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茶道の基礎知識と、日本で茶道体験する方法
日本の「茶道」は、様式美ともてなしの心が魅力の伝統文化です。本記事ではその基礎知識や、簡単なルール、日本で茶道を体験できる場所の情報をまとめています。
日本の伝統的茶道とは?
単に見るだけでなく、実際に体験したり気軽に味わったりできる日本文化のひとつが「茶道(さどう、ちゃどう)」です。日本では旅行者であっても様々な場面で茶道文化に触れ、茶道を体験することができます。本記事では、日本を旅するときぜひ知っておきたい茶道の基礎について解説します。
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日本では華道、書道、合気道など、長い月日をかけて学び習得する多くの文化に「道(どう)」という言葉が使われます。技術を学ぶだけでなく、精神も磨く行為を「道(michi)=road」と表現しているのです。
お茶の文化は中国から伝わり、日本では「千利休(せんのりきゅう)」という人物が、16世紀に原型を完成させました。
簡単にいうと、茶道はお茶を用意し味わうという一連の流れで行われる儀式のこと。抹茶を使い、準備してもてなす側とそれを受ける側の両方が決まり事を守って儀式を進めます。
形式の美しさと、相手をもてなすおもいやり。これが茶道の魅力です。ちなみに、数人の人が集まり、茶道の作法に則って抹茶を飲む場のことを、「茶会」と呼びます。
茶道の作法 その1:「お先に(おさきに)」の心
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茶道の心得がない場合、茶会ではお茶を受ける側になるのが一般的。作法は流派によってさまざまに異なりますが、多くの流派でお茶を受ける側に共通した作法の一つが「お先に」という言葉です。
茶会ではまず菓子が、そして菓子を食べ終わるころ抹茶入りの茶わんが席順どおり同じ順番で回ってきます。菓子もお茶も、自分の番が来たら次の人に「お先に」とあいさつして受け取りましょう。これは「お先にいただきます」という意味で、同席者への心づかいを表す言葉。茶道の作法としてとても重要です。
茶道の作法 その2:大切な茶わんの正面を避けて飲む
お茶が出される前に食べ終えるよう、菓子を少しずつ切っていただいたら、いよいよお茶が回ってきます。このとき、お茶を茶わんの正面から飲まないこと。茶わんは客に美しい正面を向けて回ってきます。受ける側は正面の絵を楽しみつつも、大切な茶わんの正面を汚さないように正面をずらしてから茶わんに口をつけることが作法です。
具体的には、右手で茶わんをとり、左手の手のひらに乗せます。次に、手の上の茶わんに右手を添えて時計回りに少し回します。そして正面からずれたところに口をつけて茶を飲みます。一気に飲まず、だいたい三口くらいで飲み干して茶わんを返しましょう。
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濃茶と薄茶、どちらがお好き?
抹茶を振る舞うという行為は、現代でも少し堅苦しくとらえられていますが、一方では、伝統を大切にしながらもカジュアルに楽しみたい日本人も増えています。
抜群のロケーションで美味しい抹茶を頂きます!「東京大茶会2014(浜離宮恩賜庭園)」より
畳の部屋がないならテーブルで。正座ができないなら、椅子に腰掛けてもOKという具合に。好みの道具を使って、まず自分自身がお茶を楽しむことから始め、心を込めて迎え入れ、ゲストを楽しませようという考え方です。訪日旅行客の方も、難しいルールは覚えられないと尻込みせずに、茶道を体験する機会があればどうぞ気軽に参加してみてください。
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茶道のお茶には「濃茶(こいちゃ)」と「薄茶(うすちゃ)」の2種類があります。濃茶は濃い緑色のお茶で、少量の湯で練り、数名で回し飲みをします。薄茶は、鮮やかな青緑色のお茶にたっぷりの湯を混ぜ、各自で飲みます。どちらも、季節感あふれる和菓子とともに楽しんでみてはいかがでしょうか。
訪日観光客にオススメのスポット
茶道の大きな2つの作法が理解できたでしょうか。日本では浅草や京都などの観光地で、気軽に茶道体験のできるお店が営業しています。そのほか、日本庭園や自治体の文化施設でも茶道体験サービスを提供している場合があります。
本項ではそれらの中から、茶道体験ができるオススメの訪日観光客向けスポットをご紹介します。
裏参道ガーデン
東京の表参道にある裏参道ガーデンのなかに「宇治園」という茶道体験のできるスポットがあります。もてなす側ともてなされる側になりきって楽しめそうです。同じ建物の中には日本の食と文化をテーマにした店舗や、メイドインジャパンの品物も並んでいます。
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和束茶カフェ(わづかちゃかふぇ)
京都の和束町は、抹茶の原料生産日本一を誇るお茶所。この町にある「和束茶カフェ」では、お茶が楽しめ、お茶にちなんだお土産が販売されています。スケジュールが合えば、月に数回開かれている抹茶アートワークショップにも参加できるでしょう。
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以上、日本で茶道を経験するときのために知っておきたい基礎知識と、抹茶が楽しめるスポットを紹介しました。
茶道には無数の作法があり、短期間ですべてを覚えるのは不可能です。心得がなくともほかの人の動作を真似て、礼儀を尽くそうというその気持ちこそが一番大切な作法と覚えておくとよいでしょう。
旅行が趣味の22歳です。日本の魅力をお届けします。