定番だけじゃ物足りないなら!高松の市内鉄道:ことでん「志度線」「長尾線」の旅
ことでんの「志度線」と「長尾線」を利用すれば、楽に高松の定番観光スポットに向かうことができます。自然の美しい風景から歴史あるスポットまで、仲良しとの旅行であろうと、家族旅行であろうとぴったりの旅が楽しめます。
知る人ぞ知る高松のスポットを楽しみたいなら
香川県高松市の定番の観光路線と言えば、高松城や栗林公園、金刀比羅宮へのアクセスが便利なことでんの「琴平線」が有名です。でも、「高松らしさ」をもっと味わうのであれば、定番スポット以外にも足を運んでみましょう。
今回は王道の「琴平線」ではない、ことでんの歴史を辿る「志度線」と「長尾線」について見ていきます。
もっとも早期にできた路線「志度線」
ことでんには計3路線あります。その中のひとつで、赤い車両が特徴の「志度線(しどせん)」は1911年に開通した、もっとも歴史がある路線です。この路線は乗客と同時に、高松のさまざまな記憶をも乗せています。
イルカ電車「琴電」に乗って探索に出かけましょう!
琴電屋島駅:四国村、わら家うどん、新屋島水族館
最初に向かうのは「琴電屋島駅」です。
琴電屋島駅はピンク色の可愛らしい外観で、ことでんの中では数少ない洋風の駅舎。昭和時代の大衆文化を色濃く残す建築として、日本の経済産業省により「近代化産業遺産」に認定されています。
琴電屋島駅で降りたら、近隣の四国村に行ってみましょう。四国村まではシャトルバスが出ていますが、徒歩で10分程度の距離なので、バスが来ない場合には、歩いて行くのがもっとも早い手段です。
懐かしい四国に出会える「四国村」
写真提供:四国村
「四国村」は、四国各地にあった建築物を集めた野外博物館です。運輸業に携わっていた加藤達雄氏が、歴史的な建造物が修復されずに壊される運命にあるという現状を知ったのが開園のきっかけです。
そうした建造物を屋島の麓へ移築して、現代につながる知恵と工夫に満ちた昔の暮らしを伝えています。1976年、「四国村」は正式にオープンしました。
写真提供:四国村
村内には、建造物だけでなく、当時家の中で使用されていた生活用品や装飾もすべて運び込まれ、昔の姿が再現されています。それゆえ、四国村の建造物の多くが、国や県市指定の文化財に認定されています。
左上:かずら橋、右上砂糖しめ小屋、左下:農村歌舞伎舞台、右下:農村歌舞伎舞台のひなまつり展示(季節限定) 写真提供:四国村
四国村の中には、倉庫や住宅のほか、童話の世界から飛び出してきたかのような可愛らしさの「砂糖しめ小屋(坂出市)」、侘びた建築が特徴の「農村歌舞伎舞台(小豆島)」、徳島の名所「祖谷かずら橋」を再現した小さな橋なども展示されています。
歌舞伎舞台では季節ごとにさまざまな展示が行われ、その雰囲気を楽しむことができます。
ティールーム 異人館 写真提供:四国村
四国の建物だけはなく、「うさぎ島」の呼称をもつ広島県「大久野島」の灯台や神戸北野から移築した洋館「ティールーム 異人館」、大阪城修築時に小豆島で切り出されたまま、大阪に運ばれることなく残った「残念石」なども目にすることができます。
四国村で驚くべきは、園内の一角にある「四国村ギャラリー」です。館内にはヨーロッパやアジア各国の美術品が収蔵されています。
建物自体は、建築家「安藤忠雄」が手がける、「打放しコンクリート」の技法を用い設計されたギャラリーです。安藤忠雄ファンならかならず訪れたいスポット。
写真提供:四国村
自然と伝統建築が融合する四国村は、四季折々の表情を持っています。花が綺麗に咲き誇る季節にはその中を散歩し、完全な姿で保存されている伝統を肌で感じるのもよいでしょう。
巨大な桶で食べるうどん「わら家」
伝統を楽しんだら、次はグルメをいただきましょう!
