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「仙台光原社」ーー職人の愛情が詰まった手仕事品のお店
東北地方の宮城県仙台市には、日本や世界各地の手仕事品を販売するお店「仙台光原社」があります。ひとつひとつ職人さんの手でていねいに作られた商品は、機械で作られた製品にはない温かさをもっています。中には100歳近い方が作られた商品も。本記事では、愛情がたっぷり込められた、仙台光原社にある手仕事品を紹介します。
温もりのある手仕事品が揃う「仙台光原社」
東北地方の玄関口、仙台市に、ツタの伸びた洋館のようなお店「仙台光原社」があります。ここでは店主の及川陽一郎(おいかわ よういちろう)さんが集めた、日本各地の職人さんによる手仕事品を販売しています。
手仕事品とは、職人さんが手作業で作る品物のこと。ひとつひとつ丁寧に作られた手仕事品には、大量生産された機械製品にはない温かさが感じられます。
仙台光原社は、岩手県にある「光原社」の支店として始まりました。岩手県「光原社」の始まりは、及川さんの曽祖父、及川四郎(おいかわ しろう)さんが仲間たちとビジネスを始めたことがきっかけ。
日本で有名な童話作家、宮沢賢治の代表作『注文の多い料理店』を出版しています。そのあと四郎さんの興味が手仕事品へと移り、今の店舗形態に落ち着いたそうです。
趣のある外観や店内の雰囲気に惹かれ、一体どんなお店なのだろうと足を運びました。
各地から集められた商品がたくさん
店内は二階建て。1Fは陶器を中心とした手仕事品が並んでいます。2Fは洋服や染物、布製品がメイン。
商品はすべて、職人さんに直接お会いしたあとに、買い付けを行っているそうです。「これはどんな商品ですか」と聞くと、その商品とセットで作った人の名前がすぐ出てきました。作り手の顔がわかる商品が並び、商品に込められた愛情も伝わってくるようです。
仙台光原社には日本国内だけでなく、海外の手仕事品もディスプレイされています。どれも店主の及川陽一郎さんが魅力に感じ、お店に置きたいとおもったもののみ。今回は、こだわりの商品の中から特に印象に残ったものを紹介します。
型染で作られたこだわりの品々
石北有美さんの作るバッグやコースター
写真左上バッグ:7,000円(税抜)、写真左から2番目のバッグ:18,000円(税抜)
オススメは何ですか? と聞いたときに、一番最初に紹介してくれたのが、壁にかけられたバッグ。広島県に住む型染の染色家・石北有美(いしきた ゆみ)さんの作品です。
型染とは、切り取った型紙を置いて染色し、模様を作る技法のこと。
及川さんは、彼女の作品を初めて見たときのことをこう話します。「染物でピンとくる商品になかなか出会えなかったのですが、これは直感でいいなと思いました。普段使ってもらえそうな、日常になじみやすいデザインにも惹かれました」。
石北さんの商品は、ほかにもコースター(税抜1,000円)や布もあります。鮮やかな色が魅力的ですね。
作者は96歳!柚木沙弥郎さんの作品
布:2メートル13,800円(税抜)
また、こちらは柚木沙弥郎(ゆのきさめろう)さんの作品。民族模様のような、独特な絵がとても印象的でした。柚木沙弥郎さんの年齢は、現在96歳! 今でも現役で活躍されているのだそうです。
手作り感が可愛いブローチ
目に入った途端、思わず手に取りたくなる可愛いブローチ(税抜1,500円/1個)。愛媛県在住のイラストレーター兼銅版画家、村上千彩(むらかみ ちさ)さんの作品です。
光原社ではもともと、村上さんが描いた額の絵のみを置いていたそう。「ある時、『ブローチを作りました』と見せてくれたものが可愛かったので、販売してみることにしました。するとすぐに人気が出たので、引き続き置かせてもらってます」と話してくれました。
個性的な陶器の品々
1Fで目に留まるのは、さまざまな形をした陶器。お皿や茶碗など種類もいくつかありますが、目線の位置の置かれたマグカップは手に取ってじっくり眺めたくなります。
飲み口が少し広がったマグカップ(税抜3,600円)は、島根県で陶磁器を作る森山雅夫(もりやままさお)さんの作品。「今、人気の作家さんなんです」と教えていただきました。
少し緑色が混ざったような青をしており、横に一本の線と、波のような白い模様があります。少しゴツゴツした手触りは、森山さんが作る様子を想像させてくれました。
日本の伝統を受け継いだ商品も
上の写真は、江戸時代に青森県弘前(ひろさき)市周辺で発達した刺繍技法「こぎん刺し」を用いて作られた商品。発達した当時は麻布を用いた着物が多く、風を通してしまう麻では冬が寒かったそう。そこに木綿糸を使い模様を作ることで、保温性を保てるようにしたそうです。
商品はポーチ(税抜3,200円)やペンケース(税抜2,500円)、がま口の財布(税抜2,180円)など。どれもほかでは見かけない、個性的な模様をしています。
また、野菜などの食べ物や、小物を置くのに使える「ざる」も、昔の日本人には身近にある商品でした。しかし今では作り手が減っていってしまい、日常でざるを使う人も少なくなってきています。
野菜を置くと、夏は涼しく、冬は温かく感じられるような見た目。また水切り用の道具や、そのままお皿としても使えて万能です。
店内を見渡すと、小物入れとして活用されていました。何個かまとめて使うと可愛いですね。
終わりに
「手仕事品のよさは?」と言われると、少し迷ってしまうかもしれません。機械で作られた商品も、安くて便利なものはもちろん多いからです。
けれど、手仕事品がたくさん並べられた店内に入ると、普段のお店では感じられない居心地のよさがありました。最初に抱いた趣のある雰囲気も、一層強く感じられます。それらはきっと、たくさんの愛情をこめて作られた手仕事品によって作られているのかもしれません。
ぜひ1度訪れて、その雰囲気を感じに行ってみてください。
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In cooperation with 株式会社光原社 仙台店
MATCHA編集者兼フリーライター。東京生まれ東京育ち東京在住。これまで渡航した国は30か国以上、住んだ県は4県。日本旅行はもうすぐ全都道府県を制覇!「読んだからこそわかるその土地の魅力」が伝えられることを目指して記事を作っています。森とお寺とラクダが好きです。