昔ながらの雰囲気が今なお遺る熊本県の名湯「杖立温泉」の魅力を紹介
熊本県小国町には昔ながらの雰囲気が遺る、とても良質なお湯が湧いている温泉地があります。それが今回紹介する「杖立温泉」です。背戸屋巡りという細い路地を歩いたり、地元のプリンを食べたり、魅力がたくさん詰まっている温泉地です。
日本には各地に温泉地があり、そのどれもがそれぞれ違った魅力を持っています。例えば、九州地方にある熊本県小国町には、昔ながらの趣が魅力の温泉地があります。日本人には懐かしく、海外の方には新鮮な、「杖立温泉」です。
杖立温泉とは
「杖立温泉(つえたておんせん)」は、熊本県の北端にあり、大分県との境に位置します。その歴史はなんと、1800年以上も前に遡るのだとか。
杖立温泉の杖立とは、「杖(cane)を立てる(leave behind)」という意味。「杖の助けを借りてやってきた人が、温泉につかって元気になり、帰る時には杖なしで済む」ほど、効能のある温泉であるということです。この名前は、歴史的な高僧である弘法大師空海の詠んだ和歌に由来しています。
杖立温泉の町を歩くと、いたる所から温泉の湯気が立ち上っています。公共の蒸し場(湯気を使って蒸す場所)では、ゆで卵や蒸し野菜を作ることもできます。
杖立温泉のお湯
杖立温泉の温泉の温度は98度もあります。ここまで高温の源泉が湧いている温泉地は、日本全国でもとてもめずらしいです。
お湯は無色透明かつ無臭で、硫黄のような匂いがないのも特徴です。泉質は中性に近い弱アルカリ性で湯ざわりが優しく、天然の保湿成分といわれる「メタケイ酸」を多く含んでいるので、肌なじみが良く、美肌効果があり特に女性に人気です。
杖立温泉は、泉質のよさから昔は2〜3週間も長期滞在する方が珍しくなかったそう。最近では美肌を望む女性客の数が増加しているそうです。
そして、杖立温泉の最大の特徴は「蒸し風呂」です。サウナのように蒸気で体を温める温泉で、現地では「風邪をひいたら蒸し風呂に行けば治る!」と言われており、全身の発汗や血液循環に効果があります。硫黄の成分がある温泉ですと、匂いがこもってしまい蒸し風呂にできません。無臭の杖立温泉だからこそできる独特の入浴方法です。
背戸屋の路地裏散策
杖立温泉の路地裏は「背戸屋(せどや)」と呼ばれ、複雑に入り組んだ迷路のようになっています。かつてそれぞれの店舗や家が少しずつ増改築を繰り返したため、このような複雑な構造になったのだとか。この背戸屋を歩いて回る「背戸屋巡り」も、杖立温泉の楽しみのひとつです。
昔は、この裏路地で子どもたちがかくれんぼをして遊んでいたそうです。初めての方は迷ってしまいますが、地元の子供はどの道がどこに繋がっているのか全部把握しているそうです。表通りとは全く違った雰囲気を楽しむことができます。
また、背戸屋には写真の赤いキャラクターが色々な場所に潜んでいます。これは「つえじい」という、杖立温泉のキャラクターです。背小屋の至る所に、それぞれ違う「つえじい」が隠れているので、背戸屋巡りをしながら探してみてください。
橋がパワースポット?
杖立温泉の中央を流れる杖立川。そこにかかる3つの橋の内、一番下流にある「もみじ橋」は願いが叶う橋とされています。
橋の屋根には、観光客が願いを込めて杉の板を吊るしていました。この板は「絵鯉」と呼ばれる、杖立温泉独特のアイテム。
日本語で鯉と恋は同じように発音するため、もみじ橋の絵鯉は、恋の願いに効き目があるとされています。評判を聞きつけて連日多くの人が訪れる、人気の観光スポットです。
プリンも人気
杖立温泉はプリンも人気があります。杖立温泉では古くから、先述の蒸し場を使って、甘い玉子料理が作られてきました。この名残から現在でも、杖立温泉の旅館やホテルでは、それぞれオリジナルのプリンを作って提供しています。
無料の足湯も
そして、川沿いには無料で入ることができる足湯もあります。背戸屋巡りをしてプリンを食べた後に、ゆっくりと足を休ませるのもオススメです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。熊本県の小国町には、1800年もの歴史がある温泉が今も存在し、温泉好きの方に支持されています。温泉、背戸屋巡り、足湯、プリン、願いが叶う橋など、楽しみがたくさんある杖立温泉に行ってみてはいかがでしょうか。
Information
杖立温泉
住所:熊本県阿蘇郡小国町下城4173-5
電話番号:0967-48-0206
公式HP:杖立温泉