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日本のことば事典「いなり寿司」
日本で昔から親しまれている、庶民的なお寿司の一つである「いなり寿司」。子どもからお年寄りまで大好きな甘辛い味わいが魅力です。「いなり寿司」の特徴や由来、有名店などについてまとめました。
日本食の代表格である「寿司」には、様々な種類があります。本記事はその中でも"魚を使わない寿司"である「いなり寿司」を紹介します。
寿司に関する基本情報は「日本で寿司を楽しむための完全ガイド。人気のお店・ネタの種類・食べ方・注文方法まで」をご覧ください。
いなり寿司とは?
いなり寿司とは甘辛く煮た油揚げ(※1)の中に、酢飯を詰めたお寿司のこと。中身は酢飯そのままの場合もあれば、中にゴマを入れたり、ニンジンやシイタケなどの具材を混ぜ込んでいるタイプもあります。いなり寿司はお寿司の一種ですが、高級店には品揃えをしていないこともあり、庶民向けのお店やテイクアウト専門店などでよく見かけます。片手で手軽に食べられるのも魅力の一つ。
※1:油揚げ……豆腐を油で揚げた食品。そのまま食べるのではなく、様々な料理の食材として使用される。
いなり寿司の由来とは?
全国各地の稲荷神社には、狛犬の代わりに稲荷神の使いであるキツネの像が置かれていることが多く、油揚げやいなり寿司がよく供えられています。古くからキツネの好物はネズミの油揚げと言われてきましたが、殺生はタブーとされたため、大豆でできた油揚げを供えるようになったそうです。その後、稲荷神の恩恵によって収穫できた米を油揚げに詰めるようになったと言われています。そして、いなり寿司、おいなりさん、キツネ寿司などと呼ばれるようになり、日本では昔からたくさんの人に親しまれています。
関東と関西のいなり寿司は違う!
同じ日本であるのに、関東と関西では形や中身などに違いがあります。関東は俵型で、油揚げで酢飯をくるりと包みこむようになっています。一方、関西は三角型で、三角に置いた底の部分から酢飯が見えるようになっています。この形は、キツネの耳や京都の伏見稲荷大社がある稲荷山の形がモチーフとなっているようです。また、関東では中身が酢飯のまま、関西は具が入っていることが多いのも特徴の一つ。
老舗のいなり寿司をご賞味あれ!
高級なネタを使ったお寿司もいいですが、ぜひ庶民的ないなり寿司も食べてみて下さい。小腹が空いた時に手軽に食べられるのでオススメですよ。せっかくなら老舗で伝統のある味を楽しんでくださいね。
・神田志乃多寿司/東京都
1902年創業。いなり寿司好きの人がこぞって通う名店で、江戸の味を堪能できます。都内の有名デパートにも売店があり、本店と同じ商品を販売しています。
住所:東京都千代田区神田淡路町2-2
公式HP:http://www.kanda-shinodasushi.co.jp/frame.htm
・おつな寿司/東京都
1875年創業。オリジナルのいなり寿司は全国に知られているほど有名です。油揚げを裏返して酢飯を包んでいるのが特徴で、柚子の香りが口の中に広がる上品な味わいです。
住所:東京都港区六本木7-14-16 リバースビル1F
公式HP:http://www.otsuna-sushi.com/
・祢ざめ家(ねざめや)/京都府
1540年創業の老舗中の老舗。伏見稲荷大社の裏参道を抜けたところにある風情あるたたずまいが魅力です。天下人である豊臣秀吉が気に入り、屋号を付けたそうです。麻の実(おのみ)の食感がアクセントになっています。
住所:京都市伏見区深草稲荷御前町82
公式HP:http://nezameya.com/
・乙羽(おとわ)/京都府
明治中期(1900年頃)に創業。関西風味の薄味で、女性でも食べやすい小ぶりサイズです。酢飯の中には人参やゴボウ、ゴマなどが入り、関西ならではの味を楽しめます。
住所:京都市中京区新京極通四条上ル中之町565
公式HP:http://kyoto-sushi.jp/member/otowa.html
寿司と言ったら、海外ではまだまだ魚を乗せた握り寿司が有名です。しかしだからこそ、まだあまり知られていない庶民の味、いなり寿司に挑戦してみてください!
日本への訪日外国人の方が、もっと増えますように!