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100年の歴史をもつ人形町で老舗ならではの美食を探そう
東京都中央区に位置する人形町は江戸時代より栄えてきた、歴史のある街です。ここには人形焼や甘酒、親子丼などの老舗が多く、安産の聖地である水天宮もあります。一緒に古き時代の香りの残るこの地へ足を踏み入れてみましょう!
人形町ってどんなところ?
東京都中央区に位置する人形町。
江戸時代以前、この一帯は広大な湿地でしたが、水上交通の便のいい立地を利用するために埋め立てられ、町がつくられました。その後江戸幕府が置かれると、人形町一帯は商業の町として発展をとげていったのです。
江戸幕府公認の遊郭として知られる吉原遊郭も、最初はこの地にありました。また日本の伝統芸能、歌舞伎も、商業の繁栄によって娯楽気風がもたらされたこの地で華やかに発展したのです。
「人形町」の名前は、芝居の人形を操る人形師の多くがこの地に住んでいたことに由来すると言われています。
人形町には、歴史を語る創業100年以上の老舗がズラリ!
人形町の歴史は長く、老舗が軒を連ねています。本記事で紹介する人形町の名店から、その繁栄の歴史を見てみましょう。
鶏すき焼きの名店 創業257年の「玉ひで」
1760年創業の軍鶏(しゃも)専門店「玉ひで」は日本で最も長い歴史をもつ、最も有名な軍鶏料理専門店です。
初代の山田鐵右兵衛(やまだ てつえもん)は、徳川将軍御用達の鷹匠で、血を見せることなく鳥を身と骨を切り分け、肉に手を触れずに薄く切る高い技術をもっていました。
鐵右兵衛の名に由来し、創業時の店名は「玉鐵(たまてつ)」とされていましたが、その後何度か変更し「玉ひで」になりました。「玉」とは初代の鐵右兵衛の妻の名前です。
軍鶏とは一般には闘鶏で、日本での軍鶏の値段は鶏の3~4倍する高級食材の1つです。
「玉ひで」では、料理に合わせて東京しゃもというブランド軍鶏の開発も行うほど、素材にこだわっています。しっかりとした食感と濃厚な旨味に魅了され、日本各地から足を運ぶ人が後を絶ちません。
「玉ひで」の看板料理と言えば鶏すき焼きだと、8代目の山田耕之亮氏が教えてくれました。
人気の日本料理、牛肉を使ったすき焼きの原型は、実は鶏すき焼きだと言います。現在鶏すき焼きを扱う店は日本全国に10店しかなく、「玉ひで」はその元祖。鶏すき焼きは「玉ひで」を訪れる誰もが注文する名物料理なのです。
鶏すき焼きは味醂と醤油でつくった割り下で煮た軍鶏を、生卵につけていただきます。軍鶏のしっかりとした肉質と濃厚な卵が合わさったその味は絶品です。
最後は残った鍋の具材に卵を混ぜ、ご飯にかけてくれます。これがみなさん周知の親子丼で、5代目の女将が発明したものです。
七福神人形焼の創始 創業110年の「人形焼本舗 板倉屋」
甘酒横丁の角に小さな店を構えるのが「板倉屋」。創業110年の歴史を有する人形焼専門店です。
人形焼と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは浅草・浅草寺の人形焼ではないでしょうか。実際には人形焼の発祥の地は人形町で、そこから各地に広がったのです。しかし現在、人形町に店は3軒しかありません。
3軒のうちの1つ、「板倉屋」は七福神人形焼を最初に開発した店です。人形町の人形焼の特徴は七福神の形をしていること。ほかの地域のものは、鳩や提灯の形をしているので、比べてみるのも面白いかもしれません。
1907年の創業以来、「板倉屋」の七福神人形焼は全身像でした。しかし、5代目のご主人がにこやかな七福神にしようと考え、現在のような顔だけの姿へと作り替えました。
七福神といえば7人の神様ですが、板倉屋の人形焼には6種類の顔しかありません。その理由はお客さんの笑顔を入れて7つになると考えているからです。
餡入りの人形焼の他、餡の入っていない「戦場焼(せんじょうやき)」もあります。これは日露戦争の際に砂糖が手に入らずカステラのみになったことに由来し、その形は戦車や飛行機をモチーフにしています。
創業から110年が経つ今日でも、板倉屋の人形焼はひとつひとつ手作り。毎日朝4時から準備に取り掛かり、熱のこもる店内で笑みを浮かべる七福神を、心を込めて焼き上げています。
豆腐と甘酒の完全なる融合 創業110年の「双葉」
「板倉屋」は朝4時から人形焼を作り始めますが、甘酒横丁に店を構えるの「双葉」はもっと早い時間から準備を始めます。
「双葉」は1907年創業の甘酒横丁で有名な甘酒の老舗ですが、最初は豆腐を作っていました。
ではなぜ甘酒を販売し始めたのでしょうか?
