知られざる「もうひとつの京都」8つのローカルグルメ
京都市の周辺では、松葉ガニやブリといった地域の名産品や、普茶料理のような特徴的なスタイルの料理など、一般的な京都のイメージとは異なるユニークな食に出合えます。宇治や舞鶴、長岡京、福知山など「もうひとつの京都」で味わえるローカルグルメを紹介します。
「もうひとつの京都」のご当地グルメと出合う旅へ
京都の料理というと、優美な品々が並ぶ懐石料理や、肉や魚を使わないお寺の精進料理をイメージするかもしれません。しかし京都市の周辺に足を伸ばすと、地域文化に根差したご当地グルメに出合えます。
海や山の近くで、あるいはお茶や竹の名産地で。その地域でしか味わえない多彩な料理があるのも、京都旅の楽しみのひとつです。本記事では、京都市以外の京都府の地域「もうひとつの京都」の8つのオススメグルメを紹介します。
1. 松葉ガニ――京丹後市・舞鶴市
間人(たいざ)ガニ。Picture courtesy of 海の京都DMO
日本の最上級の海産物として知られる松葉ガニ。中でも、京丹後市で獲れる間人(たいざ)ガニ(※1)と舞鶴市の松葉ガニは、冬の味覚として人気です。身は柔らく豊かな味わいがあり、地元では、体が温まる鍋料理で楽しむ人が多くいます。
11月6日から3月末まで、京丹後市や舞鶴市の旅館やホテルで食べることができます。
※1::間人ガニ……間人港で獲れる松葉ガニの名称。
2. ぶりしゃぶ――伊根町
Picture courtesy of 海の京都DMO
京都府北部沿岸にある、絵のような佇まいの漁村、伊根町。趣のある舟屋が立ち並ぶこの町では、江戸時代(1603~1868年)から多くの人が漁業に携わっています。
この地域のご馳走のひとつが、しゃぶしゃぶで食べるぶり。冬は特に脂が乗っているので、オススメです。伊根町やその近郊の食堂で食べることができます。
3. どぶろく――福知山
「どぶろく」とは、米を発酵させた、濾過されていない手作り酒を指す言葉。日本では自家醸造が禁止されていますが、特定の地域では製造が許可されています。
そのひとつ、京都府の福知山市大江町では、どぶろくが昔から地域文化の象徴となってきました。
「鬼ババァー」は、「割烹さとう」女将の佐藤則子(さとう・のりこ)さんが仕込んだどぶろく。「悪魔のような老婆」を意味するこの名前は、福知山に伝わる鬼(※2)の伝説「酒呑童子(しゅてんどうじ)」に由来します。
飲んでみると、その舌触りのよさは驚くほど。濾過されていないため、発酵の泡立ちが目で見え、舌で感じられます。「このお酒は生きているんです」と語る則子さん。アルコール度数は12度と高めですが、口当たりがよく、やみつきになる人が多いのも納得。
※2:鬼……日本の昔話に登場する想像上の存在。凶暴かつ悪魔的なものである一方、守護神と見られることもある。
「割烹さとう」では、「鬼ババァー」のほか、おいしい和食を提供しています。季節の食材から絶品料理を作り出すのは、ご主人の佐藤博行(さとう・ひろゆき)さん。福知山を訪れた際には、ぜひ寄ってみてくださいね。
「割烹さとう」は内装・外装とも和風で、室内はゆったりしています。その優雅な雰囲気は、旅のよい思い出となるでしょう。行く際は事前予約が必要なので、お忘れなく。
4. 鯖寿司――亀岡市
鯖寿司は、京都府北部と深い関わりのある料理。
かつてこの地には、京都市と舞鶴や伊根といった日本海側の港町をつなぐ街道が通ってました。この街道は、鯖をはじめとする多くの海産物が運ばれたことから、「鯖街道」と呼ばれていました。
鯖は、冬の食材として重宝されてきました。栄養価が高い上、酢でしめたり塩漬けにしたりすれば冷凍設備がなしで長期保存できたからです。鯖寿司は腹持ちがよく、おいしい上、栄養もたっぷりです。
鯖寿司を食べるなら、亀岡駅前の老舗「はっとり」へどうぞ。「寿司定食」を頼むと、鯖寿司が二貫付いてきます。
鯖はもともと身が固いため、酢でしめたり塩漬けにしたりして食べやすくするには、相当な技術と経験が必要です。しかし、「はっとり」の鯖寿司を食べると、その柔らかさとおいしさに驚くでしょう。
「はっとり」は昔ながらの日本家屋で、寛ぎやすい雰囲気が漂っています。
通りがかりの人が、店主が寿司を握る様子を見られる窓も付いているので、亀岡市を訪れる際はぜひ行ってみてくださいね。
5. 普茶料理――萬福寺(宇治市)
