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のだめカンタービレの舞台にも!パンの香りが漂う小さな駅「江古田」散策のススメ
池袋からわずか6分、西武池袋線「江古田」駅は、周辺にパン屋の集まる小さな駅。私が5年間住んでいた小さな街です。ここは、アニメ『のだめカンタービレ』の舞台でもあり、宮藤官九郎、蒼井優、吉本ばなな、三谷幸喜などの多くの有名人を輩出している大学もあります。
こじんまりとした学生街「江古田」散策
ひとり日本で仕事に励み、これからのことに自信がもてない時も、この街を歩けば心が穏やかになる。そんな、私にとって安心できる場所が、かつて住んでいた街「江古田」です。
今は別の場所に住んでいますが、「元住民」と一緒に歩きながら、この街の魅力を散策しましょう!
西武池袋線「江古田」駅は、開業から100年近くたつ歴史ある駅。エリア自体あまり広くはないものの、小学校から大学まで8つの学校があり、制服を着た青春真っただ中の学生が行き交っています。
学生のために建てられたような駅で、建物の設計も周辺の大学からの意見を基に行われたそうです。構内の掲示板には学生の発表会や文化公演のチラシが置いてありました。
特記すべきは、かつて日本アカデミー賞最優秀作品賞をはじめとした多くの受賞歴をもつ映画『Shall we ダンス?』のロケ地にもなっているところ。映画には、主演の役所広司が駅の1番ホームからダンス教室を眺めているシーンがあります。
映画学科を卒業した映画好きの私にとって、このシーンと同じ景色が見られることはとてもワクワクする体験でした。
芸術家を育てる街、江古田
江古田にある8つの学校のうち、大学は3つ。武蔵大学、日本大学芸術学部(通称、日芸)、武蔵野音楽大学があります。中でも日芸からは多くの有名人が輩出されています。文芸学科の吉本ばなな、写真学科の篠山紀信をはじめ、監督でもあり俳優でもある宮藤官九郎、人気女優の蒼井優、有名プロデューサー三谷幸喜もこの大学の出身です。
秋に開催される日芸の学園祭を訪れてみましょう。未来の芸術家の作品やアイデア展を行うブースなど、さまざまな作品を見ることができます。
また、ピアニストや演奏家などを輩出している武蔵野音楽大学は、日本の私立音楽大学の中でもっとも歴史が古い学校です。さらにここは、アニメ『のだめカンタービレ』の舞台にもなりました。
聖地巡礼に訪れた人には嬉しい、ヒロインの「のだめ」がピアノを弾く看板が江古田駅にありますよ!
パンの激戦区、江古田
江古田はパンの激戦区ともいわれる場所。駅の周辺に自営のパン屋が約20軒もあるからです。パンの焼き上がる時間帯には、駅を出るとパンのよい香りが漂ってきますよ。この香りに誘われて、足が勝手にお店へ向かってしまうことがよくありました。
初めて江古田に訪れる方は、まず2つのパン屋をチェックしましょう! ここからは、江古田散策の1日モデルコースを紹介します
8:30〜 豪華な朝ごはんが魅力「パーラー江古田」
ここは数ある江古田のパン屋の中でもトップクラス。大人気のお店のパンを食べるには、早起き以外に方法はありません!
過去、休日のお昼ごろに行ったときは1時間以上並んだことがありました、平日の開店すぐなら、のんびりとした店内で種類も豊富なパンの朝食が食べられます。
お店に入ると、店員が丁寧にパンの種類を説明したり、職人が忙しそうに、けれど真剣な眼差しで調理したりする様子を目にすることができました。
今回注文したのは、トーストセット(税込980円)。石臼で挽いた手作りの全粒粉パンと、しっとりしたトースト、サラダ、東京で有名なカフェで焙煎されたコーヒーがセットになっています。ひとつひとつにお店のこだわりが感じられました。
12:00~15:00 満足すること間違いなし「MOTHER GOOSE」
100年の歴史をもつMOTHER GOOSEは、店主も3代目に引き継がれ経営されています。今の店主の祖父の時代から販売されているロングセラーのパンや、アレルギー成分を考慮したパン、さらには果物や酵母菌で作った自家製のパンまで、店内にずらりと並んでいます。
近くの保育園とも長年にわたり協力し合い、子どもたちにシンプルでおいしいパンを提供しているそうです。
ランチを軽くすませたい時に、私はよくここで惣菜パンやクリームパンを買っていました。豪華な見た目ではありませんが、そのパンを持てば幸せな気分になれるでしょう。
訪れたくなる3つのスポット
江古田に住む人々の生活を支え、地域の歴史が刻まれているようなスポットもあります。中でも特に印象的だった場所を巡ってみましょう。
16:00~ タヌキが見守る銭湯「浅間湯」
1927年に開業したこの銭湯は現在、店先にタヌキの像が置かれています。以前、近くに住む教授が海外へ引っ越す際に、当時の店主に贈ったものだそうです。中の休憩スペースにはタヌキの標本もありました。これは、ほかの銭湯の主人が狩りをした時に贈ってくれたものだとか。
銭湯の壁画は日芸の教授がデザインした、唯一無二のモザイク画でできています。インテリアから浅間湯と地域の人とのつながりが感じられますね。
私は普段あまり銭湯には行きませんが、家の水道が凍ってしまったときに行ったことがあります。慣れない場所で不安な中、同じく銭湯に来たお客さんが声をかけてくれました。銭湯は近所の人が集う、憩いの場にもなっているようです。
17:00~富士塚の中でも有名な「江戸八富士」
駅の北口から出ると、浅間(せんげん)神社が目に入ります。住んでいたころは年始に参拝し、引越しの際にも感謝を伝えにいきました。絵馬を見てみると、日芸や近隣の大学への進学を願う学生も多く見られます。
この浅間神社には、高さ約8メートル、東京で最大規模の富士塚があります。
富士塚とは、江戸時代(1603年~1868年)末期ごろから作られた塚のこと。富士登山が難しい方でも、同じようなご利益が得られるよう作られたものです。中でも東京で有名な富士塚を「江戸八富士」と呼び、そのひとつが浅間神社の境内にあります。
浅間神社の富士塚は国の重要有形民俗文化財にも指定されました。1月、7月、9月の特定の日にだけ開山します。
18:00~ 牛丼「松屋」1号店
「松屋」は、全国に1,000店舗以上を展開する丼物飲食店チェーンのひとつ。この第1号店が、意外にも江古田にあるんです。外観はほかの店舗と同じですが、半世紀以上もこの地で営業しています。
壁には「松屋1号店江古田店」という看板が掛けられており、そのそばには創業から今日までの歴史の説明と、初代店舗の写真が飾られています。お昼には牛丼、夜は焼肉定食と、学生や社会人などさまざまな客層に提供しています。
お得な価格で品質もよい食事を提供したいと考えているからこそ、競争の激しい中でも続けられているのでしょう。
ゆっくり散策するなら江古田へ
こじんまりとした江古田駅周辺は、特色のある小さな店と地域に住む人のつながりを感じることができます。大きな駅で感じる時間の流れとは違った、ゆったりとした空間です。
慌ただしい日々からちょっと抜け出したいと思ったら、江古田に来て、朝ごはんからゆっくりと過ごしてみてはいかがでしょうか。