魅力いっぱい!日本海への玄関口・新潟と佐渡を満喫するスポット10選
東京から新幹線で2時間でアクセスできる新潟市と佐渡島は、日本海に面した魅力的なエリア。本記事では、優雅な「旧齋藤家別邸」や楽しい「新潟せんべい王国」、歴史ある佐渡金山や佐渡島の神社など、豊かな文化・歴史に触れられるスポット10カ所を紹介します。
日本海の玄関口――新潟市と佐渡島
Picture courtesy of 旧齋藤家別邸(上左)/佐渡市観光振興課(上右)/北方文化博物館(下右)
日本海側最大の島、佐渡島とその対岸に位置する新潟市は、かつて交易や金鉱で栄えたエリア。歴史ある食事処、芸者さんが舞いを披露する茶屋など、趣のあるスポットがいまも残っています。
日本海を巡る旅の出発点としてこれ以上の土地はありません。新潟市と佐渡島で訪れるべき10の場所をご紹介します。
新潟市――魅惑的な伝統文化を誇る港町
Picture courtesy of 北方文化博物館
本州の日本海側で最大級の街・新潟市は、旅人を暖かく迎え入れる港町として発展してきました。庭園や茶席、素晴らしい食事など、市内には日本文化の粋(いき)を体験できる場所が豊富。
新潟市へ行くためには、東京駅から上越新幹線に乗車して新潟駅で下車します。所要時間は2時間ほど。駅から新潟市観光循環バスを利用すれば、市内の観光名所を数多く巡ることができます。
1. 旧齋藤家別邸――日本でも有数の美しい庭園
Picture courtesy of 旧齋藤家別邸
近代和風建築の秀作として知られる「旧齋藤家別邸」は、1918年に豪商・齋藤喜十郎の別荘として建てられたもの。緻密な設計によって各部屋が庭園と切れ目なく組み合わされ、どの部屋からも庭を愛でることができます。
邸宅には客人をお茶でもてなすための茶室も。20世紀初頭の日本で茶会は教養ある裕福な人々の楽しみでした。茶室の凝った意匠からは、設計者の細部へのこだわりがうかがえます。
おいしい抹茶とお菓子を楽しみながらの庭園鑑賞も可能です(500円、16:00まで)。
庭園の中央には鯉が泳ぐ広い池。カエデや松、竹などがまわりに植えられています。
庭園のもっとも高い場所からは別邸全体が見渡せます。別邸の先には商業複合ビル「NEXT21」など超高層ビルの眺めも。過去と現在のコントラストが魅惑的な光景です。
カエデが色づく11月半ばには夜間のライトアップも開催。秋だけの風景に思わず見とれてしまうことでしょう。
旧齋藤家別邸へは観光循環バスに乗り、10番の停留所・北方文化博物館新潟分館前で降りてすぐです。
2. 古町――古きよき新潟を散策する
新潟市の古町(ふるまち)地区には、最盛期には京都にも並ぶほどの芸者さんがいたとか。日本各地からやってきた船乗りや商人が、長旅を終えて息抜きを求めたためです。現在は、地元で"芸妓"と呼ばれる女性たちが宴席で踊りを披露しています。
Picture courtesy of 新潟市
この地区を散策してみたい方は、まず新潟駅から北東へ30分ほど歩いて「新潟市歴史博物館みなとぴあ」へ向かいましょう。歴史的建造物を改修し、新潟市の歴史を紹介している博物館です。
みなとぴあから南西方向に20分ほど歩くと、有名な鍋茶屋通りに着きます。歴史ある食事処や茶店、長屋(昔の集合住宅)が並び、かつての栄華がしのばれる通りです。
鍋茶屋通りの隣が古町通(ふるまちどおり)。10分ほど歩くと、閑静な上古町(かみふるまち)地区に辿り着きます。ここは新潟市民の日々の暮らしが感じられる場所です。
ひと休みするなら、150年の歴史を誇る和菓子店「美豆伎庵 金巻屋(みずきあん かねまきや)」へ。季節のお菓子と抹茶が味わえます。
金巻屋では、小豆、米、サツマイモや豆類といった、昔ながらの食材で和菓子を作っています。職人たちが丁寧に作る季節のお菓子は、まるで小さな芸術品。
お菓子は年間250種類ほどで、お店には常時20種類くらいが置いてあります。日持ちするものもあるので、おみやげを探してみては?
