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日本のことば事典「風鈴」
日本の夏の風物詩のひとつである風鈴。家の軒下などに吊り下げ、風で揺れたときに奏でられる音色を楽しみます。本記事では、日本で風鈴が生まれたわけ、現在日本で風鈴を買える場所などをまとめて紹介しています。
日本の夏の風物詩のひとつである風鈴。家の軒下などに吊り下げ、風で揺れたときに奏でられる音色を楽しみます。
風鈴は、お椀型の外身と、その中にあって音を響かせる舌(ぜつ)、舌にぶら下げる短冊から構成されています。風鈴は、この3つの部品の相乗効果により、美しい音色を奏でるのです。
どうして風鈴を飾るの?
日本では昔から、強い風と共に疫病が流行ると考えられてきました。そこで、疫病を避けたり、魔除けをしたりするため、鐘形の青銅の鈴である風鐸(ふうたく)を飾る風習が生まれました。
風鐸は、強い風で揺れると、カランカランという音を発します。音が鳴っている範囲は聖域と見なされ、災いが避けられると信じられてきました。そこで、気温や湿度の高さゆえ疫病が広がりやすい夏に、風鐸が家の軒先に飾られるようになったのです。
鐘形の鈴は、古来は青銅製。しかし、18世紀ころから、オランダ経由でガラス製法が伝わり、変化が生じます。19世紀に入るとガラス工芸が盛んになり、青銅で作られてきた風鐸に代わって、ガラス製の風鈴が主流となりました。
魔除けや疫病払いのために飾られてきた風鈴ですが、今の日本では、暑い夏に涼しげな音を楽しむ道具として定着しています。風鈴の音を秋に鳴く虫であるスズムシの声に見立て、夏の暑さを乗り越えようとしたという見方もあります。日本の湿度が高く蒸し暑い夏を過ごすための、日本人の知恵から生まれたのが、風鈴であると言えるでしょう。
風鈴の短冊が持つ意味
風鈴を特徴づける部品のひとつが、お椀型の外身の下に吊り下げられた短冊です。風が吹くと、風を受けた短冊が舌を外身に当て、風鈴の音が発せられます。風鈴の魅力は、なんと言っても、弱い風で奏でられる音色。短冊があるからこそ、風鈴の繊細で優しい音色を楽しむことができるのです。
また短冊は、清涼感を高めるうえで、なくてはならない存在です。私たちは、風それ自体の形を目で見ることはできません。そんな風の存在を、視覚的に教えてくれるのが短冊です。微かな風で短冊が揺れると、そこに風があることを感じ取ることができます。それにより、日本の湿気がある猛暑日でも、涼しい気分になれるというわけです。
風鈴はどのように作られる?
ガラス製の風鈴の製法的なベースとなるのが、伝統的なガラス細工です。まず、熱したガラスを、大きめのキャンディーくらいのサイズに膨らませます。次に溶けたガラスを巻き取りながら、外身をお椀型に整えます。空気を入れながら、吊り下げる糸を通すための穴を作り、外身を大きく膨らませます。最後に、外身の内側に絵を描き、風鈴が完成します。
岩手県の伝統工芸である南部鉄器で作られているのが「南部風鈴」。重厚な外観はもちろんのこと、透き通るような鉄の音色は、ガラス製の風鈴とは異なる魅力です。富山県では高岡銅器を使った風鈴が、沖縄では、「琉球ガラス」を使った風鈴が作られるなど、日本各地には地域の伝統と結びついた風鈴が受け継がれています。
風鈴は、小学生の夏休みの工作としても大人気。プラスチックのコップなどを外身にし、オリジナルの風鈴を作るのです。また、お部屋のインテリアとして風鈴を飾る人も少なくありません。自分のこだわりを風鈴に反映させ、部屋の「和」の雰囲気を引き立たせるなど、風鈴の活躍の場はどんどん広がっています。
風鈴を購入するには
ガラスの風鈴を買うなら、その発祥の地である東京がオススメです。老舗の風鈴店のひとつが「篠原風鈴本舗」。都営新宿線の瑞江駅より徒歩12分です。繁忙期を除き、製作過程の見学や風鈴づくり体験ができますので、ぜひお問い合わせください。
また、岩手県の代表的なおみやげである南部鉄器の風鈴を買うなら、奥州市水沢区に立ち寄りましょう。夏に水沢駅に行けば、駅の待合室にたくさんの南部鉄器の風鈴が飾られています。透き通る鉄の音色を満喫しながら、お土産の風鈴を選ぶのもいいですね。
東京観光の際に風鈴を購入したい人は、大阪や東京の百貨店をチェックしてみましょう。夏になると、日本各地の風鈴店が、催事スペースで実演販売を行っている可能性大です。ぜひ、ホームページでイベント情報を確認してみてください。
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