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【山口】日本最大級の鍾乳洞・秋芳洞で地球の神秘を感じよう!
山口県にある秋芳洞は、日本最大級の鍾乳洞。約1キロメートルの観光コースには、あちこちに写真映えスポットがあるほか、冒険心あふれる人向けの特別コースもあります。広島や福岡からのアクセスもよく、併せて周遊するのに最適です。
日本最大級の鍾乳洞・秋芳洞とは?
日本旅行の人気スポットである広島と福岡。両県からアクセスしやすく、一緒に回るのにオススメの観光スポットが、山口県の秋芳洞(あきよしどう)です。
秋芳洞は、日本最大級の鍾乳洞。約3億5,000万年かけて築かれた洞窟の中には、不思議な形の鍾乳石がいたるところにあり、自然の神秘が深く感じられます。
鍾乳洞は、石灰岩の土地の地下にできる洞窟です。
石灰岩は、酸が混じった水によって溶ける性質があります。秋芳洞は、約3億5,000年前にサンゴ礁の働きによって生まれた石灰岩の土地が、雨で徐々に溶かされる中で形成されました。
秋芳洞は全長約10キロメートル、地下100~200メートルにわたって広がっています。そのうち最初の1キロメートルほどが、観光客向けに開放されています。
秋芳洞の見どころ7選
今回は、秋芳洞でガイドを務める縄田佳見(なわた・よしみ)さんに、さまざまな見どころを教えて頂きました。そのうち、筆者が印象的だったスポットを7つ紹介します。
スポット1 秋芳洞正面入口
秋芳洞には3つの入口があります。中でも一番のオススメは、秋芳洞正面入口。
入口前からは川が流れ出ており、岩が苔で緑に彩られています。「この川を見るだけでも癒される」という都会からの観光客も多くいるとか。
写真映えスポットとして人気の秋芳洞正面入口。今回、筆者が訪れたのは午後でしたが、午前中は朝日が差し込み、神々しい景観が拝めるということです。
中に入って少し進んだら、ぜひ入口を振り返ってみてください。外から光が入り込み、水に反射しています。「紅葉の時期になると、入口左側は、紅葉の赤と太陽の光、水の青がまるでコラボレーションしているように見えて、きれいです」(縄田さん)。
スポット2 冒険コース
さらに少し進むと「冒険コース」と記された看板が目に入ります。ここは、少しチャレンジングな道を歩いてみたい方向けに設けられた脇道。追加料金300円で入れるので、筆者も行ってみました。
「冒険コース」では、ハシゴを上ったり、狭い岸壁の間をくぐったりします。高所から洞窟を一望し、その広さを体感できるのは、「冒険コース」ならではの楽しみです。
「冒険コース」には、「開山の行場」と記された仏像が置かれています。縄田さんによると、その昔、この地域の人々が大干ばつに苦しんでいた時、1人の僧侶がここで祈りを捧げたそうです。すると雨が降り始め、洞窟内にも水が激しく流れ出しました。
僧侶は水の神様へ感謝を捧げるため、水に身を投げて亡くなりました。彼をたたえ、人々はここに仏像を設けたそうです。
「冒険コース」を終えると、再び入り口の近くに戻ってきます。
スポット3 水鏡
「冒険コース」から戻り、一般の観光道を進んでいくと、川に岸壁が美しく映し出される場所があります。スポット名はありませんが、訪日観光客に人気の場所とのこと。
静寂に満ちた暗闇の中、水面に浮かび上がる岩肌は、夢か現実か区別がつかないほど幻想的な雰囲気を漂わせています。
スポット4 百枚皿
秋芳洞で特に人気のスポットの1つ「百枚皿」。斜面を伝って石灰分を多く含んだ水が流れ、その石灰分が岩のふちにくっついて、お皿を重ねたような形が出来上がりました。
「百枚皿」から少し進むと、同様にお皿を重ねたようなスポットがあります。そちらの水たまりの中には、目の退化したヨコエビが生息しているとのこと。
このほか、秋芳洞内にはコウモリなど多くの生き物がいます。コウモリは夏、子育てをしており、7月頃は元気に飛び回る姿が見られるそうです。
スポット5 黄金柱
「百枚皿」と並ぶ秋芳洞で有名なスポット「黄金柱(こがねばしら)」。天井から流れ出た石灰混じりの水によって、大変長い年月をかけて作り出されたもので、高さは15メートルになります。人気の写真映えスポットです。
スポット6 巌窟王
「黄金柱」同様に、天井から滴り落ちる石灰混じりの水によって形成された「巌窟王」。横向きに見ると、まるで祈りを捧げる敬虔な宗教者のようです。
「でも、こっちから見るとゴジラみたいでしょ」。縄田さんは笑いながら、反対側から「巌窟王」を見せてくれました。確かにゴジラみたいですね。左側に飛び出している岩は、ライオンの頭のようにも見えます。
「巌窟王」の近くには「くらげの滝のぼり」と呼ばれるスポットがあります。現実世界のクラゲは滝を登ったりしませんが、たしかにそう見えるので不思議ですね。
縄田さんによると、秋芳洞の各スポットの名称はいつ、誰が付けたかは分かっていないということです。ただ、秀逸なネーミングを見ても、詩心のある人物に間違いないでしょう。
スポット7 五月雨御殿
「五月雨(さみだれ)」とは、日本の梅雨の時期に降り注ぐ雨のこと。「五月雨御殿」では、どんなに地上に雨が少ない時期でも、常に水滴の降り注ぐ音が響いています。
「五月雨御殿」は、縄田さんが特に好きな場所。「静かな水音を聴いていると、心も静まってきます。この雰囲気は写真では分からないもの。ぜひ、実際に来て感じてほしいですね」。
秋芳洞にはこのほかにも、洞窟内とは思えないほど広大な空間が広がる「広庭(ひろにわ)」といった見どころがあります。ぜひ実際に足を運んで、この地球の神秘を体感してみてくださいね!