3. 新潟せんべい王国――自分だけのせんべいを焼こう
新潟県は良質の米の産地"米どころ"。おいしいお米からはおいしいせんべいや日本酒が生まれます。せんべいのパリッとした食感が好きな方は、「新潟せんべい王国」を訪れてみてください。
この施設は日本で人気のせんべい「ばかうけ」をはじめ、お米を使用した米菓を販売している「栗山米菓(Befco)」が運営しています。
せんべい焼き体験(税込1,530円)では、特設のコンロでせんべいを焼き、醤油で絵や文字を描きます。クリエイティビティを発揮できますよ。
焼きあがったせんべいは直径25センチの特大サイズ。箱に入れてお持ち帰りできます。
売店にはイタリアン風味やカレーライス味のせんべいなど、ここでしか買えない限定品やグッズも。おみやげを探してみましょう。施設では、職人さんがせんべいを手焼きする姿も見学可能。
新潟せんべい王国は市の中心部から少し離れています。訪れるときは新潟駅から新崎駅まで電車で移動しましょう。新崎駅からは徒歩15分ほどです。
4. 今代司酒造――伝統の味を堪能
新潟にはいくつもの酒蔵がありますが、いま国内外から注目されているのは「今代司酒造(いまよつかさしゅぞう)」です。
「にいがたの今と古むすぶこと」という理念の通り、伝統的な建築様式と現代的にリノベーションされた店舗部分が共存した素敵な外観が目を引きます。
酒蔵見学は無料。酒造りの過程を学べますよ。1日数回の日本語の見学ツアーのほか、平日の14:00からは英語ツアーが開催されています。酒造りをする蔵人の法被を着て、写真撮影してみましょう。
約10種類の日本酒を試飲できるテイスティング(1,000円)も人気。甘口から辛口まで揃っており、初心者も日本酒通も満足できますよ。日本酒には鯉をモチーフにした瓶が美しい「錦鯉」も。
日本酒になじみのない方は、白ワインに似た風味の「IMA 牡蠣のための日本酒」を試してみてください。お酒が苦手な方はノンアルコールの甘酒試飲(無料)をどうぞ。
5. 北方文化博物館――多彩なプログラム
Picture courtesy of 北方文化博物館
新潟の歴史と日本文化を学びたい方は「北方文化博物館」へ行ってみましょう。豪農であり大地主でもあった伊藤家の邸宅を博物館として利用した施設です。日本人の生活文化に関する収蔵品を展示しています。
博物館は大広間棟や茶室、蔵といった建物で構成され、季節ごとの風景が楽しめる日本庭園も見事です。館内では、伊藤家が収集した美術品のみならず、茶器や陶磁器など、季節の行事で使われた道具も鑑賞できますよ。
Picture courtesy of 北方文化博物館
北方文化博物館では、茶室での茶会や芸妓による舞の披露、餅つきなど、日本文化を体験できるイベントも開催しています。
Picture courtesy of 北方文化博物館
このほか庭園解説のプログラムで庭園や茶室をまわり、伊藤家とお茶の深い繋がりについて学べます。北方文化博物館のイベント・プログラムについては、こちらをご確認ください。
昼食は施設内の和食店がオススメ。おいしい蕎麦の店「いはの家」や、豪華な和定食がいただける「みそ蔵」(要予約、最小人数6名〜)があります。
新潟市のグルメ
新潟市内の食事処を紹介しましょう。
ランチにぴったりなのは、日本海で獲れたばかりの魚が集まる屋内市場「ピアBandai」。市場内の飲食店舗でおいしい海鮮丼や寿司がいただけます。観光循環バスも停まるので、移動も楽です。
夕食は古町地区へ。新潟の食とお酒が楽しめる名店が揃っています。市民にも愛される海鮮料理店「五郎」や、昔ながらの居酒屋「すゞ家」はとくに有名。
新潟市の公式観光情報サイト「旅のしおり」には、市内の飲食店の情報も掲載されています。店探しに活用してください。
佐渡島――絶景の宝庫
