車いすでパラグライダーも!?山形でユニバーサルツーリズムを楽しもう
東北地方の山形県は近年、身体の不自由な方やお年寄りも含め、誰もが旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」の普及に力を入れています。本記事では、山形でバリアフリー対応があり、ユニバーサルツーリズムを体験できる施設を紹介。名物グルメやオススメの宿泊施設にも触れます。
ユニバーサルツーリズムを推進する山形県。その背景は?
身体の不自由な方やお年寄りを含め、誰もが楽しめる旅を表す「ユニバーサルツーリズム」。日本で特に力を入れているのは山形県で、その立役者となっているのが「山形バリアフリー観光ツアーセンター」代表理事の加藤健一さんです。
加藤さんは1980年、山形県南陽市生まれ。自動車会社の社長になる夢をもち、高校卒業後は地元の自動車整備会社に就職しました。しかし21歳で筋ジストロフィーを発症。リハビリをしながらの闘病生活が始まります。
病状の悪化から32歳で車いす生活となった加藤さん。一時は深い絶望に直面したものの、家族や友人たちの支援と自身の努力により、再び社会生活を営めるようになりました。
加藤さんは現在、障害の有る無しに関わらず誰もが住みやすい社会を創るため、バリアフリー推進の取り組みを続けています。
社会にバリアフリーの考え方を浸透させる上で、「観光」という切り口が有効だと加藤さんは考えました。従来の福祉的な観点だけでなく、観光の視点からバリアフリーについて考えることで、新しい価値を創出し、バリアフリーの取り組みも圧倒的に加速できるためです。
加藤さんはこれまで、ハード面でバリアフリーを進めるだけでなく、人々のバリアフリーへの意識を高める「心のバリアフリー化」も促進してきました。そして今、山形の人々の「人情味と優しさ」に触れる旅をテーマに、ユニバーサルツーリズムを推し進めています。
加藤さんは「山形には35の市町村があります。将来は、県内すべての市町村が独自のユニバーサルツーリズム体験を提供できるようにしていきたい」と語ります。
山形のユニバーサルツーリズム体験3選
山形県には、バリアフリーに対応した体験スポットが多数あります。ここでは、選りすぐりの4つをご紹介します!
1.車いすでパラグライダーを楽しめる「南陽スカイパーク」
Picture courtesy of ソアリングシステムパラグライダースクール
上昇気流が発生しやすいスポットがある南陽市は、パラグライダー愛好家の聖地といえる場所。中でも、世界選手権も開かれる「南陽スカイパーク」では、特別サービス「フライチェア(空飛ぶ車いす)」を用意。
身体障がい者の方も、特製の車いすに乗って、プロのインストラクターにパラグライダーを操縦してもらいながら、空を飛ぶ楽しさを味わえます。体験の申し込みは公式HPから(日本語のみ)。
2.30分イチゴ食べ放題!寒河江市「ストロベリーファーム」
寒河江(さがえ)市の「ストロベリーファーム」は、3300平方メートルの敷地に5品種のイチゴを栽培している大型イチゴ農園。イチゴ30分食べ放題体験が、1,800円というお得な料金で楽しめます!
園内はバリアフリー環境が整っているのもポイント。ビニールハウス内の地面は平らで、畝と畝の間には車いすが余裕をもって通れる幅が設けられています。
さらに、同園は高さ1メートルほどの位置でイチゴを栽培する「高設栽培」を採用しています。健常者もお年寄りも腰をかがめずにイチゴ狩りを楽しめますよ。予約は「ストロベリーファーム」の公式HP(日本語のみ)から。
3.平清水焼の陶芸体験ができる「七右エ門窯」
山形市にある「七右エ門窯(しちえもんがま)」は、平清水焼(ひらしみずやき)と呼ばれる焼き物を作る窯元。200年継承されてきた伝統技術を職人たちが守り続けています。
近年、この陶芸技術を伝えるために開設した体験教室が人気を呼んでいます。
体験教室が行われる日本家屋には、車いすでも上がれるスロープを準備しているほか、スタッフが熱心に身体の不自由な方をサポートしてくれます。
スタッフが丁寧に教えてくれるので、初心者でも楽しみながら参加できますよ。1キログラムの陶土から茶碗、または皿を2枚作ることができ、完成したら自宅に郵送してもらえます。予約は公式HP(日本語のみ)から。
今後はキャタピラ車いすで雪遊びも!
このほか、山形県では、雪上を走行できる"キャタピラ車いす"の導入進めています。身体の不自由な方も、これに乗れば雪の上を歩く感覚を体験できるとのこと。
キャタピラ車いすは、椅子の高さを調節する"座面昇降機能"付き。実際に乗った人からは、「車いすに乗るようになってから、健常者と同じ高さから景色を見たことはありませんでした。これなら健常者と同じ目線で雪を見ることができて、心から感動しました」といった感想も。今後の実用化に期待が高まりますね!
オススメのバリアフリー旅館!上山市の「有馬館」
山形には、バリアフリー対応した宿泊施設もあります。
かみのやま温泉にある「有馬館」は、創業100年の温泉旅館。上山市の人気スポット・上山城から徒歩約10分と、アクセスも便利。
館内は全面的にバリアフリー対応。車いすで訪れる方向けのスロープ、カウンターのほか、バリアフリー対応の客室や貸切風呂まであります。身体の不自由な方やお年寄りへの「有馬館」の心遣いが感じられます。
山形牛をメインにした夕食は絶品。さまざまな料理が並び、舌だけでなく目でも楽しめます。豪華な夕食の後、温泉に入れば極楽気分を味わえるでしょう。
オススメの山形グルメ
山形を訪れたら、地元ならではのグルメやお酒も味わってみましょう。
JR山形駅直結。「日本料理・鉄板焼 最上亭」の米沢牛鉄板焼
JR山形駅直結の「ホテルメトロポリタン山形」の「日本料理・鉄板焼 最上亭」では、日本三大和牛のひとつ、米沢牛の鉄板焼きが楽しめます。
付け合わせの山形産の旬の野菜が肉の味を引き立てます。
将棋のまちの名物「手打 水車生そば」
天童市の「手打 水車生そば」は、1861年創業の老舗。ここでは山形の人気グルメ"水車生そば"がいただけます。
水車生そばとは、地元で採れたそばの実を水車を使って挽いて粉にし麺にしたもの。通常の蕎麦に比べコシが強く、添えられた天ぷらのサクサクした食感が魅力です。
天童は「将棋のまち」として有名です。将棋の駒の形をした同店のそばの器にも注目です!
ヘルシーなこんにゃくを心ゆくまで。「丹野こんにゃく番所」
山形はこんにゃくの名産地。こんにゃくは低カロリーで食物繊維が豊富なことから、ヘルシーな食品としても愛されています。県内で有名なこんにゃくメーカーといえば、上山(かみのやま)市の「丹野こんにゃく」です。
同社が運営する「丹野こんにゃく番所」は、さまざまなこんにゃく料理が楽しめることで有名。山形名物の「玉こんにゃく」のほか、こんにゃくのコース料理、こんにゃくを使ったスイーツも用意されています。
人情味あふれる山形のユニバーサルツーリズムを体験しよう
誰もがいつかは老いるもの――。そう考えると、ユニバーサルツーリズムは身体の不自由な方だけでなく、誰にとっても必要なものかもしれません。
出会う山形の人々の温かさは、旅をより思い出深いものにしてくれるはずです。
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Written by Jacky Chen
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