訪日観光客も安心!秋芳洞内の多言語音声ガイド
秋芳洞には近年、多くの訪日観光客が訪れるようになりました。そのため、洞内の主要スポットには、上の写真のような音声ガイドが設置されています。
音声ガイドは日、英、中、韓国語があります。自分の言語に合わせて、右側の緑のボタンを押すと、各スポットの解説が流れます。
併せて寄りたい!カルスト展望台と秋吉台科学博物館
秋芳洞を最後まで進むと、「3億年のタイムトンネル」という、地球の誕生から現代までの歴史を描いたトンネルがあります。ここを抜けると、地上(黒谷入口)に出られます。もう一度洞窟を見たい方は、もと来た道を引き返しましょう。
また、洞窟内の黄金柱の近くにあるエレベーターから地上(エレベーター入口)に出る場合、そこから15分ほどの距離に「カルスト展望台」があります。ここからは、秋芳洞の上に広がるカルスト台地(※1)、秋吉台が一望できますよ。
あちこちにあるくぼみは、雨水で溶けたところ。ここに降り注ぐ雨が、秋芳洞の中を流れる川につながっています。
※1:カルスト台地……石灰岩といった水に溶けやすい岩石でできた土地が、雨水などによって侵食されてできた地形。
「カルスト展望台」の近くには、秋吉台や秋芳洞の自然について学べる「秋吉台科学博物館」も。説明パネルの一部が英語になっており、訪日観光客でも楽しめますよ。
秋芳洞の入場料は?
秋芳洞の入場料は、1人あたり1,300円(中学生は1,050円、小学生以下は700円、20人以上は団体割引あり)です。入場受付は3~11月が8:30~17:30、12~2月が8:30~16:30となります。
荷物預かりや食事も可能
秋芳洞のバスターミナル近くにある観光交流センターにはコインロッカーがあり、荷物を預けられます。カウンターでは帰りのバスチケットを購入できます。
秋芳洞の洞正門入り口の前は、おみやげ屋やレストランがあります。ここの名物は、山口県の名産である夏みかんを使った夏みかんソフト。複数のお店で販売しているので、ぜひ試してみてくださいね。
福岡・広島と周遊しやすい!秋芳洞へのアクセス
秋芳洞へのアクセスは、新山口駅からバスを使うのが便利です。新山口駅の2番乗り場から秋芳洞行きのバスが1時間に1本ほど出ています。所要時間は35分ほど。片道1,170円です。
2020年3月現在の時刻表はこちら(日本語のみ)です。秋芳洞をじっくり見るには、2時間程度はほしいところ。8:50、9:50、10:50、12:25、13:25あたりのバスに乗るのが良いでしょう。
新山口駅は、福岡県のJR博多駅からは新幹線で35分、小倉駅からは18分。反対方向の広島駅からは新幹線で30分ほどで、一緒に周遊するのにぴったりです。
福岡で都会の雰囲気を味わったり、広島で厳島神社といった日本の伝統文化を楽しんだりした後に、秋芳洞で大自然の神秘を感じてみてはいかがでしょうか?
In cooperation with 美祢(みね)市観光商工部観光総務課
企業のIR/CSR分野のPR、国際協力分野の情報誌編集を経て、2017年10月にMATCHAに参加しました。2019年4月から香川県三豊市に移住。訪日観光客向けの記事を書くほか、地域おこしにも携わっています。
インターネットサービスやレンタカー、ホテルなどのほか、また西日本の観光スポットの記事を主に担当しています。