解説・ワークショップあり!都心の庭園で「能」の公演を開催
2019年10月11日・12日に、「東京都庭園美術館」の庭園で能の特別公演が開催されます。英語による解説付き。日本文化の理解を深める体験プログラムもあり、チケットもお手頃です。見どころや詳細を紹介します!
東京で日本の伝統芸能を鑑賞しよう!注目のイベント
能舞台(喜多能楽堂)
日本の魅力のひとつは、最先端の技術と伝統文化が共存していること。そしてこれこそが日本文化の力強さや新鮮さの秘訣なのかもしれません。来日時、実際に日本文化に触れてみてはいかがでしょうか?
東京都庭園美術館の庭園
2019年10月11日・12日、「東京都庭園美術館」で能の野外特別公演が開かれます。都心の庭園で、日本の伝統芸能である能を英語解説付きで鑑賞できるすばらしい機会です。
チケットはたったの3,000円(学生は1,500円)。これだけの規模の能の公演では破格の価格だから、見逃すわけにはいきません!
「能」とは・イベント情報
能『船弁慶』 (撮影:石田裕)
「庭園能- 都会の杜、体感する日本の美-」は、東京都庭園美術館の庭園に能舞台を特設して催される2日間のイベント。プログラムには日本語・英語解説付きの能の公演のほか、楽器演奏などの体験ワークショップが含まれています。
上演されるのは、10月11日の能『黒塚』と10月12日の能『船弁慶』。それぞれ日本の特徴的な自然である「山」と「海」にまつわる有名な演目です。
能は、室町時代から日本で愛されてきた伝統芸能です。能では、日本人にとって馴染み深いストーリーを、面をつけた演者が舞(まい)と謡(うたい)で表現します。日本文化への理解を深めたい人に、ぜひ見てほしい伝統芸能のひとつです。
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能『黒塚』― あらすじと見どころ
能『黒塚』 (撮影:前島写真店)
能『黒塚』は、東北地方へと旅をする山伏(山中で修行をする僧侶)の一団の物語。現在の福島に位置する安達太良山の麓・安達原で、山伏たちは老女の粗末な小屋にひと晩泊めさせてもらうことになります。
老女は山伏たちに糸繰りの道具を見せ、「輪廻転生から魂が逃れられないようすに似ているのだ」と悲しげに語ります。
能『黒塚』 (撮影:前島写真店)
留守中に奥の部屋を決して覗かないよう山伏たちに頼み、薪を取りに出かけていく老女。ところが、山伏たちは約束を破って奥の部屋の戸を開けてしまい、山のように積み重なった死体を発見します。
怒り狂った老女は、鬼に変身して山伏たちを追いかけます。老女の本当の姿は鬼だったのです。山伏たちは祈祷を行い、弱った老女はやがて嵐の夜のなかへと消えていきました。
『黒塚』は仏教の世界観が反映されたダイナミックなストーリーが見どころ。能に出てくる鬼は怒りと悲しみを表す存在で、演者は「般若」と呼ばれる鬼の顔の面をつけます。『黒塚』は、般若の面が使用される3つの演目のうちのひとつです。
能『船弁慶』― あらすじと見どころ
能『船弁慶』 (撮影:石田裕)
『船弁慶』("船に乗った弁慶"の意)は、12世紀の英雄・源義経(みなもとのよしつね)の逸話に基づいた演目です。
ある日、義経は政治の実力者である兄から追われる身となりました。従者たちを連れて当時の都・京都から離れる前日の夜のこと、義経は舞の名手として知られる美しい恋人・静御前(しずかごぜん)に、優雅な舞を舞ってくれるよう頼みます。
別れを惜しみながらも、静御前を連れていくことのできない義経。静御前は、涙を流して去ります。
能『船弁慶』 (撮影:石田裕)
船に乗って海へと繰り出した義経一行。夜になると、過去に義経と戦って敗れた武士たちの亡霊が一行を襲います。なかでも平知盛(たいらのとももり)は執念に燃え、薙刀(なぎなた)で義経に襲いかかってきました。義経の従者で山伏でもある弁慶(べんけい)の祈祷によって、知盛は敗北します。
『船弁慶』は、能のなかでもよく知られた演目。義経と静御前の愛の物語と、武士たちの躍動感ある戦いの物語の組み合わせが好まれています。
能の楽器が演奏できる体験コーナー
太鼓演奏の体験
能の公演に先んじて、体験ワークショップでは演能の小道具や楽器に触れることができます。初日の10月11日(金)は2日間に上演される演目に使用する実際の小道具の使い方を体験できます。2日目の10月12日(土)は太鼓(たいこ、上の写真)、大鼓(おおつづみ)、小鼓(こづつみ)、笛の演奏体験ができます。
参加すると、プロの奏者がそれぞれの楽器の特徴を紹介してくれるほか、基礎的な演奏法を教わることができます。
能では、演者の舞や謡とともに、楽器の拍子(リズム)も重要な要素です。体験すれば、能への理解がさらに深まることでしょう。
会場は都心の美しい庭園
東京都庭園美術館
