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おいしい食べ物を片手に散策!十条銀座商店街で東京にあるローカルな日常を味わおう
東京の有名観光スポットはすでに行ってしまった? そんな方は東京都民が日常的に使う場所で、お手ごろ価格のグルメ散策はいかがでしょうか。本記事では、王道の観光地とは一味違う雰囲気が味わえる、東京北区の「十条銀座商店街」を紹介します。
十条銀座商店街で東京のローカルな雰囲気を感じよう
東京観光というと、お洒落な店舗が連なるショッピングエリアや、天を貫くような高層ビルが立ち並ぶビジネス街をイメージする方が多いのではないでしょうか? しかし、これらは東京のほんの一部にすぎません。
東京は、今も昔も変わらず人々が生活を送る街でもあります。有名な観光地や都心のビジネス街からちょっと足を伸ばしてみると、東京がもっているローカルな一面に出合うことができますよ。
「商店街 」と呼ばれる住宅街の中の買い物スポットは、東京や日本のことをもっと知りたいという人たちに紹介したい場所のひとつです 。
十条銀座商店街と共に50年以上営まれてきた都民の生活
今回は、東京北部の住宅街、JR埼京線の十条駅にお連れします。渋谷、新宿、池袋から直通で行け、乗車時間も5~25分程度の場所です。
駅の北口を背にして右側に十条銀座商店街のアーケードが見えます。
アーケードに入ると、飲食店、八百屋、お菓子屋、スーパーマーケット、 100円ショップ、日用品店、衣料品店、眼鏡・時計店、リサイクルショップなど、たくさんの商店が通りの両側にずらりと並んでいます。
中でも絶対に外せないのが、今回私たちが堪能する「総菜店」です!
散策の前に、まずは商店街振興組合の事務局長・石井博(いしい ひろし)さんにお会いして、地域に根付く商店街について伺いました。
十条銀座商店街の正式な歴史は、今から82年前にさかのぼります。1938年8月に商業組合が発足、アーケードは1977年3月に設置されたと記録されています。
「しかし実際には、約100年前から商店が集まり、この近辺に住む人々の買い物の場になったそうです」と石井さん。
1923年に発生した関東大震災を機に引っ越してきた人たちが、商店を開き、賑わっていったと言われています。
移ろいゆく時の流れの中で、お店やそこに住む人々も変わっていくもの。
商店街でもっとも長い歴史をもつお店は、創業50~60年の老舗の魚屋「魚鈴(うおすず)」です。次第に小さなスーパーマーケットが商店街に現れ、100円ショップも営業するようになりました。創業時から代々引き継がれてきたお店も、新たな経営者の手に渡ることもあります。
最近は外国籍の住民も増えてきて、十条商店街の中にも外国籍の店員や毎日の食事を買い求める姿を目にします。
地元民の御用達グルメをお手ごろ価格で食べ歩き!
それでは、十条銀座商店街の散策にご案内します。ここは総菜をはじめとした食べ物がリーズナブルな価格で買えることでも有名です。
事務局長の石井さんも「食べ歩きは十条銀座の魅力を手軽に、かつ楽しく体験できます」とオススメしてくれました。
ミート・デリカ塩家
十条駅からアーケードをくぐって少し行くと、右手に「ミート・デリカ塩家」が見えてきます。
この店では揚げ物が有名ですが、ほかにもサラダ、ローストビーフ、豚チャーシュー、お弁当など種類が豊富。また店内では調理用の精肉も販売しています。
揚げ物は大きなケースの中でバラ売りされています。人気の商品は1個120円のメンチカツ。筆者の一押しメニューは、コロッケ(120円/1個)、カレーコロッケ(70円/1個)、牛肉コロッケ(90円/1個)です!
鳥大
ウィンドウショッピングを楽しみながら商店街を進んでいくと、右側の通りが広くなった交差点に差し掛かります。そこを曲がって少し歩くと、鶏肉を使った惣菜の専門店「鳥大(とりだい)」があります。ここはいくつものテレビ番組で紹介されている人気の老舗。いつもお客さんの行列ができています。
この店は、1961年に鶏卵専門店として開業し、1964年に鶏肉専門店になりました。店先にはすぐに食べられるメニューが何十種類も並び、店内では新鮮な鶏肉が販売されています。
人気メニューは「チキンボール」。こんなにおいしいのに値段は1個10円 !
