旅の準備はじめよう
【東京】広島や長崎の被爆石に触れられる公園で“平和”について考えよう
日本への旅行を計画する際、東京にも広島にも行きたいと思いつつも、様々な理由で片方にしか行けない方も多いのではないでしょうか。成田空港から都心へ出る際に旅行者がよく利用する電鉄・京成線。そのハブ駅のひとつである「青砥駅」には、広島、長崎の原爆に遭遇した石や建物の一部を、無料で見て触ることができる公園があります。平和について考える機会を唯一の被爆国である日本で体験してみませんか。
青戸平和公園とは
東京都葛飾区の青戸平和公園は、葛飾区が「非核平和都市宣言」したことにより普通の公園から“平和を伝えるための公園”へと生まれ変わりました。公園中央には非核平和祈念塔として、平和の象徴である「鳩を大空に放そうとしている少女の像」があります。
周囲には保育園、公立小学校などがあるため、子どもの声がよく聞こえる公園です。犬の散歩や、体を動かしにくる人もよく見られます。
青戸平和公園の少女像前に、広島と長崎の被爆石が並ぶ
その少女の像の周囲は噴水(夏場のみ子どもの水遊び用に水が流れます)となっています。この平和を象徴する像の目の前にあるのが、長崎や広島の原爆で被爆した建物の一部です。
長崎原爆投下時、被爆した民家のレンガ
少女像に向って左側に、1945年8月9日午前11時2分長崎県に原爆が投下された際、爆心地から190mの位置にあった民家の門「長崎被爆レンガ」の一部があります。こちらのみ倒壊の恐れがあるため触れません。
広島原爆投下後に「生死の境界線」になった橋の縁石
その右側には、1945年8月6日午前8時15分に広島に原爆が投下された際、爆心地から2.2㎞の距離にあった御幸橋(みゆきばし)の縁石があります。渡るか否かで後に「生死の境界線」と呼ばれた、当時人々が殺到した橋でした。
「葛飾原爆被爆者の会」が橋の建て替えに伴い、現地より譲り受けたものだそうです。こちらは触ることも可能なのでぜひ触ってみてください。
近隣の住民が作った折り鶴が並ぶ
また、その左端には、葛飾区の保育園から小学校、中学校、福祉施設より献架された折り鶴(折り紙などの正方形の紙を鶴の形に似せて折ったもの)を供えています。様々な施設名称のタグがつけられていて、平和への教育が地域で活発に行われていることがよくわかります。
信教を問わない祈りの場「原爆犠牲者慰霊碑」
その折り鶴献架台に向って左、少し離れた場所に慰霊碑があります。
こちらは2012年に、品川区の「東海寺」という仏教の寺より譲り受けた被爆石が祀られています。「宗教関係なく公的な場所に慰霊碑とその被爆石を祀りたい」という東京在住の原爆被爆者や遺族たちの長年の意向を、葛飾区が受け入れて実現したものです。
東海寺から寄贈された原爆被爆石
慰霊碑の左側にあるのが、長崎の爆心地真下に流れていた川の護岸石です。爆心地より100mの距離にあったため、熱線を受けた痕跡が見られます。この川には全身火傷を負った人たちが、水を求めて次々飛び込んだそうです。
東大寺から寄贈された広島被爆石
右側にあるのは広島の爆心地から2.3kmの距離にある京橋川に架かっていた橋の縁石です。この縁石のあった橋は、少女像の前にある縁石の橋と同じく、被爆者たちが殺到し大混乱だったそうです。
この2つの石は、直に触ることが可能です。実際に手を触れ、原爆被害や時の流れについて考えてみてください。
青戸平和公園のある青砥ってどんな街?
成田空港から上野や日暮里、もしくは浅草方面へ向かう際、旅行者によく利用されているのが京成電鉄です。京成電鉄の特急は別途料金もかからないので、東京の中心を回る山手線駅と連結している日暮里駅まで1,030円で到着できます。特急料金がいるスカイライナーやJR線成田エクスプレスより半額以下とかなりリーズナブルです。
この京成電鉄の特急が停車する数少ない駅の一つが「青砥駅」です。東京の下町、葛飾区にあるこの駅はハブ駅となっていて、ここから“上野・日暮里方面”と、“押上(スカイツリー)・浅草方面”に分岐するため、ホームに降りる人が多いのも特徴です。
青戸平和公園は京成電鉄青砥駅から徒歩8分
青砥駅は改札が一つだけとわかりやすく、その改札を出たらすぐに右に曲がり階段を下ります。下りると、右側に賑やかな商店街が見えます。
この商店街の道をただただまっすぐ進むこと8分で、青戸平和公園に到着することができます。とても分かりやすい道です。
ちょっと寄り道するならオススメ2店
地元で大人気の老舗揚げ煎餅店「杉戸せんべい」
青砥駅から青戸平和公園へ向かい始めて徒歩3分あたりで現れるのが、創業90年の揚げ煎餅店「杉戸煎餅」です。三週間かけて作った生地を店の裏で揚げています。一番人気の揚げかき餅は1袋400円。遠方からもファンが買いに来るほど人気なのでおみやげにオススメです。
500円で食べられる地元で人気のラーメン店「JOMA」
青戸平和公園の斜め前にある真っ黒の建物が「JOMA」というラーメン店です。近所の学校の先生も給食のない日に食べに来るとか。人気の醤油ラーメンは500円で食べられ、他にも、味噌、塩、つけ麺などがあります。
おわりに
いかがでしたか? 青砥平和公園を散策して平和について考えるのも、日本でできる貴重な体験です。東京に来た際は、ぜひ途中下車して散策を楽しみながら立ち寄ってみてください。
Webライター。東京都葛飾区在住。実家の最寄り駅である京都駅近辺や、葛飾区の魅力ある場所を見つけてご紹介したいと思います。現在の趣味はゲームアプリで世界中の人とUNOをすること!