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【島根県】17年連続第1位!!日本一の庭園をもつ「足立美術館」の見どころ
島根県安来市にある「足立美術館」は、アメリカの日本庭園専門誌の日本庭園ランキングで17年連続で1位(2020年時点)に選ばれている名実ともに日本を代表する庭園をもつ美術館です。日本画と庭園を鑑賞することで、アートはもちろん、日本の四季や美しい景色をより深く味わえる場所。この記事では、そんな足立美術館の見どころを紹介します。
日本一の庭園をもつ「足立美術館」
島根県安来市にある「足立美術館」。広大な敷地をもち、日本画を中心としたコレクションのほか、自然と調和した枯山水庭をはじめとする5万坪の日本庭園が高く評価されている美術館です。
こちらの庭園はアメリカの日本庭園専門誌『The Journal of Japanese Gardening』の日本庭園ランキングで、なんと17年連続で1位(2020年時点)に選ばれ、名実ともに日本を代表する庭園なのです。
同美術館は庭園と近代日本画コレクションがある本館と、現代日本画を展示する新館があります。庭園を鑑賞するには本館へ行きましょう。
日本庭園と日本画が調和した美術館
足立美術館では「日本庭園と日本画の調和」を基調としています。本館では、まず1Fで庭園を鑑賞できるようになっており、2Fには創設者の足立全康(あだちぜんこう)が愛してやまなかった日本画の巨匠、横山大観をはじめとした近代日本画コレクションが並んでいます。
絵画にでてくるような日本のわびさびや四季折々の美しい庭園を鑑賞し、その美しさに触れ、感動の余韻に浸りながら、日本画の魅力を理解をしてほしいと、庭園と美術作品、両方の素晴らしさに触れることができるようになっているのです。
庭園の見どころ
苔庭
館内に入り、最初に見えてくるのは「苔庭(こけにわ)」です。苔の緑と白砂のコントラストが美しい庭園です。秋には紅葉が加わります。
枯山水庭&生の額絵
次に見えるのは、足立美術館の主庭「枯山水庭」です。「枯山水」とは、水を使わずに山水の趣を表現した庭園のこと。この庭園の中央にある石組で険しい山を表し、そこから流れる滝の水が渓流となり大河となる様を白砂で表現しています。
そんな枯山水庭を、絵画のように眺めることができるのも足立美術館の庭園鑑賞の楽しみ方。
窓枠が額縁になり、季節、その日の天候や時間帯により、異なる趣が楽しめます。また、この額縁を通して眺めることにより、大小の木や石の配置のバランスや、芝生の稜線の美しさが際立つのも興味深いです。
亀鶴の滝
そして、もうひとつ、この枯山水庭に迫力を添えているのが、「亀鶴の滝(きかくのたき)」。足立美術館の日本画コレクションの中核をなす横山大観の作品『那智乃瀧(なちのたき)』をイメージし、1978年に足立美術館の開館8周年を記念して亀鶴山に開瀑した人工の滝です。
亀鶴の滝は、敷地の外にあります。足立美術館の庭園では、敷地外にある自然が庭の景色の一部になっていて完璧な美しさを作り出しています。山々や断崖が背景にあることでより、奥深く、迫力ある眺めになっています。
池庭
次に見えてくるのは、新しい感覚と伝統的な手法を用いて作られた「池庭」。
池庭の向かいには床の間をくり抜きつくられた「生の掛軸」があります。滝を中心とした美しい景色を一幅の掛け軸のように眺めることができます。
白砂青松庭
白砂の丘陵に大小の松がリズミカルに配置された美しい庭園。この「白砂青松庭(はくさせいしょうてい)」は、足立美術館の創設者、足立全康が特に心血を注ぎつくった庭園。近代日本画の巨匠、横山大観の名作≪白沙青松≫をモチーフとしています。
庭園の奥に築かれた滝口から、渓谷を流れるように曲折しながら、手前の池に流れ着きます。縦の実距離を縮めて、横に広がりが感じられるようにつくられています。
広大な敷地に広がる、日本庭園の世界。とにかくその美しさに感動しました。敷地外の周辺の山々などの風景が立派な庭の一部にしていたり、7名の専属の庭師をはじめ、美術館スタッフも加わり、毎日欠かさず手入れをしていたりと、日本一の庭園の裏にはさまざまな努力があることにも驚きました。
近代日本画のコレクション
画像提供:足立美術館
庭園鑑賞のあとは、その余韻に浸りながら2Fへ。並んでいるのはアートコレクターであった創設者・足立全康自らにより厳選された作品。横山大観をはじめとする、近代日本画壇の巨匠たちの名作の数々です。コレクションを庭園の四季の変化とともに楽しめるように、年4回の特別展を開催しており、常時70点前後の作品を展示しています。
どこから眺めても美しい足立美術館の庭園は一見の価値あり。そして、日本の四季や風景を生で見た後は、日本美術の素晴らしさも際立つことでしょう。
神奈川県在住。ジャンルを問わず、日本の古き良きスポット・モノを追いかけるライターです。神社仏閣、温泉、老舗酒場、鉄道をはじめとした乗り物、などをテーマに旅を楽しんでいます。旅行以外の趣味はお酒を飲むこと、相撲鑑賞、アート鑑賞、読書。