そのほかにも揚げ物、焼き鳥、照焼きや西京焼き、チキンステーキなどたくさんの商品が100円未満から揃っています。
あい菜家
十条銀座で10年以上の歴史をもつ総菜店「あい菜家」です。
豊富なメニューのおいしい惣菜が、最高にリーズナブルな値段で買えるということで、こちらも過去に何度もテレビ番組で紹介されてきました。
創業以来の人気メニューは、手のひらほどもある大きさの「特上チキンカツ」。値段はわずか260円です。ほかにもイカやイワシのフライなどの揚げ物類、唐揚げやチキンカツ、コロッケ、そして何種類もの焼き鳥があります。
気になったのは、マフィンやチーズケーキといったスイーツも一緒に販売しているところ。通常、日本の総菜店では惣菜のみを扱っています。
大きなナチュラルチーズケーキは1個260円です。食べてみると、スイーツ専門店にも引けを取らない濃厚なチーズの味わい。最後の一口までおいしくいただけました。食事の締めにピッタリです!
※あい菜家は商店街振興組合には未加入です。
十条菓子舗 むさしや
和菓子を販売するむさしやは、この地に店を構えて50年以上の老舗です。人気の商品はお店で手焼きしているせんべい。そのおいしさから、過去に安倍前首相から賛辞を贈られたこともあるのだとか。 休日には店頭で手焼きの実演ショーを行うこともあります。
「十条満月」という名のどら焼きも忘れてはいけません。この商店街のある東京北区の名品30撰に選ばれています。
餅入りの十条満月
十条満月のふっくらとした柔らかい皮は香りのよさが魅力。あんこは10時間かけて丁寧に作られています。値段は1個140円です。
あんこにトッピングが入った十条満月も気になるところです。餅入り(1個170円) 、バター入り(1個180円) 、そして栗入り(1個180円)があるので、ぜひ試してみてください。値段は全部税別です。
店内には伝統的な和菓子と現代風の味が合わさったお菓子や洋菓子もあり、この街の歴史と時代とともに訪れる変化が感じられました。
Bonnel Cafe 十条店
最後にオススメしたいお店は、今までとは少し変わってモダンで可愛い雰囲気のカフェ「ボンヌカフェ(Bonnel Cafe)」。筆者がこのカフェをオススメする理由は、ローカル感漂う商店街も時代に合わせて変化している様子がわかるからです。
ボンヌカフェで紹介したい面白いメニューが、ホットスティックチョコレート。スティックの刺さったボール状のチョコが、ホットミルク、マシュマロ、クッキー、ホイップクリームとセットで出されます。
食べ方は、スティックチョコレートをホットミルクの中でかき混ぜ、程よく溶けてきたところを味わいます。ほかではあまり見かけない食べ方です。香り高い濃厚な味わいで、チョコ好きの方は虜になること間違いなし!
ホットスティックチョコレートのミルクとシナモンフレーバーは680円、大人ミルク、アールグレイは700円、季節限定のフレーバーもあります。また持ち帰りたいという人のために、スティックチョコレートのみ(1本500円~)の販売も行っています。
店内では食事やケーキもいただけます。お腹が空いた、ちょっと休憩したいという人は、ぜひカフェに立ち寄ってみてくださいね。
歩き疲れたら「お休み処」で休憩
歩き疲れてしまった人や食べ歩きに不慣れな人、買い物した荷物をまとめたいという人は、「お休み処」に立ち寄ってみましょう。休憩できるよう机や椅子が用意されています。施設の看板には大きく「お休み処」と書かれていますよ。
机と椅子のほかにも、 赤ちゃんのおむつ交換台や手洗い用の洗面台もあります。室内では喫煙、飲酒、ペットの連れ込みは禁止。他の人たちも利用できるよう、長時間の滞在も遠慮しましょう。
室内にはゴミ箱が設置されていないので、ゴミは持ち帰ってくださいね。トイレは外に出て隣の階段を上がった2Fにあります。
日常の「東京」を感じにいこう
十条銀座商店街は、賑わいを見せる地域密着型の商店街のひとつです。しかしデパートや大型スーパーのような新たな商業エリアの出現により、利用客が減少していることも否めません。
十条銀座商店街がより活気ある場所になるよう、組合ではさまざまな取り組みを行っています。筆者が訪れた時には、50~20,000円相当の金券として使えるスクラッチくじが配布されていました。スタンプカードを作り、貯まると金券として買い物ができるなどの工夫も行っているそうです。
“東京に住む人たちのライフスタイル”や、東京の昔ながらの雰囲気を体感してみたい人には、十条銀座商店街の散策はぴったり。ぜひローカル商店街を覗いてみましょう。
In cooperation with Jujo Ginza Shopping Street Promotion Association and each shop