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奈良・東大寺の二月堂に松明が灯る!春の始まりを告げる行事「修二会(お水取り・お松明)」【2018年】
「修二会」とは、奈良に春の訪れを告げる東大寺二月堂の伝統行事。二月堂の欄干を松明の炎が駆け抜け、堂内に僧侶の声明が響く――。その荘厳な光景は、一生忘れられない体験としてあなたの目に焼きつくに違いありません!
1260年以上の歴史がある「修二会(お水取り・お松明)」とは?
写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー(木村昭彦氏撮影)
奈良県にある世界遺産のお寺、東大寺をご存知の方は多いのではないでしょうか。
「修二会(しゅにえ)」とは仏教の法会(※1)の1つ。東大寺では二月堂で毎年3月初旬から中旬に行われます。一般には「お水取り(おみずとり)」または「お松明(おたいまつ)」と呼ばれています。
「修二会」の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)」と言います。練行衆(れんぎょうしゅう)と呼ばれる僧侶が人々に代わって、日常犯しているさまざまな過ちを、二月堂のご本尊である十一面観音菩薩の宝前で懺悔(さんげ)することを意味しています。広くは「豊年を招き、災いを遠ざける」という意味合いがあり、東大寺では1260年以上も昔から行われています。
「修二会」の期間中、毎夜、練行衆を先導する松明に火が灯され、3月12日には井戸からくみ上げた香水(こうずい)を観音様にお供えする「お水取り」が行われます。このことから「お松明」、「お水取り」とも呼ばれるようになりました。
同様の行事が全国各地で行われていますが、東大寺で行われるものがもっとも有名で、毎年たくさんの観光客が訪れます。
※1:法会(ほうえ)……仏法を説くため、または供養を行うなど、ある目的をもって多くの僧侶が集まり、説法を行う会。
「修二会(お水取り・お松明)」の日時と詳細(2018年版)
「修二会」は以前は旧暦の2月に修されていましたが、現在は毎年3月1日~15日の未明にかけて行われています。この記事では、「お松明」、「お水取り」、「だったん帽いただかせ」についてご紹介します。
「お松明」
写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー(植田英介氏撮影)
写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー(木村昭彦氏撮影)
「お松明」とは、本来、「修二会」で厳行(ごんぎょう)する練行衆を二月堂に先導する道灯りとして灯されるものです。しかし、二月堂の舞台の上で松明を振り回したり、松明が駆け抜ける様子に迫力があることから、たくさんの観光客が「お松明」を目的に訪れるようになりました。
写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー(木村昭彦氏撮影)
この松明の火の粉を浴びることで、無病息災、つまり病気にならないと言われています。
松明は期間中の3月1日から14日まで毎日掲げられますが、3月12日には籠松明(かごたいまつ)と呼ばれる直径30㎝ほどの大きな松明が掲げられ、見どころとなっています。ただし12日にはとくに多くの観光客が訪れ混雑するため、早めに到着しないと見られない場合があるので注意が必要です。
「お松明」のあがる日時
・2018年3月1日~3月11日・3月13日 19:00~19:20
・2018年3月12日 19:30~20:15
・2018年3月14日 18:30~18:40
「お水取り」
二月堂の下にある若狭井(わかさい)という井戸から、「お香水(おこうずい)」と呼ばれる井戸水をくみ上げ、二月堂のご本尊である十一面観音にお供えする儀式。
二月堂から手松明(てだいまつ)と奏楽に導かれる行列が石段を下って若狭井に至り、また二月堂へと戻る様子を見ることができます。
「お水取り」の行われる日時
・2018年3月12日から13日にかけての深夜(午前1:30ごろ~)
「だったん帽いただかせ」
「修二会」が終わった後の3月15日の朝に行われる行事。練行衆が達陀(だったん)のときにかぶった金襴(きんらん)の帽子を子どもの頭にかぶせ、健やかな成長を願うもので、だれでも参加することができます。
※1:達陀(だったん)……修二会で行われる行法の一つ。
「だったん帽いただかせ」の開催日時
・2018年3月15日10:00~15:00
「修二会」の会場・東大寺までの行き方
期間中は大変混み合うため、公共の交通機関で訪れましょう。
JR大和路線・近鉄奈良線の奈良駅からは市内循環バスが出ています。バスの場合は大仏殿春日大社前で下車し、徒歩5分でたどり着くことができます。また、近鉄奈良駅からは徒歩20分ほどなので、町並みを楽しみながら歩いて訪れるのもオススメです。
「修二会」参拝の際の注意点
写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー(植田英介氏撮影)
「修二会」は仏教の行事の1つとして行われるものです。参拝する際は、妨げになるような行動や境内で走るなどの行動は慎みましょう。
「お松明」の掲げられる時間帯にはたくさんの観光客が訪れるため、場合によっては見学できないことがあります。とくに3月12日は込み合いますので、旅程に余裕のある方はほかの日に訪れるのがオススメです。
また、3月は日本ではまだまだ寒い季節です。夜間は特に冷えますのでコートなどで厚着をして出かけるとよいでしょう。
安全や周囲に配慮しながら、東大寺の歴史的な行事「修二会」を参拝してください。
※本記事は2017年2月13日に公開した記事を2018年版にリライトしたものです。