四国村の入り口にある「わら家」は四国村創設のきっかけとなった建物です。江戸末期の茅葺き屋根の農家建築で、外にある水車は今でも水の流れで動いています。屋内も昔の姿のまま。
昔と違うところがあるとすれば、それはいつでも湯気が漂う現代的な厨房くらいでしょう。
「わら家」は1975年創業の店で、オススメは名物の「釜あげうどん」です。桶の中の麺は熱湯で茹でただけで、調味はされていません
うどんそのものの味が感じられる、口当たりで直球勝負する一品です。ちなみに桶は檜で作られています。うどんのモチモチ食感が心地よいのはもちろんのこと、食べていると檜の香りが鼻をくすぐります。
うどんそのままの味を楽しんだ後は、自家製の出汁にネギやわさびを加え、そこにうどんをつけて食べます。出汁を吸ったうどんはまた別のおいしさとなります。
出汁の入った容器はまるでお酒の瓶のようで、大きな檜の桶と大きな白い瓶が置かれるテーブルは非常に豪華に見えます。
「釜揚げうどん」にはいくつか種類があり、檜の桶に入ったものは2人前からの注文となります。お腹に自信のある人はぜひ挑戦してみてください。もし1人前を注文するなら、天ぷらと合わせることで、とても満足できるセットとなります。
大人も子どもも大満足「新屋島水族館」
写真提供:新屋島水族館
2019年に開館50周年を迎える「新屋島水族館」の入り口では、水族館の人気者「イルカ」のオブジェがあなたの来館を待っています。また実際に元気なイルカを見たり、触れたりすることも可能です。
新屋島水族館が人気の理由は、さまざまな動物たちと身近に接することができるところ。いたずら好きなイルカによって水しぶきがかけられることもありますが、そうした点も魅力です。
イルカやオタリア、アザラシのほかにもペンギン、カワウソなど、可愛い動物たちの自然な表情を見ることで、子どもたちは興奮すること間違いなし、大人も楽しめるはずです。
忘れてはならない人気者が、館内に2頭いる「伝説の人魚」アメリカマナティです。絶滅危惧種のマナティは、日本では沖縄と新屋島水族館だけで見ることができ、大変貴重です。
また、こちらは水槽の設計も見事で、マナティの正面から、その一挙一動を観察することができます。丸々と太った体に、愛らしい瞳、そしてそのゆっくりとした動きに、癒されること間違いなしです。
館内2Fはクラゲのエリアとなっています。真っ暗な空間のもと、まるで深海にいるかのように、クラゲだけが泳ぎそこに光が当てられています。
その他の観賞プールには実際に手で触れることができる展示もあり、最後はおみやげショップで可愛い動物のぬいぐるみたちを買って家に持って帰りましょう! 「新屋島水族館」の美しい思い出となるはずです。
高松の歴史を今に伝える「屋島」
写真提供:香川県観光協会
四国村やわら家、新屋島水族館がある「屋島」という土地自体も、地元の人がオススメする観光スポットです。
「屋=(roof)」と「島=island」、2つの文字が組み合わさった名前で、その形状が屋根の形をしていることから名付けられた溶岩台地です。昔は実際に陸地と切り離された島だったのだとか。
日本の歴史に登場する「源平合戦」の古戦場の1つだったため、今も合戦に関する遺跡が多くあります。
写真提供:香川県観光協会
月日が流れ、屋島は地元の人が瀬戸内海を眺めるベストスポットとなりました。海面の波が輝く様はとても美しく、過去の合戦の歴史は、今や世界中で知られる物語に変化しました。
ことでん志度駅:江戸の奇才「平賀源内」の故郷を訪ねる
天才の足跡をたどる「平賀源内記念館」
「平賀源内」をご存知ですか? 日本では夏のもっとも暑い日「土用の丑の日」に鰻を食べる風習があります。実はこれは、平賀源内が考えだしたものです。
発明家、医者、薬学者、作家、画家などの多くの顔をもち、「天才(あるいは奇才)」と称された平賀源内は、江戸時代、香川の志度地区に生まれました。彼のエピソードは今でもよくアニメや漫画で描かれています。
写真提供:平賀源内記念館
平賀源内の活躍を記念して、彼の故郷香川県志度地区には「平賀源内記念館」が建てられました。この記念館には本館と別館があります。
