旅の準備はじめよう
生活の一部に取り入れたい、谷中銀座「暮らしの道具 谷中松野屋」のずっと使える手作り工芸品
谷中銀座商店街の入り口付近にある「谷中松野屋」は、自然の中でできる素材から職人が作る工芸品を扱う店舗。温かみのある商品が並んでいます。谷中松野屋の商品を、暮らしの一部に取り入れてみてはいかがでしょうか。
アメリカで啓発を受けた松野社長
下町の家族経営企業らしい気軽さで、松野社長はポロシャツ姿というラフな格好で店舗に立っています。また、かつてアメリカを旅行した経験から、流暢な英語を話します。
40年前に大学を卒業した松野社長は、京都に出てカバンの老舗で勉強をしました。デザインやパタンナーの仕事、製作を学んだあと、アメリカ一周旅行を経験して、松野家に戻ります。
松野社長が旅行をしていた1970年代のアメリカは、ジーンズブランド「LEVI’S」のような耐久性のあるブランドが流行し始めていた時代。
この影響を受け、松野社長は日本における耐久性商品の可能性を考えるようになりました。
飲み屋の厚口グラス小(税抜1,200円)と酒受皿(税抜800円)
1970年代の日本はというと、ホームセンターが出現し、大量生産のプラスチック製品が販売され始めた時代です。安価な製品がブームとなり、伝統的な手工芸品は消費者にとって割高に感じられるようになりました。
それでも、さまざまな職人に会って、伝統工芸の耐久性の可能性を見出していた松野社長は、「消費者にも、伝統工芸のよさを知ってもらいたい」と、考えるようになりました。
その想いを実現するために「谷中松野屋」が誕生したのです。
日本中を渡り歩き、良質な手工芸品を発掘
店内にある全商品が、松野社長自ら会いにいった職人の作品です。実際に訪れ、その品質を確認した後に谷中松野屋で販売しています。また日本だけではなく、海外のよい商品も紹介しています。
ワラ釜敷き中(税抜2,000円)
店内には100種類以上の商品があり、すべての商品に生産地が記されています。公式HPには生産者の写真が掲載され、購入する人が商品の温かみを感じることができるよう工夫しています。
「手作りは高い」という固定概念を打ち破るべく、松野屋の商品の価格は一般的な大量生産商品に近い金額を目指しています。お客さんが好きな商品を自由に手に取ることができ、そして苦労して商品を作り上げている職人にも売上が渡せるような価格設定です。
オススメの商品を聞くと、松野社長は迷うことなくバックを取り上げました。「THREAD-LINE」は自社ブランドで、社長自らデザインし、京都の職人に仕上げてもらっている商品です。
「女性は男性用のバックを使うことができても、男性は女性用のバック使うことはできないですよね。だから私はみんなが使うことのできるバックを考えたんです。このバックは本当に耐久性があるんですよ」。
バックに込めた想いを、商品を紹介しながら松野社長は話してくれました。
まとめ
日本の職人精神と、アメリカで学んだ発想を持ち、店舗に置く商品を探して世界中の展覧会を駆け回る松野社長。グローバルな目線をもちつつも、その下町風情を変えることはありません。
私が社長と初めて会った時、写真にある赤いカゴを2つ、椅子として使用しました。真夏のセミが鳴く太陽のもと、店舗を見ながら松野屋の誕生を語る目は暖かく、私は深く心を動かされ、こう感じました。
きっと、私たち消費者に温かみを届けてくれる場所であると。
※本記事は繁体字版の記事を翻訳・再編集しました。