甘酒横丁という名前は、かつてこの路地に1軒の甘酒専門店があったことに由来します。後にその店はなくなってしまうのですが、多くのお客さんが甘酒を探しにやって来るので、「それなら俺が甘酒を売ろう!」と「双葉」の3代目が考えたのです。
そして甘酒横丁を代表する甘酒の名店になりました。
ここの甘酒は作り置きはせず、毎日作るので新鮮。ホットとアイスの2種類が用意されています。ホットの甘酒は、香りと甘さを存分に味わえます。
夏に甘酒を味わう場合は、「甘酒ソフトクリーム」もオススメ。豆乳と甘酒のミックス味もあるのでぜひ、チャレンジしてみてください。
こちらで手作りされている豆腐製品も見逃せません!
店一番のオススメは、この特大のがんもどきと豆乳ドーナツ。がんもどきは具がたくさん入っており、豆乳ドーナツはあっさりとして飽きない美味しさです。お店の前にあるベンチに座って食べることもできますよ。
間も無く創業100年の「喫茶去 快生軒」
「喫茶去 快生軒(きっさこ かいせいけん)」は日本で1、2を争う歴史ある喫茶店で、1919年の創業です。現在は4代目が店を切り盛りしています。
店内には、喫茶店お馴染みの赤い皮椅子が綺麗に並べられています。カウンターには50年間休むことなく働き続けているコーヒーミルが置かれ、コーヒーの香りが漂う店内は、まるで時が止まっているかのよう。
ここは日本の人気ドラマ「新参者」の重要な舞台として使用され、ドラマの聖地にもなっています。
店名の「喫茶去」は仏教用語で、ここにやって来る人にお茶を出すことで一切の雑念を取り除き、その味と禅を味わってもらいたいという願いが込められています。
水天宮で安産を願う人の多くもここにやって来ます。「快生軒」という言葉には安産を祈願する意味があります。
食べ物はトーストとケーキのみ。オススメはブレンドコーヒーに浅草のパンの名店「ペリカン」の手作りトーストのセットです。
コクのあるコーヒーとやわらかなトーストを、ゆったりと楽しんでみてはいかがでしょうか。
1000年の歴史がある手ぬぐいを扱う「手ぬぐいのちどり屋」
これまで紹介した老舗と違い、こちらの「手ぬぐいのちどり屋」はまだ開業10年。しかし、扱っている商品は1000年以上の歴史がある手ぬぐいです。
小さなお店の中に、1500種類以上の手ぬぐいが並んでいます。店長のこだわりで、両面に柄のある手ぬぐいが多くそろえられているそう。
店内には小さな紙製のかごが置かれているので、選んだ手ぬぐいを入れてレジへ持っていきましょう。こんな工夫にも人形町ならではのレトロさを感じられます。
オリジナル商品もあります。一番面白いのは戦国武将シリーズの戦国武将の家紋が描かれた軍旗を模した手ぬぐいです。戦国時代好きの方はぜひチェックを!
商品の回転が早いので、店頭でお目当ての商品が見つけられなかったときは、こちらのオンラインショップをチェック! 海外からも購入できますよ。
安産祈願の聖地:水天宮
紹介した歴史ある名店を巡る際にぜひ訪れてほしいのが、人形町のシンボルである水天宮。安産祈願の聖地です。
水天宮の絵馬は境内の親子の犬の銅像が可愛くデザインされているので、おみやげにしても。
アクセス抜群!空港往復のバスターミナルT-CATがすぐそば
ここまで読むと、人形町への興味が湧いてきたのではないでしょうか?
人形町までのアクセスはとても便利で、人形町駅からは羽田空港と成田空港への地下鉄が通っています。また、両方の空港へ直行できる専用バスターミナル「東京シティ・エアターミナル」も人形町のすぐそば。
さらに、バスターミナル直結のホテルがあるほか、付近には新しいホテルも多くあるので、人形町を旅のスタート地点するのも、日本を離れる最後の目的地とするのもオススメですよ!
人形町では街歩きのイベントも開催しているのでこちらのFBでチェックしてみてくださいね!
街歩きの詳細はこちら:https://www.facebook.com/groups/1410598215725493/
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東京に出てきて11年目です。