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
佐渡島は、江戸時代(1603年~1868年)初期に金山が発見され、江戸幕府の天領(直轄地)として統治された歴史をもちます。今日では、豊かな自然と温泉、絶品の海産物を求め、多くの観光客がこの地を訪れます。
佐渡島行きのフェリーターミナルは、新潟港の複合施設「朱鷺(とき)メッセ」のすぐそば。新潟駅からはバスで15分、もしくは徒歩で30分ほどの距離です。
6. 大膳神社――佐渡の能文化に触れる
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
佐渡島は能楽と縁深い土地。数多くの作品を残した世阿弥(1363年~1443年)は室町幕府の将軍の庇護を失ったのち、佐渡島に流刑となりました。
江戸時代には能が武家の嗜みに。神事能として始まった佐渡の能は、村々の鎮守の祭りの場へと広まり、多くの能舞台が建てられました。
佐渡最古といわれ、島民から愛されている能舞台があるのは「大膳神社(だいぜんじんじゃ)」。
能舞台だけでなく社殿も必見です。緑豊かな森に囲まれた社殿は、往時の風格が保たれています。
大膳神社のほど近くには、新潟県唯一の五重塔を誇る「妙宣寺」があります。こちらにもぜひ立ち寄ってみましょう。
佐渡島では4月から10月にかけて能の公演が行われます。大膳神社では4月と6月に開催。佐渡島の公式観光情報サイト「さど観光ナビ」で日程を確認して訪れてください。
大膳神社は両津港から車で30分、「竹田橋」バス停留所から徒歩15分です。
7. 岩首昇竜棚田――棚田の頂上を目指す冒険
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
人里離れた場所が好きな方は岩首昇竜棚田(いわくびしょうりゅうたなだ)で、佐渡が誇る絶景を満喫しましょう。最寄りのバス停留所からは徒歩で1時間ほど。
険しい山道を進みますが、それでも行く価値は十分にあるといえます。傾斜地に広がる棚田の向こうには青い日本海。
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
4月から5月には棚田に水が張られ、水面に映る空の色が一層目を楽しませてくれます。夏(6月~8月)の青い海と稲の鮮やかな緑のコントラストも必見ですよ。
バスで行くときは東海岸線または岩首線の「岩首」停留所で下車してください。便が限られているため、事前に時刻表を確認することをお忘れなく。車なら展望小屋まで行けます。
8. 佐渡金山――廃坑を探検
現在は廃鉱となった佐渡金山。400年にも及ぶ採掘によって山に入った亀裂・道遊の割戸(どうゆうのわりと)の地下に金鉱が広がっています。
佐渡金山は、江戸時代に日本の経済を支え、明治以降にも日本の近代化に貢献した日本を代表する金銀鉱山。豊富な採掘量によって、佐渡島は流刑地から文化の中心地へと変化しました。いまでも島のあちこちに産業遺産が残っています。
坑道を巡るツアーも開催されています。当時の採掘作業や生活が人形を使って再現されているのは、坑道・宗太夫坑(そうだゆうこう)の見学コースです。
道遊の割戸を眺められるのは、道遊坑(どうゆうこう)。鉱石運搬に使用された設備も見学できます。
上級者むけの無名異坑(むみょういこう)の探検コース(前日までに要予約)では、採掘作業の興奮や、狭い道を進む恐ろしさの両方が味わえます。冒険心のある方はどうぞ。
いずれのコースも歩きやすい靴で参加しましょう。
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
採掘事業に関わりのある遺構は廃坑だけではありません。採掘事業を統括していたのは「佐渡奉行所」。1603年に建てられ、2000年に復元されました。
