お酒の香りに魅せられて。山形県の日本酒、酒蔵、ワイナリー3選
お酒好きなら山形へ! 米の産地として有名な山形県には、日本酒の酒蔵が数多くあります。また「フルーツ王国」ともいわれ、地域で採れる良質なぶどうを用いたワイナリーも多数。山形旅行の際には、地域の素材を用いた銘酒をお見逃しなく!
地域の特色を生かした山形県のおいしいお酒
果物の生産が盛んで、フルーツ王国ともいわれる山形県。しかしそれだけではありません。山形県には日本酒の酒蔵が52蔵、ワイナリーが17施設と、お酒を楽しむにもぴったりの県なのです。
米の産地としても有名な山形県では、日本酒の輸出量が東北地方で第1位を誇っています。ワインも日本の四大産地のひとつといわれており、お酒好きの方から注目されている県です。
記事では、筆者オススメの酒蔵とワイナリーを厳選して紹介します。
1.温泉、スキーと一緒に楽しむお酒「山形酒のミュージアム&湯けむり屋台つまみ」
Picture courtesy of 山形酒のミュージアム&湯けむり屋台つまみ
温泉も、スキーも、そしてお酒も楽しみたい方は、蔵王温泉エリアにある観光スポット「山形酒のミュージアム&湯けむり屋台つまみ」がオススメ。東北電力が保養所としていた約100坪の場所を改修し、2018年にオープンしました。
山形県産の日本酒は、GI「山形」に指定されています。GIとは産地名のブランドを知的財産として保護する制度。ワインの場合、海外では「ボルドー」や「シャンパーニュ」などがそれにあたります。現在館内で提供されている日本酒は、すべてGI「山形」の認定酒です。
ちなみにGI「山形」は、県全体で指定されています。これは全国でも山形県のみなのだそうです。
常備しているお酒は約50種類。何を頼めばいいか迷ってしまうときはメニューを確認しましょう。地域ごとに異なる日本酒の特徴がていねいに紹介されており、その中から気になる商品を選べるようになっています。
オススメは、いくつかの種類が飲める「利き酒セット」です。冬季限定コースや個性派辛口コースなど、内容によって800~1,500円と価格が異なります。
プレミアムコース(純米大吟醸・大吟醸) 税込1,500円
取材時、筆者はプレミアムコースを注文しました。「純米大吟釀 白露垂珠 出羽燦々(じゅんまいぎんじょう はくろすいしゅ でわさんさん)」は、さっぱりとした口当たりでほのかな甘み。とても飲みやすく、後味も非常に爽やかです。
蔵王牛の赤身ステーキ 税込2,500円(Picture courtesy of 山形酒のミュージアム&湯けむり屋台つまみ)
併設する施設「湯けむり屋台つまみ」では、地域の料理を販売しています。中でも人気なのが「蔵王牛の赤身ステーキ」。あふれるほどの肉汁と、柔らかい肉質が魅力です。
このステーキには、ほのかな酸味と甘みが特徴の日本酒「秀鳳(しゅうほう)」を合わせてみてください。ステーキの塩味が引き立ち、さらにおいしく感じますよ。
2. 420年以上の伝統をもつ由緒ある酒造資料館「東光の酒蔵」
420年以上の歴史をもち、現在24代目が営む東光(とうこう)の酒蔵は、米沢藩(※1)の藩主である上杉家御用達の酒蔵として、創業当時から知られていました。古くからあった酒蔵を修復し、酒造りや酒屋の生活空間について学べるよう一部工事を行い、現在は酒造資料館として一般開放しています。
※1:米沢藩……江戸時代の米沢市エリアの呼称。そのエリアを統治する組織を藩主と呼ぶ。
日本酒を作る原料を発酵させる仕込み蔵の大きさは東北地方最大級。大切に維持されてきた環境と、今日までていねいに保存されてきた道具を見学すると、忙しくも賑やかに働く人々の痕跡が感じられます。
仕込み蔵には大きな桶が2列になって陳列されており、酒蔵にいる実感と迫力を感じました。この場所は、もっとも人気のある撮影スポットのひとつだそうです。
