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2017年9月までの限定開催!空間・時間・光を全身で感じる、京都「ガラスの茶室」展
吉岡徳仁によってデザインされたガラスの茶室は京都青蓮院にて2017年9月10日まで展示されています。空間、時間、光を熟考する中で生まれたこの精巧な作品は、この夏京都に行く方必見です。
デザイナー吉岡徳仁(よしおか とくじん)氏の手がけたガラスの茶室「光庵」が、現在(2017年7月)、京都・青蓮院境内で展示されています。吉岡氏は、雑誌『Newsweek』において「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれた、国際的なデザイナー。
展示が終了する2017年9月10日までに、ぜひ訪れてみてください。精工なガラスとそこに降り注ぐ光が織りなす作品は一見の価値ありです。
"京都の始まりの場所"に建つモダンな茶室
ガラスの茶室というコンセプトは、2011年に開催された「第54回ヴェネツィア ビエンナーレ国際美術展Glasstress 2011」にて発表されました。そこから約5年の年月をかけ、展示に至ります。
2015年の4月、光庵は京都・青蓮院境内、青龍殿の舞台に建設されました。この青龍殿は、将軍塚といわれる丘の最高峰に位置しています。
ある伝説によると、現在の京都の歴史はこの将軍塚から始まったとされています。
それは8世紀のこと。ときの天皇がたまたま旅の途中にこの丘を訪れたことがありました。天皇は丘からの眺望に非常に大きな感動を覚え、日本の都をこの土地に移すことを決定します。これが古都 平安京の始まりでした。
彼は後に桓武天皇と呼ばれ、京都に都を移した天皇として日本人に記憶されるようになります。桓武天皇は、侵略軍や敵から新しい都を守るため、将軍の像を作らせ塚に埋めるように命じました。これがこの地を将軍塚と呼ぶ由来です。
ガラスの茶室は、京都の歴史が始まったとても重要な土地に建てられているのです。
なぜガラスの茶室なのか
茶道は自然とそのサイクルに感謝を示す芸術です。夏には、茶を立てるのに使う透き通った水の音を聞き、湯呑の中にできる水の模様を愛で、暑さの中にも涼しさを感じます。
冬には、茶室から見える小さな梅の枝と沸騰する水の音が、春を心待ちにする来客達の心をもてなします。四季折々の感動的な目覚めがこの茶室の中に集められた一つ一つの動作や思想に満ちているのです。
光庵には季節ごとの掛け軸をかける壁や、切り花を生けるスペースもありません。しかし、その代わりにガラスの壁を通してこの茶室を取り巻く自然の全てを目で楽しむことができるのです。床も厚いガラスででできており、茶道の大切な要素の一つである流水をイメージさせるデザインが施されています。
ガラスの茶室は、生活と自然との間にある境目をなくすための野心的な試みなのです。
またここでは、一日の時間の流れ、季節の変化など「時間」を直接体感することも可能です。例えば太陽が屋根の頂点にあるとき、日光がガラスのプリズムを通って茶室を虹色に包み込みます。
京都から世界へ
ガラスの茶室「光庵」は2017年9月10日まで青龍殿の舞台に展示されています。そのあとは、世界中の様々な場所に展示されることになっています。
この夏に京都に訪れることがあれば、ぜひ将軍塚の丘に登り実際に光庵を目にして欲しいです。茶道の文化に刺激を与えた大自然の中の特別な建築作品、ガラスの茶室。日本の文化が生まれた場所、京都で、逃してはならない経験が待っています。
Living in Fukuoka City, interested in travel, food, and fashion. Dream destination is Finland to see the Northern Lights.