伝統文化と美しい自然を味わえる「森の京都」3日旅のモデルコース
美しい自然や、その自然から生まれた伝統文化を楽しみたい方には、京都市の北西にある「森の京都」綾部市や福知山市への旅がオススメです。JR京都駅発で、伝統工芸や古民家などに触れられる2泊3日のモデルコースを紹介します。
伝統文化を楽しむ「森の京都」の旅
京都市の北西にある亀岡市、南丹市、京丹波町、福知山市、綾部市は、「森の京都」と呼ばれる自然の美しい地域。ここには、伝統文化が今も息づいています。
本記事では、「森の京都」2泊3日のモデルコースを紹介します。ゆったりと流れる時間を、心ゆくまで楽しんでくださいね。
1日目 福知山で漆器に触れる
1日目は、福知山市で、日本の伝統文化のひとつ「漆器」に触れてみましょう。
JR京都駅から9:24発の特急「はしだて号」に乗り、10:40にJR福知山駅に到着。ここでJR山陰本線に乗り換えて約28分。JR上夜久野(かみやくの)駅で下車しましょう。
最初の目的地は「やくの木と漆の館」です。
「やくの木と漆の館」で漆の絵付け体験
JR上夜久野駅から約1キロメートル行った先にある「やくの木と漆の館」。漆器の魅力や地域の文化を伝える施設です。
中には、ギャラリーと展示室、ショップ、体験工房があります。
漆器をひとつ作るには、数カ月もかかるのだとか。複数の工程を経て完成した漆器は、使えば使うほど艶の美しさが増し、古くから珍重されてきました。
「やくの木と漆の館」では、漆加工を学べる体験を提供しています。
コースは4種類。漆器に銀箔を貼って模様を付けるプチコース(1,930円)、色漆で絵を描くライトコース(1,540円)、金粉で蒔絵を描くマイスターコース(5,280円)、貝や銀板を貼った漆器を職員が仕上げてくれるプレミアムコース(7,460円)です。すべて事前予約制です。
ライトコースの所要時間は1時間ほど。ショップで好きな器を購入し、型紙を使いながら色漆で模様をつけます。器はその場で持ち帰れますが、実際に使えるようになるのは完成から3カ月後になります。
「やくの木と漆の館」があるのは「道の駅農匠の郷やくの」の中。敷地には、温泉や宿泊施設、地元の名産品を売るショップ、食事処などもあります。
「宮カフェ」で一休み
午後は、JR上夜久野駅前にある「宮カフェ」でリフレッシュしましょう!
「宮カフェ」は、「誰でもふらっと立ち寄れるカフェ」というコンセプトのもと、2019年12月にオープンしました。2F建ての古民家をリノベーションした建物は、古い漆塗りの天井が粋な趣を醸し出しています。木の温もりがあふれる内装も、心落ち着く雰囲気。
2Fはワークショップスペースで、地元向けにフラワーアレンジメントや工芸教室が定期開催されています。
「宮カフェ」で出しているのは、福知山市のコーヒー豆店が作ったオリジナルブレンド。自家製シフォンケーキとアイス付のドリンクセットを頼めば、至福のひと時が味わえますよ。
「宮カフェ」では、京地鶏手羽元カレー、地元の旬野菜を使った「実りの田舎ピザ」、地域に昔から伝わる「夜久野駅そば」といったメニューもあります。
笑顔の素敵な「宮カフェ」オーナーの宮﨑さんご夫婦。周辺のオススメスポットなども、尋ねてみてくださいね。
なお、1日目の夜は、JR福知山駅の近くで泊るのが便利です。ホテルの事前予約もお忘れなく!
