旅の準備はじめよう

日本の夏を代表する行事のお盆。お盆は、ご先祖様があの世から帰ってくる期間だとされています。本記事では、お盆の期間や、きゅうりとなすのお供えもの、迎え火・墓参り・盆踊りといった行事、それから会社などにおける「お盆休み」について紹介します。
お盆とは、祖先を祀る夏の行事。祖先の霊がこの世に戻ってくると言い伝えられています。正式には、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言います。
このお盆には、お墓参りをはじめとするさまざまな伝統行事があります。また、多くの日本の会社では、「お盆休み」を取ることも多いです。
本記事では、お盆の期間や「お盆休み」、お盆にやることなどを解説します。
1. お盆はいつ?|東京は7月13日から、全国的には8月13日から
2. お盆休みはいつ?|2025年は8月13日~8月17日
3. お盆にやることは「お供え」「迎え火」「墓参り」「送り火」
2025年のお盆は、多くの地域で例年通り8月13日から16日までの4日間です。この日程は毎年変わりません。
しかし、地域によってお盆の時期は異なります。これは、その地域が旧暦と新暦のどちらを重視するかによって日程が変わるためです。
・7月盆: 東京、石川、静岡など一部の地域では、7月13日から16日までの4日間にお盆が行われ、「7月盆」と呼ばれています。
・旧暦のお盆: 沖縄県などでは、旧暦の7月13日から15日に合わせてお盆を行うため、現在の暦では8月中旬から9月上旬になることがあります。
お盆は元々、旧暦の7月15日頃に行われていました。しかし、明治時代に新暦が採用された際、新暦の7月15日が農作業で忙しい時期と重なってしまいました。そのため、多くの地域で農繁期を避けて8月15日頃にずらしてお盆を行うようになったと言われています。
多くの日本企業では、8月13日から8月16日までの4日間を例年のお盆休みとしています。
しかし、2025年は8月17日が日曜日に当たるため、企業によっては例年より1日長く、8月13日(水)から8月17日(日)までの5日間をお盆休みとするケースが増えるかもしれません。
お盆休みは、かつて商家などに住み込みで働いていた人々が実家に帰省できた「薮入り(やぶいり)」という慣習が起源にあると言われています。
近年では、「お盆休み」という言葉を使わず、単に「夏休み」や「夏季休暇」として、8月中旬以外の期間でも従業員がフレキシブルに休暇を取れるようにしている企業も多く見られます(ちなみにMATCHAも「夏季休暇」を採用しています)。
お盆休み期間中は、休業する飲食店などもあるので注意が必要です。ただし、郵便局や銀行などの金融機関は通常通り営業していますのでご安心ください。
ご先祖様が無事にこの世に戻り、また安心してあの世に帰っていけるように、お盆の期間にはさまざまな準備をします。
Photo by Pixta
まず、お盆が始まる前日には「精霊馬」と呼ばれる、キュウリとナスに割り箸やつまようじを指したお供えものを飾ります。
これはキュウリは馬に、ナスは牛を表現していて「故人が馬に乗って早くこの世に戻り、牛に乗ってゆっくりとあの世に帰ってほしい」という想いが込められています。
Photo by Pixta
お盆が始まる13日には「おがら」という麻の茎を折り重ね、火で燃やします。
この火から出た煙に乗って、ご先祖様がこの世に戻ってくると言われています。煙によって道に迷うことなく自宅へ来ることができるので、この煙はいわば「みちしるべ」のような役割をしています。
主にこの期間、多くの方は家族揃ってお墓参りに出かけます。そこでご先祖様の供養のために、お墓をきれいに掃除してお花を供え、線香や水を上げます。
そして家族や親戚同士で集まって、ご飯を食べて時間を過ごします。皆が思い思いに故人に思いを馳せる大切な期間です。
お盆最終日。この日でご先祖様と再びお別れをします。初日の迎え火同様、おがらに火を灯してその煙によって無事にあの世に帰っていきます。
Photo by Pixta
京都では、大文字や鳥居形で有名な「五山送り火」が毎年この季節になると行われます。夏の夜空に浮かび上がる炎が、京都の夏の風物詩となっています。
Photo by Pixta
また一部の地域では「精霊流し」といわれる伝統行事が行われています。花やお供え物を海や川に流して霊を送り出す、送り火のひとつです。
この世に帰ってきたご先祖様と再びお別れをする、少し切ない雰囲気も漂いますが幻想的な美しい光景が見られます。
「Japan's Seasons In Photos: August - A Time Of Festivals」より
そしてお盆で忘れてはいけないのが「盆踊り」。この世に戻ってくる精霊を供養し、歓迎する踊りとされています。現在では、そういった宗教性の意味合いは薄れ、娯楽的なイベントになっていますね。
お盆の期間は、日本全国で一般的に8月13日~16日とされています。しかし、東京や石川、静岡などの一部地域では7月13日~16日の4日間となるなど、地域によって違いがあります。
もともとお盆は旧暦の7月15日に行われていましたが、明治時代に新暦(太陽暦)に変更された際、新暦の7月15日が農繁期にあたることから、1カ月ずらす地域が多くでました。一方で、一部の地域は7月15日のまま行っているため、地域ごとにずれが出ました。
お盆中は、釣りといったなど生き物の命を奪う娯楽はしないほうがよいとされています。また、水辺は「あの世とこの世の境界」とされ、近づかないよう言われる地域もあるようです。
その食品が傷む前に下げて、家族でいただくようにしましょう。ただし、毎日行っているお供えの食べ物の場合、朝に上げたら夕方までに下げるのがよいようです。
お盆はご先祖様の魂を供養する期間のため、入籍・結婚式などを含め、お祝い事は避けた方がいいと言われています。
改めて考えてみると「お盆」はとても切ない行事です。しかし、大切な人を「お盆」を通して思い出すと、今まで忘れていた記憶や思い出も蘇ってくることもあるのではないでしょうか。
また、お盆の期間は、普段ばらばらになっている家族親戚が一堂に会する家庭も多く、盆踊りのおまつりも各地で開かれ、切ないだけでなく賑やかな雰囲気も漂うのが日本のお盆です。
それぞれが故人を想い、昔話に花を咲かせながら大切なひとときを過ごしてみてくださいね。
本記事は2014年8月に公開した記事を、2025年7月にリライトしたものです。
旅行と写真が好き。 バックパッカーの旅を通して、日本の素晴らしさを再確認。 もっと多くの人に日本の文化や美しさを知ってもらうために、日本の魅力を発信中。