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風に揺れる紫色の藤の花は、春の日本の名物のひとつです。もっとも人気のある亀戸天神社のほか、西新井大師、日枝神社などの名所を10カ所、紹介します。中には、夜のライトアップが楽しめたり、混雑せず静かに楽しめるスポットもありますよ。
日本の春の花といえば桜ですが、ほかにもツツジ、牡丹など多くの花があります。中でも、まばゆい花々がゆらめく藤は、古くから日本人を魅了してきました。日本最古の和歌集『万葉集』には、藤を詠んだ和歌が27もあります。
平安時代には、貴族が衣類の文様などに藤を取り入れました。当時の有力な貴族・藤原氏も、藤をあしらった家紋をつくっています。
高層ビルが立ち並ぶ現代の東京にも、藤の名所は多くあります。
東京で美しい藤の花が見頃を迎えるのは、例年4月中旬から5月中旬にかけてです。
この時期、都内各地の藤棚が見事な紫色の花房で彩られ、藤まつりを開催するスポットもあります。
本記事では、東京の「藤の花」の名所10選と、2025年の藤まつり情報をまとめて紹介します。
1.亀戸天神社
2.西新井大師
3.日枝神社
4.日比谷公園
5.皇居東御苑
6.小石川後楽園
7.國領神社
8.神代植物公園
9.小金井公園
10.拝島公園
「亀戸天神社」は東京で最も有名な藤の名所。江戸時代に人気を博した有名な浮世絵(※)シリーズ『名所江戸百景』でも、亀戸天神社の藤の風景が描かれています。
亀戸天神社では、毎年4月中旬~下旬にかけて15棚100株以上の藤の花が咲き乱れます。風に揺れる藤の花と、朱色の太鼓橋は、同社のシンボル的な景色。境内からは東京スカイツリーも見えますよ。
亀戸天神社では毎年4月中旬から5月上旬にかけて藤まつりが開催され、とても賑やかです。例年この期間は、日没から0時までライトアップも行われます。
やわらかなライトを浴びて水面に映る藤の天蓋も、ライトアップされたスカイツリーも、昼とは違う美しさを見せてくれます。夜は日中より観光客が少ないので、ゆっくりと写真を撮ることができます。藤まつりの時期は毎年少しずつ異なるので、亀戸天神社HPなどでご確認ください。
※浮世絵……江戸時代に流行した日本の伝統的な絵画芸術。主に版画
2025年の「藤まつり」は、4月5日(土)〜30日で開催予定です。詳細は、こちらをご確認ください。
浅草・東京スカイツリー観光と一緒に楽しめる!
Picture courtesy of kkday
東京北部にある「西新井大師」には、樹齢700年の藤の木があり、本堂正面のいろは池前で見事な花を咲かせています。
満開になるのは例年4月ごろ。開花状態が良好な場合、花房の長さは最大1メートルにもなります。心地よい水音と優雅な藤の香りが、日本の春の雰囲気を感じさせてくれますよ。
東京の中心・永田町にある「日枝神社」。江戸時代に江戸(東京の旧称)の総氏神とされていた、歴史ある神社です。神社の両側の藤はそれほど大きくはありませんが、それでも多くの人々の目を楽しませてくれます。
藤の花を見た人々の感嘆の声や、風で花房が揺れる様子は、高層ビルに囲まれた境内の雰囲気を和ませています。
薄紫の藤の花と朱色の社殿が調和した美しい景観も印象的です。
????お花見の次は、「藤の花」の季節ニャ〜????????