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
奉行所から徒歩10分ほどの場所には「北沢浮遊選鉱場」があります。鉱石処理を促進させるために1930年代後半に建設され、戦時下の経済に貢献しました。時代は違っても採掘という目的は同じで、これらの遺構を前にすると歴史の重さを感じずにはいられません。
浮遊選鉱場では期間限定でライトアップも行っていますので、お見逃しなく。(※2020年度のライトアップは、2021年2月28日までです)
9. 大野亀と二ツ亀――浜辺でくつろぐ
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
佐渡島では沿岸部の散歩や海水浴もオススメ。
島北部の大野亀(おおのがめ)は、海に突き出ている標高167メートルの巨岩。近くでは泳げないものの、遊歩道を歩いて大自然を満喫できますよ。
Picture courtesy of 佐渡市産業観光部観光振興課
大野亀がもっとも美しいとされるのは、5月下旬から6月上旬にかけて。黄色いカンゾウの花が丘を覆う時期です。
Picture courtesy of 佐渡市観光振興課
日本海で海水浴をするなら、大野亀からほど近い二ツ亀(ふたつがめ)海水浴場へ。島一番の美しさを誇るビーチです。小島は2匹の亀がうずくまっているような形をしているため、このように名付けられました。
陸から二ツ亀へと続く砂浜の風景は素晴らしく、ミシュラン・グリーンガイドで二つ星として掲載されています。海は透明度抜群。釣り具をレンタルして夕食用の魚を釣ってみたり、スクーバダイビングで海の美しさを満喫したりと過ごし方はさまざま。
大野亀と二ツ亀は島の北部に位置しています。両津港から車でおよそ1時間です。
10. 大佐渡スカイライン――佐渡を一望
大佐渡スカイラインは全長およそ30キロの展望道路。車で走れば、山と海の息を呑むような美しい眺めに出会えます。
標高900メートルの大佐渡スカイラインでは、日本海に囲まれた島全域を見渡せます。天気がよければ、新潟県北部の山並みも眺望可能。佐渡の自然と四季を味わうのに絶好のスポットです。
ひと休みしたいときは道の中間にある「交流センター 白雲台」へ。展望台と売店食堂が併設されています。
佐渡島のグルメ
佐渡でおいしい魚といえばブリ(スズキ目アジ科の海水魚)です。島の多くの食事処で寿司や刺身として出されています。佐渡島で寿司を食べたい方は「鮨 長三郎」がオススメです。
ブリのほかにも、佐渡ではお米、柿、ル レクチエ(梨)、和牛、カニ、南蛮えび、牡蛎などといった海産物も必食です。お酒好きなら島にある5つの酒蔵(逸見酒造、北雪酒造、天領盃酒造、尾畑酒造、加藤酒造店)にも訪れてみましょう。
詳しい観光情報は「さど観光ナビ」でご覧ください。
新潟市と佐渡島――隠れた宝石
絶景と豊かな歴史をもつ新潟市と佐渡島には心躍る体験が待っています。この記事で紹介した10カ所は、魅力的なスポットのほんの一部に過ぎません。
日本のメジャーな観光地はまわり終えて、穴場の旅先を探している方。ぜひ次の旅では新潟市と佐渡島を訪れてみてください。
日本海沿岸の詳しい情報は日本海縦断ルート・プロジェクトのサイトをご覧ください。
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Written by Steven Csorgo
Sponsored by the Association for Promotion of Japan Sea Routes
Main image courtesy of Sado City Tourism Department