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アメリカ専門誌でランクイン!京都平安ホテルに広がる日本庭園の魅力と楽しみ方
京都御所の西に位置する京都平安ホテルの日本庭園は、アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」から高い評価を受けた庭園。2017年のランキングで、足立美術館や桂離宮、山本亭に続き第4位に選ばれた庭園の魅力と鑑賞のポイントをご紹介します。
世界中の観光客を魅了する京都の中心部、京都御所の西に位置する京都平安ホテル。
ホテルのエントランスからロビーを抜けると、静かに散策を楽しめる美しい日本庭園があります。日本の単位でおよそ500坪、約1,650平方メートルの広さを擁します。
庭の美しさは世界からも認められています。アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」のランキングで、足立美術館や桂離宮、山本亭に続き、2017年度第4位に選ばれました。
評価の高さもあり、「旅行サイトなどで見つけた」と、欧米や中国からの数多くのお客さんが来ているそう。20~30名のバスツアーの場合もあるそうです。人気の高さがわかりますね。
庭園の入口横には、写真のように日本語と英語の庭園マップがあるので参考にしてください。
この記事では、庭園の魅力と楽しみ方をご紹介していきます。
京都平安ホテル「日本庭園」の楽しみ方6選
1.水の流れを楽しむ
江戸時代後期に作られた庭園は、「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」と呼ばれる形式が採られていることが一般的です。
特徴は、中心部に池、周囲には自然の景色を模した山や川、滝などを配し、園路を巡らした庭園であること。この形式の日本庭園では「水」が重要な要素となり、自然の滝と見紛うような小さな滝もあります。
庭の一角には小さな井戸があり、地上に出ている部分は「井筒(いづつ)」と呼ばれます。清らかな水が、井筒から溢れ出ています。
あふれ出た水は、小さな流れとなり、池に流れ込みます。人の手による庭でありながら、自然の趣を模した日本庭園の奥深さを味わってください。
2.植物を楽しむ
庭では、四季折々の花や木々の変化を楽しむことができます。取材で訪れた春先には、池のほとりにピンク色の華やかな花・ヒラドツツジが咲き誇っていました。
上の白い花は木瓜(ぼけ)という名前の春の花。古く平安時代に中国からやってきたと言われています。盆栽にも好まれる可愛らしい花です。
季節の花のみならず、日本庭園の魅力といえば「苔(こけ)」。地表や岩、石の表面で成長する植物や菌類、藻類のことを苔と呼びます。
深く、みずみずしい緑色の苔は、伝統的な庭園美に欠かせない要素です。苔はとても繊細なので、苔の生えている部分に立ち入らないように注意してください。
またご紹介した以外にも、50種類ほどの植物を楽しむことができます。
3.音を楽しむ
奥まったあたりには、日本庭園に欠かせない要素のひとつ「つくばい」と「かけい」があります。茶道では、身を清めるために手を洗う場所です。
つくばいは、石や岩をくりぬいた手水鉢(ちょうずばち)のことで、水を受ける部分。かけいは、水を流すために、竹などの木をくりぬいて作った筒の部分です。
流れ落ちた水の滴が、つくばいの水面に美しい水紋を描き出します。静かな庭に水音が響きわたり、水面に映る空が揺れる様子を、心穏やかに楽しんでみてください。
緑あふれる庭で耳を澄ませると、四季折々の鳥の鳴き声や木々の葉を揺らす風の音、錦鯉(にしきごい)が池の水面で跳ねる音など、さまざまな音が聴こえてきます。
ちなみに、錦鯉とは観賞用に改良された鯉で、鮮やかな色彩や柄から海外でも高い人気を誇っています。また、鯉は「激流を遡り、成長していく」ことから、「数々の困難を乗り越える」縁起のよい魚と考えられています。
4.庭の建物や装飾を楽しむ
池のほとりには、四阿(あずまや)と呼ばれる和風建築の小さな休憩所があります。朱色の塗り壁が特徴的なこちらの建物は、竹を中心に、京都の名産・北山杉などが使用されています。ふだんは中に入ることはできません。
奥まったあたりには、小さな石の鳥居と神社があります。稲荷神社と呼ばれる、穀物や商売の神様が祀られています。
庭園には、大小15基ほどの灯籠(とうろう)があります。
ほとんどが石造りの灯籠ですが、中には金属製のものも。どの灯籠も和の趣があり、写真に撮っても映える存在です。
池のほとりに見えるのは六角雪見灯籠。上部の「笠」の部分が広く、冬場に雪が降り積もる様子を楽しんだことから「雪見」という名前がついたとか。風情あふれる演出ですね。
5.室内からゆっくり庭の景色を楽しむ
庭の散策を楽しんだあとは、ホテル1Fのカフェやロビーで、コーヒーや紅茶を飲みながら、ゆっくり庭の全景を楽しんでみてはいかがでしょう? 上の写真は、カフェ「アルボア」の窓際の席。
窓際の席からは、写真のように素晴らしい庭園の景色を楽しむことができます。
ロビーやガーデンテラスもオススメ。こちらでも飲み物をオーダーすることができます。
6.四季の移ろいを楽しむ
画像提供:京都平安ホテル
庭園観賞の楽しみは、季節ごとに異なる表情を見せてくれること。秋の紅葉シーズンには、常緑樹の緑と落葉樹の赤や黄色、朱色が織りなす、息を呑むような色模様を楽しむことができます。
画像提供:京都平安ホテル
落葉の後、京都には厳しい冬がやってきます。ときには10センチを超える積雪があることも……。そんな雪の日、庭園にはモノトーンの世界が広がります。
どんな季節にも美しい表情を見せてくれるため、何度訪れても新しい発見があるはずです。
注意点
日本庭園鑑賞の際は、以下の点にご注意ください。
・苔の部分に入らないこと。
・灯籠や植栽などを傷つけないこと。
写真撮影はOK。段差や坂、石などに気をつけて撮影してください。
庭園を支える人たち
台風や豪雨、冬の積雪など厳しい自然条件を乗り越えながら、日本庭園の美しさを維持するためには、細やかな心配りと絶え間ない作業が必要です。2,3ヶ月に一度外部の庭師の方に手入れを頼み、ホテル内にも日々の管理をするスタッフが常駐しているそうです。
素晴らしい庭の環境を支える人々に思いを巡らせれば、庭園の美しさがさらに美しく感じられることでしょう。
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取材協力:京都平安ホテル
日本文化、特に絵画や工芸品が好き。福岡、京都、大阪、ベルギー、アメリカを経て現在は神戸在住。座右の銘は「住めば都」。