が大好きな大学生。