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日本最大の騎士像を祀る、奈良県「安倍文殊院」の見どころ
奈良県桜井市にある安倍文珠院は、京都府「切戸文珠」と山形県「亀岡文珠」とともに、日本三文珠のひとつに数えられています。文殊とは、知恵をつかさどる仏の次の位の者。安倍文珠院は日本最大の文殊菩薩像があるだけでなく、境内にある金閣浮御堂が美しく、春には桜、秋にはコスモスが咲き乱れます。
安倍文殊院(あべもんじゅいん)とは
安倍文殊院は645年、安倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)によって安倍家の氏寺(※1)として創建されました。
当時は安倍寺(あべでら)または崇敬寺(すうきょうじ)とも呼ばれ、現在の位置より南西300mほどの場所にありました。現在の場所へは、鎌倉時代(1185~1333年)に移されています。
1563年にあった戦いでほぼすべてを焼失してしまいましたが、1665年に本堂と礼堂が再建され、今に至ります。
※1:氏寺(うじでら)……特定の一族の繁栄、祖先の冥福を祈るために作られた寺。「○○家の氏寺」「○○一族の氏寺」などと呼ぶ。現在は一族以外の人でも参拝できる。
写真提供:安倍文殊院
安倍文殊院のご本尊(※2)である文殊菩薩像(もんじゅぼさつぞう)は、高さが7mあり、日本最大の騎士像。右手に智恵の象徴で魔を断ち切る利剣(りけん)、左手に蓮華(れんげ)を持っています。
獅子に乗って4人のお供とともに海を渡るシーンが表現されていることから、「渡海文殊(とかいもんじゅ)」ともよばれており、5体の像すべてが国宝に指定されています。
※2:本尊……寺院などにもっとも大切な信仰の対象として安置される仏像。
奈良生まれの旅好きライター。日本の魅力を世界の人々に伝えていきたいです。