ここでは平賀源内の一生を詳しく紹介し、関連品の展示がなされ、後世に彼の活躍を伝えています。
別館には平賀源内の旧邸と源内先生の銅像が保存されています。志度地区には多くの古民家が残っているので、記念館にある「源チャリ」をレンタルして、街を回るのがオススメです。
黄色の源チャリとともに、江戸の天才が生まれた海沿いの集落を満喫しましょう。
地元住民の生活が映る長尾線
写真提供:高松琴平電気鉄道
ことでん3路線の中でも、緑色の車両が特徴の「長尾線」は、ほかの2路線とくらべて人気の観光スポットは少ないですが、讃岐平原の落ち着いた田園風景の中を走るのが魅力です。
沿線には「讃岐七富士(香川県内の“富士”と名のつく7つの山)」の1つ「東讃富士(とうさんふじ)」がそびえ、地元住民が登山や、桜の鑑賞を楽しんでいます。
白山駅:讃岐七富士の名峰に立つ「白山神社」
写真提供:三木町役場産業振興課
白山駅の目の前に広がるのが「東讃富士」で、俗称は「白山」です。標高わずか203mなので、家族や友人とゆっくり山歩きを楽しめ、山頂からはその美しい風景を見下ろすことができます。
写真提供:三木町役場産業振興課
オススメなのが白山山麓の「白山神社」で、毎年春になると桜が咲き乱れ、ピンク色の桜と白の鳥居、石灯篭が映えます。こうしたスポットが地元住民のみが知る隠れた花見スポットとなっています。
高松築港駅:古い倉庫から綺麗な変身を遂げた「北浜アリー」
山に登り、海を眺め終わったら、実際に海辺に行ってみましょう! レトロなオシャレスポット「北浜アリー」では海風にあたりながら、地元のおいしいグルメを味わえます。
北浜アリーは最初、昭和期に農産倉庫として始まりましたが、日本で1990年代に経済バブルがはじけたことで、倉庫も使用されることがなくなりました。
その頃、高松在住の建築家の井上秀美氏が、建物がそのまま使われなくなることを残念に思い、保存しようと考えます。
写真提供:北浜アリー
「建築が人を結ぶ」という理念のもと、井上氏は旧倉庫を再利用し、2002年に雑貨店やカフェが集まる「北浜アリー」を作りました。ここは多くの人を集めることに成功し、オシャレスポットとして、高松観光で足を運ぶべき地となりました。
海を眺めながらグルメを楽しむ「Cantina」
レストラン「Cantina」は北浜アリー誕生以来ずっと存在している店で、倉庫の錆びて赤みがかった外観が特徴です。落ち着いた雰囲気のレストランです。
港のロマンチックな景色を望む窓側の席に座り、地元食材を使用した「讃岐オリーブ牛のグリル」や「たっぷり魚介のパエリア」をいただきます。
食後にいただきたいのが「金魚」というドリンク。ラムネの中に赤や黄色、緑のゼリーが入っていて、金魚鉢のようにも見える、爽やかな1杯です。アルコール、ノンアルコールの2種類を提供しています。
琴平線と比べて、志度線と長尾線は人があまり多くなく、静かです。しかし、美しい風景がそこにはあり、友人たちとの旅行に適していて、その美しい風景を独り占めして写真を撮ることができます。
またこの2線は親子旅行にもぴったりで、伝統的な建造物の観察から動物たちとのふれあいまで、大人も子どもも楽しみながら学習することができます。そして、北浜アリーで波の音を聞きながら1日の旅行を終わりましょう。
観光地を余すことなく楽しむ方法「1日フリーきっぷ」
「志度線」と「長尾線」は異なる路線ですが、「1日フリーきっぷ」を利用すれば、当日に限りことでんが乗り降り放題なので、屋島を遊び終わった後に「琴平線」の「仏生山温泉」に向かうもの問題ありません。
さあ、さっそく「1日フリーきっぷ」を購入し、イルカ電車「ことでん」に乗って旅行に出かけましょう! 切符購入可能駅はここから
1日フリーきっぷ 大人1,230円、子ども(6歳以上、12歳以下)620円
※「ことちゃん版」青色は大人用、赤色は子ども用
※「電車版」デザインは毎年異なる
高松琴平電気鉄道オフィシャルサイト:http://www.kotoden.co.jp/
Written by Chia
Sponsored by 高松琴平電気鉄道
※本記事は繁体字版の記事を翻訳・再編集したものです。