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今さら聞けない「すき焼きの食べ方」について
日本料理の中でも有名な「すき焼き」。すき焼きとは一体どのようなもので、どうやって食べるのでしょうか。日本に来て「食べてみたい」と思った時に困らないよう、すき焼きとは何か、またその食べ方について解説します。
「すき焼き」は、鉄製の浅い鍋で薄切りの牛肉を煮た日本独特の鍋料理です。砂糖と醤油などをバランスよく使った甘じょっぱい味つけが特徴です。牛肉とともに、ネギやきのこ類、豆腐、しらたき(※1)などの副材料も入れ、溶き卵をつけて食べます。
「すき焼き」の「すき」は農具だった
日本にすき焼きが広まったのは、武士の時代が終わる19世紀末ごろから。初期の頃は、鉄鍋にタレを少し入れて、その上で牛肉を1枚ずつ強火でさっと焼いて食べる焼肉のような食べ方をしていたと言われています。
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「すき焼き」という名前も、野外で農作業をしているときに、鋤(すき)という鉄製の農具に猪の肉などをのせて焼いたことから生まれたと言われていますので、元々は鉄板で焼く料理だったのでしょう。
「関西風すき焼き」と「関東風すき焼き」の違い
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「焼く」から、現在のように「煮る」料理へと変化したのは、80~90年ほど前。
とはいえ、今も関西(かんさい)地方では、鍋に牛脂(ヘッド)をひき、牛肉の表面を焼いてから野菜を入れ、野菜から出る水分を生かして、砂糖や醤油などを直接入れて味を調える作り方です。これは「関西風すき焼き」と呼ばれています。
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一方、関東(かんとう)地方では、先に肉を焼かずに、醤油・酒・砂糖・みりんなどを調合した「割り下(わりした)」という調味液を鍋に入れてから、肉や野菜を加えて煮る「関東風すき焼き」の調理法がとられています。
できあがったら、具材に生卵をつける食べ方や、味のベースが醤油と砂糖であることは、関西風とほとんど変わりません。
すき焼きのお店に入ったら、「割り下」の有無で、作り方が異なることがわかると思いますが、迷ったら、お店の人に聞いてみましょう。
すき焼きで気をつけることとは?
「関西風すき焼き」「関東風すき焼き」と、作り方は異なっても、おいしく食べるために気をつけたいことは共通しています。
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まず、鍋の中で牛肉を入れる場所にご注意。
副材料として入れる「しらたき(※1:写真左下の白いもの)」は、鍋の中で牛肉から離して入れてください。というのは、しらたきの中には、加工するときに使った石灰のカルシウムが肉のたんぱく質を硬くし、色も褐色ではなく黒っぽく変えてしまうからです。
次に、牛肉の加熱しすぎにもご注意を。火を入れすぎると、牛肉のたんぱく質が硬くなって、おいしくなくなります。
※1……しらたき:コンニャクイモから作った粉に、ぬるま湯を加えてよくこねたものに石灰を入れ、できたかたまりを細い穴から熱い石灰水の中に押し出して作った、糸状の加工食品。
すき焼きの最後のお楽しみ
甘じょっぱい味のすき焼きは白いご飯にとてもよく合うので、ご飯を食べながらおかずとしてすき焼きを食べるのもオススメですが、鍋料理の最後に食べる「シメ」として、炭水化物を入れても楽しめます。
その代表が、うどん(小麦粉から作られた太目の日本の麺類の一種)を入れた「うどんすき」。すき焼きの最後に、鍋の中にゆでたうどんを入れ、濃厚なうまみたっぷりの汁をうどんにしみ込ませて食べます。うどんの代わりに、炊いたご飯を入れることもあります。
天ぷらとともに、和食の代表格と言われる「すき焼き」は、日本人にとっての「ごちそう」でもあります。ぜひ、ジューシーな牛肉を日本ならではの調味料で味わってみてください。
東京でオススメのすき焼き店
すき焼きはとても人気のグルメなので、日本中に多くの店があります。ここでは、有名なお店を2つ、紹介します。
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「すき焼割烹 日山」は、日本橋人形町にあるミシュラン一つ星の老舗すき焼き店です。食肉の加工・販売を専門とする「日山畜産」直営のすき焼き店とあって、上質な肉を楽しめます。
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また、「人形町今半 本店」は、関東風すき焼きやしゃぶしゃぶを堪能できる名店です。1895年創業で、今や「すき焼き」の代名詞といっても過言ではない存在となっています。
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