旅の準備はじめよう
今さら聞けない!関西と関東の桜もちの違い
四季を表現するデザインや味わいが魅力の和菓子。春の定番といえば「桜もち」です。桜もちは、桜にちんだ伝統的な和菓子です。おもちで餡を包んだものが、塩漬けした桜の葉で巻かれています。特徴的なのはその風味。桜の葉は塩漬けすることで、芳香成分が強くなるそうで、桜もちはハーブのようななんとも落ち着くほんのり甘い香りがします。
四季を表現するデザインや味わいが魅力の和菓子。
春の定番といえば「桜もち」です。 桜もちとは、桜にちなんだ伝統的な和菓子で、ピンクに色付けされたおもちであんこ(※1)を包み、塩漬けした桜の葉でくるんだもの。 特徴的なのはその風味。桜の葉は塩漬けすることで、芳香成分が強くなるそうで、桜もちはハーブのような落ち着くほんのり甘い香りがします。
※1 …あんこ:小豆と砂糖を煮込んだもの。和菓子に使われることが多い。
関東地方で始まった桜もち「長命寺」
そんな桜もちには、実は2つの種類があります。 関東地方で始まった桜もちは、発祥の地となった、墨田区にあるお寺の名前にちなんで「長命寺(ちょうめいじ)」と言います。平らなおもちを餡でくるんだ形をしているのが特徴です。
桜もちの始まり
関東の桜もち、長命寺の始まりは今から300年ほど前。1番初めに桜もちの販売を始めた墨田区向島の老舗「長命寺 桜もち」の創業者が、試しに桜の葉を樽の中に塩漬けにしたことをきっかけに考案されました。
桜の葉で包まれたおもちが、向島にあるお寺、長命寺の門前で、売り出されたといいます。
関西で始まった桜もち「道明寺」
一方。関西地方で始まった桜もちは、「道明寺(どうみょうじ)」と呼ばれ、18世紀の終わり頃、主に関西で親しまれてきました。こちらは、おまんじゅう(※2)のような形で、水に浸し蒸したもち米を干して粗く挽いた「道明寺粉」で餡が包まれています。
道明寺粉は、大阪の道明寺で保存食として食されるようになったのが始まりと言われています。道明寺粉を使った桜もちはつぶつぶとした食感が楽しめるのが特徴です。
見た目だけでなく食感も違う、長命寺と道明寺。昔に比べ、最近はどちらの桜もちも地域に関係なく食べられるようになりました。和菓子店だけでなく、春にはどこのコンビニやスーパーでも見かけるほど日本人に親しまれています。
※2……まんじゅう:小麦粉をこね、中にあんこなどの具を入れて蒸した丸い菓子。
桜の葉は食べていいの?
桜もちを食べるときに、海外の人がまず疑問に思うことといえば「桜の葉ごと食べていいの? それともはがして食べるの?」ということ。
実は、好みでOKです。一緒に食べる場合は、桜の葉の香り、塩味に加え、食感が楽しめます。
とはいえ、桜の葉の香りはおもちについているので、剥がして食べても葉の香りは楽しめます。気になる方は除いて食べても大丈夫です。
ちなみに、桜を表しピンクに色付けされていますが、あえて着色せずに原料のままにこだわっているお店も中にはあります。そんなお店の桜もちは真っ白です。
春に日本を訪れたら、和菓子屋さんはもちろん、スーパーやコンビニで桜もちは購入できます。和の香りを楽しめる桜もち、ぜひ試してみてください。
神奈川県在住。ジャンルを問わず、日本の古き良きスポット・モノを追いかけるライターです。神社仏閣、温泉、老舗酒場、鉄道をはじめとした乗り物、などをテーマに旅を楽しんでいます。旅行以外の趣味はお酒を飲むこと、相撲鑑賞、アート鑑賞、読書。