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日本のことば事典「天狗」
「天狗(てんぐ)」とは、人のような姿でありながら、空を飛んだり人を金縛りにする力を持つとして古くから語られてきた伝説の存在。日本には各地に天狗伝説の残る観光スポットがあります。日本の古典「源氏物語(げんじものがたり)」にも登場する天狗について説明します。
「天狗(てんぐ)」とは、人のような姿でありながら、空を飛んだり人を金縛りにする力を持つとして古くから語られてきた伝説の存在。本記事では、日本の古典「源氏物語(げんじものがたり)」にも登場する天狗についてお話しします。
天狗の源流について
天狗の源流には諸説ありますが、インドから中国に伝わり、中国から日本に伝わってきたとされています。日本では、6世紀頃の「日本書紀」という書物の中で初めて天狗が登場します。中国では、天から地に落ちてきて災いをもたらす不吉な星として、人々に恐れられる自然現象のことを指していました。
天狗とは?
日本では昔、山を別世界ととらえていて、山の中で起こるさまざまな自然現象を天狗の仕業と考えました。また、霊峰と呼ばれる山々には、必ず精霊として天狗がいるのだとも言い伝えられています。当時の人々はさまざまな天狗の姿を想像し、やがて、神として信仰の対象にもするようになります。
天狗の姿
天狗の姿は時代や地域によって異なり、僧侶や童子、鬼の形をしているとされていたこともあります。現在では鼻が大きく赤ら顔で、山伏という修行者の姿をしていて、背中の羽で空を自由に飛び回るというのが一般的な天狗のイメージです。「鼻高(はなたか)天狗」と呼ばれる大きな鼻の天狗や、鳥のようなくちばしを持つ「烏(からす)天狗」「木の葉天狗」などと呼ばれる天狗もいます。インド神話に出てくる「巨鳥ガルダ」を前身とする迦楼羅天(かるらてん)が起源であるという説があるのもうなずけます。
天狗にちなんだ観光スポット
天狗伝説は日本全国各地に存在するため、天狗にちなんだ観光スポットもたくさんありますが、以下、訪日観光客の方々にもアクセスしやすいスポットをご紹介します。
1.「高尾山」(東京都)
新宿から京王線特急なら約45分の高尾山は山登りの人気スポット。天狗伝説で有名です。10種の穀物が入った名物の「天狗団子」や、外はカリッと中はもちもちした「天狗焼き」が販売されています。
2.「大雄山最乗寺」(神奈川県)
大雄山最乗寺(だいゆうざんさいじょうじ)は1394年に了庵という僧が開きました。了庵の死後、その弟子である道了が天狗に変身して寺を守ったとされています。最乗寺では、迫力ある数々の天狗の像を見ることができるでしょう。また、門前の茶屋には天狗の名にちなんだ菓子や軽食が並んでいます。
3.「鞍馬寺」(京都府)
鞍馬寺(くらまでら)は、平安時代の武将・源義経が幼いころにで僧侶になるために修業していた寺院です。武芸を教えたのが鞍馬山に住む鞍馬天狗だったとされており、天狗にちなんだお守りが販売されています。
日本には各地に天狗にまつわる逸話が残っています。あなたが訪れた先に、本記事で紹介したような大きな鼻の男の像があれば、きっとそこには天狗伝説が残っているはず。
メインの観光のあとで、天狗の姿を探してみてください。不思議な出会いが待っているかもしれません。
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