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世界自然遺産・小笠原「母島」沖港周辺の歩いて回れるスポットまとめ
東京都心から1000㎞以上も離れた場所にある小笠原諸島はユネスコ世界自然遺産に登録されています。その小笠原の玄関口である父島からフェリーでさらに2時間かかる「母島」は自然そのものが残る離島です。今回はフェリーが発着する沖港から歩いて回れる素朴なビーチやクジラが見られる展望台、戦跡が残る遊歩道などをご紹介します。
小笠原(おがさわら)諸島は東京都から南へ約1000kmの場所にあり、東京都心からフェリーで行くことができます。小笠原の玄関口である「父島(ちちじま)」からさらに50㎞南に行くと「母島(ははじま)」という有人島があります。
父島から母島へはフェリー「ははじま丸」が就航していて、港周辺には徒歩でまわれるスポットもあり半日観光でも十分楽しめます。今回はフェリーが発着する沖港(おきこう)から徒歩圏でまわれる観光スポットをご紹介します。
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沖港の周辺で海を眺められる場所
沖港から商店が集まる元地(もとち)集落へ歩くと大きなガジュマルの樹が出迎えてくれます。海が見える休憩スポットとして、この樹の下で地元の人や観光客が一息つく姿をよく見かけます。
ガジュマルの目の前には前浜(まえはま)というコバルトブルーのビーチが広がっていて、観光客だけでなく地元の子どもたちの遊び場にもなっています。
漁港のある静沢(しずかさわ)集落へ行くと「脇浜なぎさ公園」があります。ここは遠浅の海で海水浴にぴったり!
ビーチに隣接するいけすにはアオウミガメが産卵できるスペースがあり、春から夏にかけてウミガメの産卵が、夏には孵化したウミガメの赤ちゃんが見られるそう。
公園には鮫ヶ先(さめがさき)展望台があり、周辺の無人島が見渡せます。1~4月はホエールウオッチングに適していて、双眼鏡があればよりくっきりとクジラの姿を観察できます。
宿の多い集落周辺の見どころ
沖港の裏には高台があり、その上には月ヶ岡(つきがおか)神社があります。小さな神社ですが、この辺りでは母島固有種の鳥「メグロ」が飛んでいる姿をよく見かけます。
神社の下には六角形のお堂があり、その後ろには清見ヶ岡(きよみがおか)鍾乳洞の入口があります。見学の際は船待合所内にある母島観光協会に申し込んで、鍵とヘルメットを借りましょう。
鍾乳洞の内部は壁際に鍾乳石の壁があります。規模は小さいものの、そこかしこにガジュマルの根が垂れ下がっていて、洞窟探検気分が味わえます。
元地集落の裏にある「ロース記念館」は母島の郷土資料館で入場無料です。母島特産のロース石でつくられた建物で、大正時代に砂糖倉庫として使われていました。
館内には母島に捕鯨船の拠点があった頃の資料などが展示されています。タコの葉を使った有料の細工体験が不定期で開催されているので、参加の際は母島観光協会(04998-3-2300)で実施日を確認してください。
太平洋戦争の爪痕が残る遊歩道
母島は太平洋戦争時に日本の軍事拠点として利用されましたが、人の手が入らない深い森が広がっているため、島の至る所で戦争当時の状況がよりそのままの形で残されています。
沖港の西に延びる「静沢(しずかさわ)の遊歩道」には海軍施設や砲台などが残存しています。
火薬庫の残骸も複数残っていて、遊歩道を歩くごとに太平洋戦争の深い爪痕を体感することでしょう。
また、遊歩道にはサンセットポイントがあり、太陽が水平線に完全に沈む直前に一瞬緑色に光るグリーンフラッシュが見られることもあるそう。空気がとても澄んだ条件でなければ発生しないとても稀な現象なので、もし見ることができたら幸せになれるという言い伝えもあります。
おわりに
母島・沖港周辺の観光スポットでは手つかずの自然から戦争の歴史まで、幅広く島の知識を深めることができます。父島と母島を結ぶ「ははじま丸」で日帰り観光を楽しむ人も多く、朝入港して午後に出港する日は最大4時間ほど母島に滞在することになります。そんな時はご紹介した歩けるスポットを散策することで気軽に母島を満喫できますよ。
新潟生まれ。事業会社でのマーケティングを経験後、2011年からシンガポールへ移住し、出版社や制作会社で編集に従事。2015年に日本へ帰国しMATCHAのライターに。国内外を旅行する中で見つけた新しい発見を、多くの人とシェアしていきたいです。