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日本の自動販売機ガイド——使い方とあまり知られていないお話
自動販売機は日本全国、どこに行ってもあると言っていいでしょう。どんな種類の飲み物や製品が買えるのか、この便利な機械をどう使えばいいのかをご説明しましょう。自動販売機にまつわる話や、自動販売機で買えるちょっと変わった製品もご紹介します。
便利でどこにでもある自動販売機
日本の自動販売機を使ったり、話に聞いたことはあるでしょうか? 自動販売機は世界のあらゆる場所にありますが、このとびきり便利な機械は、とにかく日本にはあふれるほどあります。
全国で飲み物の自動販売機はおよそ247万台あり、国土に対するその密度は世界随一です。なんと、富士山の頂上にもあるのです。
日本にはどうしてこれほど多くの自動販売機があるのでしょうか? 自動販売機ではどんな種類の飲み物が買えるのでしょうか。また、一風変わった自動販売機もご紹介しましょう。
日本での誕生と成功
コーヒー、ミルクなどの飲み物が買える、JR秋葉原駅の自動販売機コーナー
ほかの国に比べて、日本にこれほど多くの自動販売機があるのにはいくつかの理由があります。歴史を辿れば、自動販売機は1960年代に登場しました。
自動販売機が成功をおさめたのには、日本の犯罪発生率の低さが関係していると考えられています。加えて、1967年に100円硬貨が再鋳造されて数が増えたおかげで、自動販売機がさらに利用しやすくなりました。
自動販売機が存在しつづけている主な要因としては、ほかに人口密度の高さと、就業人口の点から考えての利便性があります。
自動販売機は24時間稼働していて、開いている店がない時間帯でも簡単に喉がうるおすことができます。それにコンビニエンスストアとは違って、商品を売る従業員がいないため、低コストで動かすことができます。
自動販売機の使い方
日本の自動販売機は操作が簡単ですが、その多くには使い方や飲み物について英語で説明が書かれていません。初めて使う方は、ちょっと戸惑うかもしれません。使い方を簡単にご説明しましょう。
1. お金を入れる
日本の自動販売機について、まず覚えておかなければならないのは、最初にお金を入れるということです。お金を入れると、ライトが点灯します。使えるお金は、1,000円札、500円および100円、50円、10円の各硬貨です。5円と1円硬貨と、1,000円札以外の紙幣は使えません。
電車の駅には、タッチパネル式ディスプレイの自動販売機が置かれているところもあります。支払いは現金でもできますが、各種のプリペイド式ICカードも利用することができます。カードをタッチさせてから、商品を選びます。
2. 飲み物を選ぶ
料金を投入したら、欲しい飲み物の下にあるボタンを押してください。冷たい飲み物も温かい飲み物も売っています (温かい飲み物は秋と冬のみです)。
上の写真は、水やソフトドリンク、エナジードリンク、ジュース、お茶、缶コーヒーなど、冷たい飲み物と温かい飲み物が売られている自動販売機です。たいていどの自動販売機もこういった品揃えですが、商品や値段は販売機によって異なります。
漢字が読めないと、欲しい飲み物を買うのが難しいかもしれません。また、何が売られているのかもわかりづらいかもしれません。たとえば、水に見える飲み物が味つきだったり、炭酸飲料だったりする場合もあります。
それに、どのコーヒーにミルクと砂糖がはいっているのかもよくわからないでしょう。以下は、一般的な飲み物の一覧表です。
一般的な表示 | 意味 |
水 | Water |
ジュース | Juice |
お茶, 御茶, 緑茶 | Green tea |
コーヒー | Coffee |
ミルクティー | Milk tea |
麦茶 | Barley tea |
ココア | Cocoa |
砂糖, 微糖 | Contains sugar; reduced sugar |
無糖 or ブラック | No sugar, black (coffee) |
3. お釣りをお忘れなく!
欲しい飲み物を選んだら、下部にある取出口から製品を取り出し、お釣りを取りましょう。お釣りを取り忘れる人がよくいますが、返却口(上の写真)にコインが落ちると音がします。
温かい飲み物を買った場合は、容器が熱くなっているので取り出すときに気をつけてください。では、蓋をあけて、喉をうるおしましょう!
売り切れの飲み物と節約術
売り切れの抹茶豆乳
めったにありませんが、飲み物を選んでボタンを押しても、機械がまったく反応しないことがあります。ボタンが赤く光っていたり、上のような表示が出ている場合、売り切れです。
同じ製品が複数なければ、ほかの飲み物を選ぶか、返却レバーを押してお金を戻しましょう。お金が戻らなければ、機械が故障している可能性があります。
また、価格は自動販売機によって異なります。たとえば同じ飲み物でも、駅のプラットフォームで買うよりも、駅の外にある自動販売機で買うほうが安い場合があります。それに100円自動販売機(上の写真)では、すべて、またはほとんどの飲み物が100円で買えます。
変わり種の自動販売機
おでん缶やスナック菓子
自動販売機は、ここまでにご紹介したような飲み物を売っているものが一般的ですが、変わったものを売っている場合もあります。
上の写真は、秋葉原の自動販売機コーナーにある自販機です。缶入りのおでん (右上)が売られています。ポテトチップスのようなスナック菓子が並んでいる自動販売機もあります。
ビールや出汁
驚くことに、アルコール飲料も売られています。東京や大阪のような大都市だけでなく地方でも、ビールやカクテル、さらには日本酒が売られている自動販売機を目にすることがあります。
日本の法律で飲酒が認められているのは20歳以上なので、アルコール飲料を買うには身分証明書が必要です。
観光客に人気の浅草には、出汁 (スープストック)を売っている自動販売機があります。これはアゴという魚と昆布からとった高級な出汁です。なんと、中にはアゴが入っているんですよ! 出汁はスープや日本料理を作るときに使うものなので、そのまま飲まないでくださいね。
自動販売機のホスピタリティ
自動販売機は日本の日常生活になくてはならないものです。1日24時間利用できる自動販売機の便利さと信頼性は、日本の文化や社会のさまざまな面を反映していると言えるでしょう。
ぜひ、実際に自動販売機で清涼飲料水を買ってみてください。この記事で紹介したもの以外にも、いろいろな種類の飲み物や食べ物が売られていますよ。ご自身の目で探してみてくださいね!
※本記事は英語版の記事を翻訳・再編集したものです。
アメリカ・南カリフォルニア生まれ、現在大阪在住のちょっと不思議な子。大学の経済学科を卒業後、JETプログラムで兵庫県で英語教育に携わってから、日本で就職を決めました。
アメリカ・カナダ大学連合 日本研究センターの10カ月間のプログラム卒業。ヴィーガンで、日本文化に夢中。左利き。関西が特に好きです!