建物の作り方にも注目してみましょう。母屋の一部には、ボルトを使わず、くさびを使用して建てる伝統的な建築方法が用いられています。ここまできれいな姿で保存されているものは珍しく、国内外で注目され、有名な化粧品の広告や映画の撮影にも使用されてきました。
さらに現代では、この技法を再現して建てることが困難なため、建物好きの人が多く来訪するそうです。
酒造資料館入場料:一般350円、中学・高校生250円、小学生150円
吟醸梅酒 500ミリリットル:税込1,650円、1800ミリリットル:税込3,960円
資料館の内部には直営販売所が併設されています。ここで東光の酒蔵のすべてのお酒が買えますよ。
東光の酒蔵の日本酒は、近年多くの賞を受け、世界19カ国に輸出しています。中でも台湾は、初めての海外輸出先だったそうです。
現在もっとも注目されている商品は、梅酒に関する3つの大会で優勝した「東光 吟醸梅酒(ぎんじょううめしゅ)」です。しっかりとした果実の味と爽やかな飲み心地は、1度飲んだら忘れられないでしょう。さすが、梅酒大会の三冠王です!
3.ぶどうの名産地にある「高畠ワイナリー」
山形県南東部の高畠(たかはた)町にある「高畠ワイナリー」。このエリアは、ぶどうやラ・フランスなどの有数の生産地です。
名産地となった理由は、盆地と呼ばれる地形にあります。夏と秋は昼夜の気温差が大きく、降雨量は少なめ。日照時間が長いこともあり、良質のぶどうを育てるにはぴったりの環境なのです。
敷地内には広大なぶどう園とヨーロッパ風のワイナリーがあり、まるで海外のワイナリーにいるかのような気分になるでしょう。
資料室もあり、ワイン造りの歴史や商品について学べます。壁には高畠ワイナリー自慢のワインも数多く展示されています。
ぶどう園で栽培されている醸造用ぶどうは、ブルーベリーほどの大きさ。一般的な食用ぶどうとは異なり、皮が厚く、肉が薄くて、甘みが極めて強いのが特徴です。
ワインのアルコールは、醸造の過程で、酵母により糖分が変化することで発生します。そのため、糖度の高いぶどうはワインを作る上で必要不可欠な条件なのです。
ショップにはさまざまな商品が揃っています。「どれも試してみたい」と思う方も多いでしょう。すべての種類ではありませんが試飲可能のときがありますので、チャンスがあれば試してみてください。スタッフにオススメを聞くのもよいですね。
おつまみにぴったりのソーセージもショップで購入できます。上の写真は、地域の食肉加工業者「smoke house fine」が手がけた国産豚肉のソーセージです。
製造過程で高畠ワインを使用しており、ほのかにワインの魅惑的な香りがします。国際食肉コンテストで受賞歴もあるそうです。
貴婦人赤ソフト 税込350円
最後に特筆したいのは、まほろばの貴婦人(赤)ソフトクリームです。ソフトクリームが舌先に触れた瞬間、ワイン独特の香りと渋みが口の中に広がります。お酒があまり得意でない方は、ソフトクリームで味わってみてはいかがでしょうか。
お酒を通して山形の文化にふれよう
お酒が苦手な方でも酒蔵やワイナリーの見学はオススメ! 地域の名産を食べて楽しむことはもちろん、食文化を通じてその地域を知ることも旅の醍醐味。
優れた酒文化が育ったのは、良質な水と米、ぶどうが採れる山形県の地理的条件に、大きな特色があったからです。
酒蔵とワイナリーを訪れて、山形の旅を有意義に過ごしてみてください。
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Written by Kenko
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