2日目 綾部で和紙作りと古民家を体験
2日目は、電車でJR綾部駅へ向かいましょう。
日本の伝統文化が好きな方にオススメなのが「黒谷和紙会館」。京都を代表する伝統的な手漉き和紙の技について学びながら、その制作工程の一部を体験できます。
JR綾部駅から「黒谷和紙会館」へは、タクシーかレンタカーでの移動が便利です。
「黒谷和紙会館」で紙漉き体験
山に囲まれ、米作りに適さない黒谷町では、黒谷川のきれいな水、和紙作りの原料・楮(こうぞ)を生かし、古くから和紙作りに取り組んできました。その歴史は800年にも及ぶのだとか。
黒谷和紙の特徴は、紙がとても丈夫なこと。かつては着物のような衣料品も、黒谷和紙で作ったのだとか。現在は、書道用の和紙や便箋といった文房具に使われています。
「黒谷和紙会館」では、和紙制作の工程を学んだあと、はがき漉き体験ができます(1週間以上前に予約が必要)。5人以上で開催され、体験料は1人あたり1,000円。
自分の手で漉いた和紙のはがきに色や模様をつけて、オリジナルのはがきをつくることができます。
「黒谷和紙会館」のショップには、さまざまな和紙や、色とりどりの和紙で作られた和紙製品があります。 2Fには、黒谷和紙の歴史に関する資料や、和紙で作った製品などが展示されています。
古民家宿「ふるま家」に宿泊
JR綾部駅から車で約10分で行ける古民家の宿「ふるま家」。200年以上前に建てられた、かやぶき民家を改修したゲストハウスです。行くときは、タクシーかレンタカーがオススメです。
宿泊スペースは、和室と洋室が1部屋ずつで、それぞれ布団が備え付けられています。どちらも快適で、アットホームな雰囲気です。
少し早めにチェックインしたら、外を散歩したり、暖炉のそばでくつろいだりして、ゆっくりしましょう。
お風呂は広々とした、スタイリッシュな空間。お湯に浸かりながら、旅の疲れを取ってくださいね。
食事は、オーナー沢田さんの手作り。地元産食材をふんだんに使い、栄養バランスも配慮しています。朝食は、野菜と魚を使った味わい豊かな和食。
夕食は豪華な準会席料理で、一品一品、大切に調理されています。刺身、天ぷら、香の物、デザートにいたるまで、京都産の食材にこだわっているのだとか。
ここでは、ハンドメイド商品や、綾部産のお茶、米も販売されています。「森の京都」の旅のおみやげを買うにもオススメですよ。
「ふるま家」があるのは、山と森に囲まれた谷。周辺では季節の花が咲いているなど、美しい自然を感じられます。翌朝は、時間が許すかぎり、辺りを散策してみてくださいね。
3日目 森を探検し優雅なランチを楽しむ
3日目は、神秘的な森を散策してみるのはいかがでしょうか?
「ふるま家」からタクシーかレンタカーを使い、君尾山の光明寺へ、そしてシャガとミツマタの群生地へ行きましょう。地元ガイドに案内を頼むと、森の魅力をたっぷり堪能できますよ。
光明寺二王門
光明寺の入り口である二王門は、1248年に建てられ、今は日本の国宝に指定されています。駐車場から二王門までは少し階段を登るので、歩きやすい格好で行きましょう。
境内の小径沿いに登っていくと、本堂のある高台に着きます。木造の本堂には、江戸時代のものとされる美しい彫刻が施されています。
境内にある大きな鐘は、1人あたり3回まで撞いても大丈夫。鐘の音は、ふもとの村まで響くのだとか。
地元ガイドが案内してくれる場合、本堂裏手の森も散策してみましょう。何世紀もの樹齢を重ねた、珍しい形をした木もあります。
ミツマタとジャガの群生地
Picture courtesy of 森の京都DMO
綾部市の老富町(おいとみちょう)には、ミツマタとジャガの群生地があります。
3月下旬~4月中旬、黄色いミツマタがあたり一面を埋め尽くします。4月下旬~5月中旬に来れば、無数の白いシャガが見頃を迎えます。
花が咲いている時期以外でも、この森に訪れれば、神秘的な静けさを感じられるでしょう。
「茶寮ゆらり 結鶴」でランチ
「森の京都」の旅の締めくくりは、ぜひ「茶寮ゆらり 結鶴」で。地元産の食材にこだわったメニューを出す、綾部市の人気店のひとつです。
店は綾部市広小路にある町屋で、昔ながらの風情を残しつつ、現代風に改修された建物。
店内は広々とし、窓からは美しい庭が見えます。落ち着いた雰囲気の中、優雅にランチを楽しめます。
「茶寮ゆらり 結鶴」での注目ポイントは、土鍋で炊き立ての状態で提供される、綾部産のお米。しゃもじを使って自分でお椀によそいましょう。ひと粒ひと粒が輝くようなフワフワのご飯は、感動的なおいしさです!
宝石のような見た目のおかず5品、味噌汁、漬物もついています。残ったご飯は持ち帰りも可能なので、スタッフに声を掛けてみてくださいね。
午後は京都市へ
「茶寮ゆらり 結鶴」はJR綾部駅の南口から徒歩8分ほど。JR京都駅へ向かう電車に乗る前に、駅周辺の美しい街並みも見て行ってくださいね。
せわしい日常から少し離れて、自分を取り戻したい。そんな人に「森の京都」の旅はぴったり。伝統工芸や自然を通して、日本文化の奥深い魅力に触れてみませんか。
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Written by Ramona Taranu
Sponsored by Woodland Kyoto DMO, Kyoto Prefecture