京都市近郊の宇治市にある萬福寺では、静かな寺院の中で、色とりどりの料理を楽しめます。これは普茶(ふちゃ)料理と呼ばれ、ベジタリアン・ヴィーガンの人でも食べられる中国伝来の精進料理。
普茶料理は、一般的には大皿から各人が取り分けますが、現在は、主な料理を一人用の重箱に詰めて提供されます。
天ぷらや揚げ物、風味豊かな野菜、胡麻豆腐、デザートなど、多種多様な料理は、どれも素晴らしい味わい。量は多めなので、お腹を空かせて行ってくださいね。
萬福寺を訪れたら、お寺そのものもじっくり見学してみてください。
萬福寺は、中国人の僧によって創建されました。そのため、中国で幸運と力を象徴する龍の装飾が参道や天井に施されているなど、中国の建築様式を取り入れており、一般的な日本の寺とは趣が異なります。
創建当初の姿を今に伝える萬福寺。その中にある建造物の多くは、日本の重要文化財に指定されています。
6. 松花堂弁当――八幡市
さまざまな料理が詰め込まれた日本のお弁当。中でも、贅を尽くした弁当として知られているのが松花堂弁当です。各料理の味や香りが混ざらないよう、器が4つに仕切られているのが特徴です。
京都府南部にある八幡市の「京都吉兆松花堂店(きょうときっちょう しょうかどうてん)」は松花堂弁当の発祥の地。その松花堂弁当には、季節の食材を使い、一品づつ丁寧に作られた懐石料理が美しく収められています。
食事をしながら、日本庭園の眺めも楽しめます。行く前には、事前予約をしましょう。
ここは江戸時代の社僧(※3)・文化人、松花堂昭乗(しょうかどう・しょうじょう)ゆかりの松花堂庭園・美術館に隣接しています。手入れの行き届いた庭園には、40種類の竹のほか、色鮮やかな苔、椿といった季節の花々が植えられています。
また、昭乗の晩年の住まいとなった草庵「松花堂」や、彼にゆかりのある3つの茶室もあります。
※3:社僧……神道と仏教が明確に分かれていない時代に、神社や神社に付随して建てられた仏教寺院で仏教の儀式に携わった僧侶。
7. 雉料理――木津川市
Picture courtesy of 雉祥
京都の名物のひとつ、雉(きじ)料理。雉は触感が滑らかで、豊かな味わいが特徴です。
木津川市の「雉祥(きじしょう)」は、雉をはじめとする鳥が専門の和食店です。鳥の内臓を傷つけず丁寧に加工していく伝統的な「そとはぎ技法」を使って、高級食材を丁寧に調理。最高の食体験を提供しています。
Picture courtesy of 雉祥
オススメの食べ方のひとつはすき焼きです。また、刺身に挑戦してみてもよいでしょう。添えられる野菜は地元産です。優雅な和室でいただく品々は、どれも手が込んでいて、料理人の技と情熱が感じられるに違いありません。
「雉祥」は予約制です。事前に電話しましょう。調理方法などに関するこだわりがあれば、事前にメニューをチェックし、その旨も伝えるとよいでしょう。
8. 竹の子姿ずしと筍入豆乳アイス――長岡京市
京都駅から電車で10分で行ける長岡京市は、竹の産地として有名です。手間暇かけて育てられ、栄養価が高いこの地域のタケノコは、地元料理をはじめさまざまな日本料理の高級食材となります。また、竹の茎は台所道具や日用品、装飾品に加工されています。
タケノコの旬は春。そのため、春限定のタケノコ料理もオススメですが、ここでは年中楽しめる「京の味処 うお寿(うおす)」の「竹の子姿ずし」を紹介したいと思います。
これは、春に収穫したタケノコを年中楽しめるようにと、同店の二代目が考案したもの。その名の通り、タケノコの中に酢飯を詰めたヘルシーな寿司で、見た目のインパクトも十分です。タケノコの柔らかい歯応え、さっぱりした木の芽とゆずの香りがたまりません。
「寿司」という名称ですが魚は使わないため、生魚が苦手な人にもオススメです。
「うお寿」に来たら、「筍入豆乳アイス」もぜひ試してみてください。豆乳ベースのアイスクリームに、刻んだタケノコが入っており、上には笹の粉末がかかっています。味は甘過ぎずさっぱりしており、独特の舌触りが魅力です。詳細は公式HPをご覧ください。
「もうひとつの京都」へグルメ旅へ出かけよう
京都を訪れたら、その周辺にもぜひ足を伸ばしてみてください。地元料理や体験を通して、日本文化の深みを発見することでしょう。
伊根町や舞鶴市、福知山市、亀岡市、宇治市、八幡市、木津川市、長岡京市などで、素敵なローカルグルメを楽しんでくださいね。
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