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日本のことば事典「鳥居」
神社にお参りに行くと必ず神社の前にある門のような建造物。それが鳥居(とりい)です。どうして神社には必ず鳥居が設置されているのか、その意味を解説するとともに、素敵な鳥居がある神社をご紹介します。
鳥居とは
神社の入口に建てられた門のような建造物。それが鳥居です。
一般的に二本の柱の上に柱の間隔より長い横木(笠木:かさぎ)を渡し、その下に柱をつなぐ横木(貫:ぬき)を入れた形をしています。数は「1基、2基」と数え、ひとつの参道に複数の鳥居がある場合は、一番外側から「一の鳥居、二の鳥居……」と呼びます。
鳥居の意味
神社は日本の神様がいる空間。鳥居はそんな神域と人間が住む俗界を区画する結界だとされています。つまり、鳥居とは神域への入口なのです。
鳥居の由来
鳥居の由来は諸説あります。一番有力な説は、神話に由来するというもの。
日本神話の中に天岩戸(あまのいわと)というエピソードがあります。太陽神・天照大神が岩でできた洞窟(天岩戸:あまのいわと)に閉じこもり、世界が闇に包まれるというお話です。
物語の中ではその他の神々が、あの手この手で天照大神を岩戸から出そうとします。苦労の末に天照大神は外に出て来るのですが、一連の作戦の一環として神々は岩戸の入り口にあった宿り木に鶏を乗せ鳴かせるのです。
鳥が乗った木の向こうに神様がいるというイメージ。それがそのまま鳥居という建造物になったのだとか。
日本の有名な三鳥居って?
日本に数ある神社、鳥居の中でも特に有名なものを3カ所紹介します。
銅の鳥居(奈良県・金峯山寺)
奈良県吉野郡吉野町にある金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂の表道に建っています。日本の重要文化財に指定されており、高さは8メートルあります。
朱丹の大鳥居(広島県・厳島神社)
広島県廿日市市宮島町にある厳島神社の鳥居です。海中に建つ朱丹の楠造りの鳥居です。現在の鳥居は8代目で1875年に完成したものになります。日本の重要文化財とともに世界遺産にも登録されています。高さ16メートルもある大鳥居です。
宮島と厳島神社については、「 厳島神社だけじゃない。宮島の観光名所まとめ(大聖院、紅葉谷、宮島ロープウェイ、あせび歩道、獅子岩、豊国神社) 」の記事をご覧ください。
石の鳥居(大阪府・四天王寺)
大阪府大阪市天王寺区四天王寺にある鳥居です。1294年にできた日本最古の石造りの大鳥居のひとつとされており、やはり日本の重要文化財に指定されています。高さは8.5メートルあります。
一風変わったユニーク鳥居
定番の鳥居だけでない、独特な形をした鳥居を紹介します。
千本鳥居(京都・伏見稲荷大社)
京都市伏見区にある伏見稲荷大社の鳥居です。ここは神の降臨地である山の入口に当たり、現世から神の坐す幽界への関門として多くの鳥居が建てられたと考えられています。これらの鳥居は江戸時代~明治時代に参拝者の奉納により建てられ始めました。大社全体で約1万基の鳥居があると言われています。
夫婦岩(三重県・二見興玉神社)
三重県伊勢市二見町江にある二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)にある夫婦岩(めおといわ)。こちらは厳密には鳥居ではないのですが、鳥居と同様に神域の結界を表しています。
夫婦岩の先には、水平線から昇る太陽(天照大神)と、沖合700mの海中に鎮まる霊石「興玉神石(おきたましんせき)」があります。夫婦岩はその霊域と人間の世界を結んでいるです。
神域の結界ともいわれている鳥居。ぜひ神社だけでなく鳥居にも注目してみてくださいね。
鳥居と同じく神社の定番である狛犬については「 日本のことば事典 「狛犬」 」の記事を、神社の参拝方法については「 いまさら聞けない 神社の正しい参拝方法 」をご覧ください。
日本への訪日外国人の方が、もっと増えますように!