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「京菓子資料館」——和菓子の歴史を知り、味わう旅
「京菓子資料館」は和菓子の歴史と伝統を紹介している施設です。目をみはる和菓子の技術や歴史的な資料に触れ、京都で作られた和菓子とともに抹茶も味わえる、京都の隠れた名所です。
京都で和菓子を食べてみよう
京都は、日本の茶の湯や伝統的な和菓子の、長い歴史に触れられる最高の場所の1つ。かつては首都としても栄えていたこの都には、抹茶が味わえるカフェや、さまざまな種類のお餅など、味わうべき日本オリジナルのごちそうが数えきれないほどあります。
京都に行ったら、「京菓子資料館」をぜひ訪ねてみてください。和菓子の中でも京都で作られた京菓子が楽しめます。展示や試食を通して、美しく、伝統的なおいしい京菓子を体験しましょう。
「京菓子資料館」で絵のようなお菓子の世界を探検しよう
「京菓子資料館」は京都御所の北、地下鉄の烏丸線沿いにあります。京都の中心から少し離れた場所ですが、アクセスもよく行きやすいところです。
1978年に開館したこの施設は、和菓子の文化やその伝統を伝えてきました。入場は無料。誰でも気軽に入ることができます。英語のパンフレットもあるので、必要な方は到着したらフロントでお願いしましょう。
資料館の2Fは、歴史的な展示品や日本中の収集家から贈られた資料を置いています。また、本物の草花のように細工された「飾り菓子」も見られます。砂糖や寒梅粉(もち米の粉)から作られた糖芸菓子(とうげいがし)です。
1Fには茶室があり、ここで抹茶や京都の四季折々の和菓子を楽しむことができます。隣には有名な京菓子のお店「俵屋吉富(たわらやよしとみ)」があるので、おみやげを探しにぜひ立ち寄ってみましょう。
色彩豊かな展示と京菓子作りの技術に感動
上の写真は、2Fで見られる展示の一部。甘いものを食べる母と子の掛け軸(写真左)や、江戸時代の歴史ある型(写真右上)。そして写真右下が、季節の花を繊細に表現した糖芸菓子です。
説明文や情報は日本語ですが、資料はどれも見事な保存状態。見るだけでもとても素敵です。
数々の糖芸菓子はとくに綺麗。この繊細な芸術品は京都が誇る文化の1つです。
作品の規模や本物のような自然らしさは、職人が専念し、高い技術をもって作りあげたもの。決して見逃せない作品です。全国の大会で賞をとった作品もいくつも展示されています。
季節に合わせた展示やテーマのある展示も開かれていて、何度来てもわくわくすることでしょう。過去には、日本全国の地域の和菓子や、歴史についての展示もありました。
宇治抹茶と京菓子で日本のティータイムを楽しもう
上の階を見終わったら、1Fの茶室で抹茶と京菓子のセット(税込700円)を楽しんでみましょう。多くの伝統的な京菓子から1つを選べます。季節に合わせたものや、雲龍というあんこを使った有名な京菓子もあります。
上の写真2枚は、3月の季節の京菓子。すみれと春野です。見た目を裏切らないおいしさでした。
砂糖をふんだんに使った京菓子は宇治の濃厚な抹茶とよく合います。宇治は、京都南部にある緑茶で有名な地方です。
京菓子と抹茶を堪能したら、茶室すぐ外の小さな中庭に降りてみましょう。水琴窟(すいきんくつ)と呼ばれる、 日本庭園の要素の1つが見られます。
柄杓(ひしゃく)で岩に水をかけ、地下から響いてくる水の音を聞いてみましょう。旅行の後まで気分がやわらぐような、優しい音がします。
上質なおみやげを忘れずに
Picture courtesy of 俵屋吉富(写真右上、右下)
帰るときは、有名な京菓子店「俵屋吉富」に寄ってみましょう。資料館の隣、水琴窟のある小さな庭を横切ったところにあります。
こちらでは、美しい甘味の詰め合わせなどが購入できます。大切な家族や友人に配るには、ぴったりのおみやげです。
Picture courtesy of 俵屋吉富
上の写真はお店でもとくに人気の商品、雲龍です。雲龍は小倉あんと村雨あん(※1、2)をつかったお菓子(1ロール税込1,620円、半ロール税込1,080円)で、雲に乗る龍の姿を表した形をしています。
使用されている小豆は京都に近い丹波で育ったもの。優しい甘さで口当たりがよく、ほのかな噛みごたえがあります。あんこが好きなら、ぜひ試してみてください。
※1:小倉あん……こしあんに、蜜に漬けたあずきを混ぜたもの。
※2:村雨あん……あんに米粉をまぜて蒸しあげたもの。
Picture courtesy of Tawayara Yoshitomi
もう1つ人気のお菓子が八重(やえ)です。こちらは京都の饅頭の一種(税込各108円)。焼いた皮に上品なあんこが詰まっています。皮は薄く味わいがあり、もちもちした食感で味覚をさらに楽しませてくれます。
季節によっては、抹茶や桜など特別な味も用意されています。
Picture courtesy of 俵屋吉富
花や日本の自然に着想を得た、上質な季節のお菓子「上生菓子」も販売されています(価格はそれぞれ異なります)。上の写真はショウブをあしらった京菓子で、蒸した皮になめらかなあんこが入っています。
Picture courtesy of 俵屋吉富
時期によって選べるお菓子が変わるのでご注意ください。春はほかに、舌ざわりのよいあんこで作られたアジサイもあります。芸術作品のような京菓子は、お茶と一緒にいただくとこのうえないおいしさです。
繊細なお菓子についてもっと知りたい方は、資料館主催の和菓子作り教室に参加もできます。詳しい情報は公式HPでご覧ください。
魅力ある資料館で和菓子を知ろう
お茶を点てるための道具
「京菓子資料館」はさまざまな表情を持つ施設。見るだけでなく、和菓子や抹茶と京都の、深いつながりを体験できます。美しい展示は情報が豊富。また茶室では質の高いお茶を楽しみ、ゆっくりとした時間が過ごせるでしょう。
資料館は、京都の代表的な観光地より旅行者が少なく、穏やかな地区にあります。京都の食と技に浸れ、心休まる時間が過ごせる貴重なチャンスを、ぜひお見逃しなく。
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In cooperation with 京菓子資料館
アメリカ・南カリフォルニア生まれ、現在大阪在住のちょっと不思議な子。大学の経済学科を卒業後、JETプログラムで兵庫県で英語教育に携わってから、日本で就職を決めました。
アメリカ・カナダ大学連合 日本研究センターの10カ月間のプログラム卒業。ヴィーガンで、日本文化に夢中。左利き。関西が特に好きです!