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暮らすように泊まれる神戸の宿「ゲストハウス萬家」で、日本の日常に触れよう
地元の人たちの協力を得て2017年神戸の灘区にオープンしたゲストハウス萬家(マヤ)。お客様の半数は韓国や台湾、欧米など海外から来られています。地元の商店街の食べ歩きツアーや交流スペースでのイベントなど、地域に密着した"ふだん着"の神戸を体験できる素敵な宿です。
何気ない日常を楽しむ宿「ゲストハウス萬家」
画像提供:ゲストハウス萬家
観光目的の旅行スタイルに加えて、「日本に来たら静かな日常の生活を体験してみたい」と思う海外の方も多く見かけます。
今回紹介する「ゲストハウス萬家(マヤ)」は、いつもの日々と変わらない"ふだん着"の神戸を体験できるようなゲストハウス。
神戸の中心部・三宮駅からJRで1駅、約2分ほどで灘(なだ)駅に到着。駅から北東に5分ほど歩いた場所にあります。
建物は住宅地にあった小さな医院をリノベーションしたもので、地元の人たちの協力を得て2017年にオープンしました。
お客さんの半数は韓国や台湾、欧米など海外から。予約サイトや口コミ、ブログ、そして町に住む人からの紹介などで訪れる方が多いそうです。
まずはチェックイン
チェックインタイムは16:00〜22:00。地元の人が利用する店や、紹介されないとわからないスポットなど、チェックイン時にはスタッフが周辺地域の楽しみ方を教えてくれます。
チェックインを済ませたら小さな木のプレートを受け取ります。これが部屋のカギとなります。
数字を合わせるタイプの南京錠は、ドミトリーにあるロッカーのための鍵です。門限が無いので、一度チェックインをすれば帰りが夜遅くなっても大丈夫です。
部屋のタイプはドミトリーと個室の2種類
宿泊する部屋のタイプは、ドミトリーと個室があります。男女混合ドミトリーは6名1室(1泊税込3,300円〜)、女性専用ドミトリーは6名1室(1泊税込3,500円〜)となります。
上の写真は女性専用ドミトリー。山小屋風の三角屋根が可愛いですね。
女性用ドミトリーには、メイクに便利なスペースが用意されています。綿棒やコットン、ウェットティッシュなどのアメニティ。嬉しい気遣いです。
個別のベッドスペースには、清潔な布団、毛布、読書灯、コンセント、カーテン、そして鍵付きの収納ボックスを完備。布団の横には荷物を置くスペースも用意されています。
ドミトリー以外に、シングルルーム、マルチルーム(2〜4名)、ダブルルームがあります。どの部屋もインテリアはシンプルでナチュラル。ゆっくりくつろげる空間です。
料金は使用する人数などにより異なりますので、公式の予約ページから確認してください。
遊び心がいっぱいの共有スペース
1Fには共有のキッチンとダイニングがあり、自炊も可能です。
奥には貝殻のような丸い形のラウンジ。スパイラル型のベンチがあり、食事や読書、交流したり、ひとやすみしたり、自由に過ごせる憩いの場所です。
洗面所やシャワー室(3室)は共用です。女性専用のシャワー室とトイレがあります。シャワーは24時間使用可能ですが、深夜のドライヤー使用は制限があります。チェックイン時に確認してください。
手作り感あふれるインテリアを楽しもう!
手作り感あふれる建物は、内にも外にもさまざまな工夫やしかけがたくさんあります。あちらこちらで「萬家」や「MAYA」を探してみてください。いくつ見つかるでしょうか?
ちなみに「萬家」には「萬(万)のひとが集う場所」という願いが込められており、神戸を象徴する六甲山地の名峰「摩耶山(まやさん)」のMAYAでもあります。摩耶山掬星台からは、素晴らしい神戸の夜景が楽しめます。
以前は小さな診療所だったゲストハウス。診察に使われていた器具も「MAYA」を形作っています。持ち主だった方の思い出を大切にするオーナーの優しさが伝わってきます。
朝ごはんにおいしいパンはいかが?
飲食物の提供はありませんが、朝ごはんや夕食の場所に困ったときは、スタッフの方に相談してみてください。パンの街神戸らしく朝食にオススメのパン屋さんも近くにあります。
ゲストハウスのキッチンにはトースターもあるので、神戸でおいしいと評判の萩原珈琲(1杯200円)と合わせれば、パーフェクトな朝食のできあがり!
クロワッサンを買ったところは、ベーカリーショップ「レマン」。昔ながらのパン屋で、サンドイッチもオススメです。
萬家に泊まって商店街つまみ食いツアーに参加しよう!
徒歩圏内にある水道筋商店街を案内してもらえる「つまみ食いツアー」が不定期で開催されます。
水道筋は、長い歴史を有するアーケード式の活気ある商店街で、地元住民の生活を支える台所のような存在。昔ながらの魚屋、八百屋、豆腐屋、雑貨屋などが並んでいます。
写真左側がゲストハウスのオーナー・朴(ぱく)さん。宿泊客の方と、商店街の方と一緒に撮影しました。
おいしいものを一口味見したり、店主の方々と世間話をしたり、住人になった気分でツアーを楽しんでみてください。費用や開催日の詳細は事前に問い合わせてみてください。
居心地のよさに延泊をするお客さん
朴さん(写真右)に通訳を引き受けていただき、取材時にお会いした韓国からのお客さん(写真左)からお話を伺いました。
5回目の訪日で、神戸に来るのは初めてとのこと。予約サイトや旅のブログを見て、ゲストハウス萬家を見つけたそうです。アットホームなゲストハウスが気に入って、延泊すると話されていました。
笑顔が素敵なオーナー・朴さん
最後に、韓国のご出身であるオーナー・朴さんから開業の経緯や現在取り組んでいらっしゃることついてお伺いしました。
開業のきっかけを伺うと「高校生の頃から日韓学生交流会を通じ、国際交流に興味がありました。その後日本に住むようになり、国や文化が違っても、直接交流することでお互いに理解できると実感しました。
やがて、世界中の旅人が出会い、地域との繋がりも生まれる場所としてゲストハウスを開きたい! と思うようになり、今に至ります」とのこと。
「開業の場所を探しながら、神戸の様々な地域を巡って、商店街コミュニティが元気なこの地域が好きになりました。ただ、最初は知り合いが一人もいなかったので、偶然入ったお店の方から、街づくりに携わっている方を紹介してもらいました。
街中で働いたり、ボランティアをしたり、街との繋がりを深めながら物件を探して、2年後に今の場所が見つかりました」
「開業まで4ヶ月間、地元の方や友人たち、そのまた友達など、のべ300人がペンキ塗りや天井・床張りといったさまざまな作業を手伝ってくれてオープンすることができました。
新しく来た人を快く受け入れてくれる土壌や厚い人情を感じています。その思いに応えて、宿という観点でできることを考え、街を盛り上げるお手伝いをしていきたいと考えています」
こう語る朴さん。その誠実さと情熱が強く印象に残りました。
また、リノベーションに関わっていた人からは「仕事があるので週末だけ手伝っていたけれど、いつの間にか次の週末が待ち遠しくなるほどだった」と、楽しんで作り上げてきた様子をお聞きしました。
人との繋がりを大切にするゲストハウス萬家にぜひご滞在ください。神戸のローカルを楽しみながら、あなたの旅のアルバムが思い出でいっぱいになることでしょう。
取材協力:ゲストハウス萬家
日本文化、特に絵画や工芸品が好き。福岡、京都、大阪、ベルギー、アメリカを経て現在は神戸在住。座右の銘は「住めば都」。