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創造力を呼び覚ます東京のカフェ「珈琲の香」
東京都小平市にある「珈琲の香」は、地元の人々に愛されている名物喫茶。ステンドグラスのランプ、そしてアートに彩られた店内でリラックスしながら、己の内に眠る創造性を呼び覚ますことができる場所です。丁寧に淹れたこだわりコーヒーも見逃せませんよ。
自分だけの「秘密の場所」
思索にふけったり、元気を取り戻したい時に行く、お気に入りの場所はありますか?
美しい自然に囲まれた景勝地、海のそば、あるいは自分の部屋の中。きっと誰にでも、自分だけの“オアシス”があるでしょう。
筆者にとってのオアシスは「珈琲の香」。東京小平市にある喫茶店です。おいしいコーヒーが楽しめるだけでなく、インスピレーションが湧いてくるような場所なのです。ここがどうして特別なのか、ご紹介させてください。
コーヒー好きのオアシス「珈琲の香」
「珈琲の香」は、西武新宿線の小平駅近く、小平市民文化館の「ルネこだいら」に向かう道沿いにあります。
このお店は永田珈琲倶楽部グループの1つです。小平駅南口にはほかに「永田珈琲」と「ぽえむ」が、北口には「永田珈琲倶楽部 焙煎工房」もあります。
永田珈琲倶楽部は、コーヒーを愛するオーナーの「人々がコーヒーを飲んでくつろげる場所をつくりたい」という思いから始まりました。
1993年にオープンした「珈琲の香」には、あちこちにそうした思いが詰まっています。ここで出される質の高いコーヒーやおいしいお菓子からは、彼らの情熱が伝わってきます。
想像力と創作意欲をかきたてる空間
「珈琲の香」に入ると、特別な空気が漂っていることに気付くでしょう。まるで、独自の法則が支配する時空間に入り込んだような。
優雅な木製のインテリアの中で、各テーブルに置かれたステンドグラスのランプが美しい光のモザイクを放っています。
カウンターの後ろの棚には、磁器のカップがたくさん並んでいます。どれもお洒落ですね。
壁には美しい絵が飾られており、見る者はしばしの間、世俗的な思考から解放されるのを感じるでしょう。
店の幻想的な雰囲気をさらに高めてくれるのが、音楽です。平日はクラシック、土日祝日と満月の日はジャズが流れます。
「珈琲の香」では毎月、満月の日に、各テーブル席にキャンドルを置いて祝います。自然の周期と合わせたこの取り組みは、20年以上も続けられおり、今や「珈琲の香」の伝統になりました。
ほのかな灯りと音楽、芸術的なインテリアがつくり出す空間は、しばしの夢にふけるのに最適です。心を自由にたゆたわせていれば、創造の泉が湧き出すのを感じるかもしれません。
筆者も「珈琲の香」で数分過ごすだけで、いったい何度、アイディアやインスピレーションが湧き出てきたことか。
丁寧に淹れたコーヒーと洗練されたお菓子
永田珈琲倶楽部が運営する全てのお店では、細心の注意を払って選定・焙煎した豆を使っています。また、特徴的な味があったり、入手が難しかったりする豆を好んで使う傾向があります。
豆の仕入れ先は、ホンジュラスやグアテマラ、コスタリカ、ジャマイカ、ブラジル、パプアニューギニアなど。これらを組み合わせて、「永田珈琲焙煎工房」では、オリジナルブレンドを提供しています。
オリジナルブレンドには全て、香りをイメージした名前が付いています。
例えば「風の香り」は、ブルーマウンテンを使ったマイルドな1杯。「空の香り」は、コロンビアとモカのほっとする軽い味わい。「炎の香り」は香りが高く苦みが強い味わい、など。
「珈琲の香」は、コーヒーを淹れるという職人技への献身が感じられる場所です。スタッフは客の1人1人に向けて、特別に選んだカップに、真心を込めてコーヒーを注いでいます。
コーヒーのみ注文する場合、ブレンドに使われてた豆も添えられます。これは食べることもでき、コーヒーのもともとの味が感じられます。
コーヒーとケーキのセットには、目にも鮮やかな季節の花が添えられてきます。
ケーキは8種類から10種類ほど。オーガニック食材を使ったものや、ヴィーガン向けもあります。控えめな甘さは、誰が食べてもおいしく感じられるでしょう。
「珈琲の香」は、スコーンやクッキーといったお菓子のほか、サンドイッチやトーストなどの軽食も提供しています。
時間を止める余裕の大切さ
筆者は現在、日本でフルタイムで働いています。長時間働きながら創造的でいるのは、時に難しいものです。でも、そんな経験から言えるのは、ほんの少し立ち止まる心の余裕が持てれば、奇跡は起こるということ。
そのためには、いつもの時間の流れから自分を解放してくれる空間に行ってみるのがよいでしょう。
「珈琲の香」は、創造の泉とのつながりを取り戻させてくれる場所。ここで飲む1杯のコーヒーは、情熱を注ぎたい夢があることを、あなたに思い出させてくれるでしょう。それは、この喫茶店のスタッフも、同じく情熱をもって仕事をしているからです。
この空間は、あなたが必要な時に、何度でも、あなた自身に立ち返らせてくれる場所なのです。
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In cooperation with Coffee no Kaori
2016年よりMATCHA編集者。 能楽をはじめとする日本の舞台芸術に魅せられて2012年に来日。同年から生け花(池坊)と茶道(表千家)を習っています。 勤務時間外は短編小説や劇評を書いていて、作品を総合文学ウェブメディア「文学金魚」でお読みいただけます。