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まるで博物館⁉「PIGMENT」で日本の伝統画材に触れよう!
「PIGMENT」は日本の伝統画材を保管、展示、販売しているラボラトリー。専門家によって彩られた店内、ここでしか手に入らない貴重な画材、美術初心者・上級者ともに楽しめるワークショップなど、こだわりが沢山詰まったPIGMENTの魅力をご紹介します。
まるで博物館のような画材ラボ「PIGMENT」
PIGMENTは、古典製法、最先端の技術、またその両方を組み込んだ希少で良質な画材を揃えている伝統画材ラボです。その数は着色に使う顔料4,500色、30年以上前に作られた古墨(こぼく)200点以上など多数。
店内では商品の並べ方にもこだわりが見られます。どれも博物館のように綺麗に保管・展示しているため、訪れるだけでも楽しい場所です。
フォトジェニックでこだわりに溢れたラボ
内装は建築家・隈研吾氏によるデザインで、竹のすだれ(※1)をイメージしています。最先端な印象の中にも日本の伝統を感じられる建物です。
展示にもこだわりがあり、外からも見えるディスプレイには3、4か月のサイクルでアーティストの方の作品を飾っています。またラボ内のディスプレイには、スタッフの方々が季節にあわせた展示も行います。
※1:すだれ……竹や葦などを編んで作られた日よけの仕切り。主に夏に、窓の外に垂らしたり、立てかけたりして使われている。
所長・画材エキスパートの岩泉さん
日本画をモチーフにしたスタッフの方々の制服も特徴的です。シルクの裏と表から色を足して描かれる日本画から着想を得ており、表の色が裏にも透けて見えていて、その上に水玉模様が描かれていました。
制服はリバーシブルにもなっているとのこと。訪れた際にはぜひスタッフの方に見せてもらってくださいね。
希少な伝統画材の収集と展示
ラボの中では、たくさんの画材がまるでアートの一部かのように美しく展示されており、気に入ったものは購入することができます。さまざまな国の方が自分用、おみやげ用にと手に取って行かれるそうですよ。
スタッフの方々は自身もアーティスト活動や、素材の研究を行ってきた専門家です。相談しながらラボ内を回ってみてください。ここでは代表的な画材を簡単にご説明します。
壁一面に並ぶ4,500色の顔料
店内でもひときわ目をひく壁一面に飾られた顔料。鉱石や水晶などを砕いて作られた「岩絵具(いわえのぐ)」、天然の土などで作られた絵具など色だけではなく種類もさまざまです。
顔料は、絵画に使う絵の具となるのはもちろんのこと、車の塗装や化粧品にも使われています。
形、大きさも多様なはけ・筆
リスやイタチなどの毛を使って作られたはけや筆が、綺麗に並べられています。西洋では1種類の毛で作るのが通例ですが、中国と日本は複数の種類の毛を混ぜて作っているそうです。
博物館のように展示されている硯(すずり)
墨を水で磨るために使われる道具が、硯です。
磨るための道具なら特に質は関係ない、と思われるかもしれませんが、墨が持つ真の色合いを出せるか否かは、硯の質にかかっているといっても過言ではないくらい重要な役割を担っているそうです。
そのほか日本画に必要な画材が多数
そのほかにも、原料や製法にこだわる古墨や、絵の具や墨を固める際に使うにわか、和紙などが集積されていて、どれもスタッフの方々が質のよいものを選んでいます。
ワークショップで伝統画材が持つ奥深さに触れる
PIGMENTは週末にワークショップを開催しており、専門の知識・スキルを持ったスタッフに直接教えてもらえる貴重な経験ができます。ワークショップはこれまで、企業のデザイン部門の研修や大使館のイベントにも招かれたことがあるそうです。
日本画、油絵など回によってワークショップの内容が異なり、今回は初心者でも取り組みやすい水彩絵の具作りを体験させてもらいました。
複数の顔料を選んで絵の具作り
まずは自分が作りたい色をイメージし、スタッフの方と相談しながら混ぜる顔料を選んでいきます。大理石版の上に顔料と、色を定着させる糊材(のりざい)、保存料となるはちみつを出し、ぐるぐると混ぜ合わせていきます。
ワークショップでは、水晶から作られた顔料を使います。水晶はほかにはない白さを持っており、この白をベースに使うことで、かけ合わせる有彩色顔料の色合いがさらに映えます。
水晶を使った自分だけの絵具が作れるなんて特別感がありますよね。
顔料の組み合わせ、糊材の量、混ぜ方によって色合いが変わっていくのを感じることができました。自分で納得できる色合いになったら、完成です。
どれくらいこだわるかによって所要時間は変わるようですが、私は1時時間程で完成しました。作った絵の具はケースに入れて持ち帰ることができます。
この絵の具を使って、水をよく吸う紙とそうでない紙に描いてみると、同じ絵の具でも異なった表情になりました。
これまで絵の具や紙といった素材を意識して美術品を見たことのない方でも、このワークショップを通じて素材が持つ奥深さを体験することができます。
日本にいる間に自分で作った絵の具を使って、母国にはがきを送ってみたり、美術が好きな人へのおみやげにしたりするのもよいですね。
ワークショップの参加方法
ワークショップの開催日、内容は1か月前に予約用HPで発表されます。参加する場合は、事前にチケットの購入が必要になります。
英語でのワークショップを希望される場合は、HPで「Ticket with English Support」を選択して購入してください。
ワークショップを開催していない日でも4人以上であれば個別に設定してもらうこともできるようなので、事前に連絡をしてみてくださいね。
専門家たちの思いに触れられる場所
PIGMENTを手掛けているのは「寺田倉庫」という会社。もともと美術品やワインといった専門性の高い商品を保存・保管する事業を行っていました。現在は保管の概念をさらに深化させ、有形の「モノ」にとどまらず、無形の「文化・伝統」の保存、継承に取り組んでいます。
その取り組みの中で、美術にはかかせない、しかし継承が難しくなってきている画材に着目し、誕生したのがPIGMENTです。ラボ内の至るところでその思いに触れることができました。
最寄り駅はりんかい線、東京モノレールの「天王洲アイル」駅。羽田空港からも東京モノレールで10~20分とアクセス良好のため、旅の日程に組み込みやすいのも魅力的ですよ。
一度足を運んで、貴重な伝統画材、専門家たちの思いに触れてみてくださいね。
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取材協力:寺田倉庫
旅行と食が大好き。日本の良いところをいっぱい知ってもらえますように…❤︎