東京都庭園美術館の建物は、1933年に日本の皇族・朝香宮鳩彦王(あさかのみややすひこおう)の邸宅として建てられ、1983年に美術館として一般公開されました。国内外の職人たちによる繊細で美しい設計と内装が際立つ建物です。
美術館には広い庭園があり、芝庭の広場と日本庭園、西洋庭園の3つのエリアにわかれています。この庭園にイベントのための能舞台が特設されます。都会の緑のオアシスとも呼べる場所で、能の公演が特別に催されるのです。
10月は紅葉の季節。東京の紅葉と能を一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
喜多能楽堂
普通、能は能専用の舞台の上で上演されます。面をつけた演者の視界は狭く、立ち位置を確認するのに舞台の4つの柱が欠かせません。
そのため、仮設の能舞台を庭園に設置して公演は行われます。能の野外公演は暖かい季節にしばしば行われています。能とともに大空や樹々の緑、そよ風までも満喫できますよ。
10月11日と12日に雨が降ったときは、屋根のある能舞台をもつ「喜多能楽堂(十四世喜多六平太記念能楽堂)」に場所を移して公演が開かれます。
イベント詳細とチケットの購入方法
「庭園能- 都会の杜、体感する日本の美-」
日程:
2019年10月11日(金):体験コーナーは18:00より開場、能『黒塚』は19:00開演
2019年10月12日(土):体験コーナーは13:00より開場、能『船弁慶』は14:30開演
会場:東京都庭園美術館(雨天時は喜多能楽堂)
最寄り駅:都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」、JR山手線「目黒駅」東口、東急目黒線「目黒駅」
アクセス:JR山手線「目黒駅」東口/東急目黒線「目黒駅」正面口より徒歩7分。都営三田線・東京メトロ南北線「白金台駅」1番出口より徒歩6分。
電話番号:03-3443-0201
公式HP:https://www.teien-art-museum.ne.jp/
最寄り駅:JR山手線・東急目黒線・東京メトロ南北線・都営三田線「目黒駅」
アクセス:目黒駅より徒歩6分
電話番号:03-3491-8813
公式HP:http://kita-noh.com/
チケット
料金:一般3,000円、学生1,500円
取扱い(日本語):
Tickets Today(チケッツトゥデイ)
店舗情報:https://ticketstoday.jp/lineup/ja/teiennoh
電話:03-6228-1062(平日10:00-18:00)
Confetti(カンフェティ)
インターネット:https://www.confetti-web.com/teiennoh
電話番号:0120-240-540(平日10:00-18:00)
喜多能楽堂
インターネット:http://kita-noh.com/ticket/
電話番号:03-3491-8813(10:00-18:00 不定休)
東京で能や日本舞踊など日本文化を体験しよう!
能『船弁慶』 (撮影:石田裕)
解説付きの能公演は珍しいから、この機会を逃さないようにしましょう。披露されるのが、何世紀も日本人に愛されてきた能の代表的な演目であることにも注目です。
野外公演では樹々の葉音を聴き、風を感じながら能を鑑賞する特別な体験ができますよ。
イベントは日本文化に触れたい訪日観光客向けに、たくさんのプログラムを実施している「アーツカウンシル東京」が主催。ワークショップには、毎週開かれる日本舞踊や長唄三味線、演芸があります。
プログラムの多くは無料なので、アーツカウンシル東京の伝統文化・芸能事業の公式HPから詳細をチェックしてみましょう。
お問い合わせ:アーツカウンシル東京伝統文化事業事務局
電話番号:03-5428-3655
メール:info@tokyo-tradition.jp
公式HP:http://www.tokyo-tradition.jp/2019/program/036/
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Organized by Arts Council Tokyo, Tokyo Metropolitan Foundation for History and Culture
Co-organized by Tokyo Metropolitan Teien Art Museum, Tokyo Metropolitan Foundation for History and Culture
Supported by and in cooperation with Tokyo Metropolitan Government
Written by Ramona Taranu
メイン画像:能『船弁慶』(撮影:石田裕)