この動画は過去の日枝神社の藤の花だっちゃ!ゆらゆら揺れてて、キレイだったニャ〜✨
????東京|藤の花の見頃・まつりをチェック!https://t.co/iIPO5e8qD8 pic.twitter.com/UjS9v36O8N
— まっちゃん????猫だって旅したい! (@matchantravel) April 4, 2025
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Photo by pixta
東京の中心部、オフィスビルや商業施設に隣接する「日比谷公園」は、日本初の近代的洋風公園です。広々とした敷地内には広場、池、テニスコート、たくさんの花壇があり、まるで都会のオアシスです。
藤の花の鑑賞スポットは、園内に3カ所あります。中でもオススメは、雲形池の横にある藤。池と新緑、藤を同時に眺めることができ、都会の喧騒を忘れてリラックスできます。日比谷公園の開花情報については、公式Xをご覧ください。
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「皇居東御苑」は、一年中花を楽しめる場所。二の丸池にある藤は、それほど大きくはありませんが、紫と白の藤を一度に眺めることができます。
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「小石川後楽園」は東京最古の大名庭園。園内では、各地の景勝を模して、湖・山・川・田園などさまざまな景観が表現されています。
田園地帯に足を踏み入れると、藤棚がずらりと並び、観光客の注目を集めます。
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藤棚の前には、ショウブとカキツバタの花畑があります。ショウブは6月に咲きますが、カキツバタの開花期は5月上旬で、藤の開花と同じころ。運が良ければ、カキツバタの花畑を散策しながら藤の花の絶景を楽しめます。
散策しながら、この牧歌的な風景をつくった古代人に想いを馳せてみてもいいかもしれません。
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都会の喧騒から離れた、自然豊かな調布にある「國領神社」。御神木である藤の木は樹齢400〜500年で、藤棚の面積は400平方メートルにもなります。人々は畏敬の念から「千年乃藤(せんねんのふじ)」と呼んでいます。
毎年4月の中旬から下旬にかけては藤まつりが開催。また、2025年は4月5日(土)〜5月6日まで、かわいらしい藤の花の御朱印が発行されます。
藤の開花期には、藤のお守りや絵馬も並びます。お守りには御神木である「千年乃藤」の実が入っており、延命・子孫繁栄・万物繁盛、心願成就にご利益があるとされています。藤の花が描かれたデザインも魅力的です。
2025年の「国領千年乃藤まつり」は4月19日・20日に開催予定です。
開催時間は19日10時30分~17時00分、20日9時30分~16時30分。詳細は國領神社HPをご確認ください。
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同じく調布にある「神代植物公園」も藤の名所です。もともとは東京都の街路樹などを育てるための苗圃(びょうほ)だったこともあり、庭には藤の花をはじめ、さまざまな種類の植物が植えられています。
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庭には紫色の藤だけでなく、白い藤や花びらが幾重にも重なって咲く八重藤など、13種49株の藤が植えられています。多様な種類があるため、開花期間が若干ずれており、藤の花を楽しめる期間が長いのも大きな特徴です。
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繁華街から離れた広大な公園で、桜の名所としても有名な「小金井公園」。ここでも紫と白の藤を同時に鑑賞できます。敷地内には、日本の建築物を展示する屋外博物館「江戸東京たてもの園」があり、家族で一日中楽しめます。
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樹齢800年以上、「拝島のフジ」でも知られる「拝島公園」の藤は、千歳のフジと呼ばれ、東京都の天然記念物に指定されています。
例年、4月下旬から5月上旬に見頃を迎えます。藤は公園の一角にあるので、ゆったり静かに鑑賞したい人にオススメの穴場スポットです。
また、公園内や周辺には複数の社寺が点在するので、藤を鑑賞しながらの社寺巡りもオススメ! 拝島公園へのアクセスは拝島駅からバスが便利です。
2025年の東京における藤の花の見頃は、例年並みであれば4月中旬から5月中旬頃と予想されます。ただし、気候条件によって開花時期は変動するため、お出かけの際には各名所の最新情報を事前に確認することをおすすめします。
街から桜色が見えなくなると、次に上品な香りとともに訪れるの紫の色。風に揺れる藤の花が、春の風景になります。
この時期に東京に来たら、神社、公園、庭園など、さまざまな場所でロマンチックな藤の花を楽しんでください。
※本記事は2022年4月22日に公開した記事を2025年版にリライトしました。
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