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お寺に泊まれる?聖地・高野山で宿坊に滞在しよう!
日本の仏教の聖地、高野山には、「宿坊」というお寺の経営する宿泊施設がなんと52もあります。宿坊とは一体どのようなものでしょうか?宿坊の内部や宿泊する部屋、食事の様子などを見てみましょう。
宿坊とは
宿坊(しゅくぼう)とはその昔、中国から伝わった僧侶の寝床「僧房」のことをいいました。ところが一般の人々が寺社参りをするようになると、高野山のように山中にある寺社には日帰りでお参りすることができず、参拝者のための宿が必要になりました。
そこで僧房を宿として一般人にも提供しはじめたのが、宿坊のはじまりです。
明治時代まで高野山全体のことを「総本山金剛峯寺」と呼んでいました。高野山では金剛峯寺だけでなく、塔頭寺院(たっちゅうじいん)という個別のお寺が、その昔は812もあり、現在も117残っています。
そのうちの52が宿坊として参拝者を迎えています。宿坊によってお料理や客室も違ってくるので、今では宿坊選びもひとつの楽しみとしている参拝者も。
今回は、金剛峯寺に程近い「本覚院」での様子をご紹介します。
「本覚院」宿坊の内部
宿坊の部屋には、襖(ふすま)だけ、または壁で仕切られた部屋があり、基本的にトイレとお風呂は共同です。少し優雅に過ごしたい方には庭園を臨む部屋が、共同のトイレやお風呂に抵抗のある方にはトイレ付き、もしくはトイレとお風呂付きの部屋もあります。
料金は1泊2食付きで9,270~35,000円(税込)です。支払いは基本現金ですが、最近はカードが使える宿坊もあるそうなので、各宿坊にお問い合わせください。
共同の洗面所。この奥に男女別のトイレがあります。洗面所にはドライヤーや、マッサージチェアまで!
共同のお風呂はこちら。もちろん男女に分かれています。画像右手に共同の洗面所とトイレがあるのも見えますね。お風呂にはボディーソープ、シャンプー、リンスが設置されていました。
お風呂の入り方は「知っておきたい、日本のお風呂・温泉・銭湯の文化とマナー」をご覧ください。
宿泊する部屋
チェックイン後に部屋へ案内してもらいます。こちらはスタンダードの部屋。テレビや湯沸しポットもあります。
アメニティも充実。タオルや歯ブラシはもちろん、浴衣があるのは嬉しいですね!
僧侶の方がお菓子とともに、お茶を出してくださいます。夕食後はこちらの部屋に布団が敷かれ、寝室として使います。布団は季節ごとクリーニングに出しているため、抜群の寝心地ですよ。
宿坊で出る食事
宿坊では基本、夕食と朝食の2食付き。予約をすれば、昼食を用意してくれる宿坊もあります。
宿坊で出る食事は精進料理という、肉や魚、卵を使わない、野菜中心の料理です。般若湯(はんにゃとう)と呼ばれるお酒や、ビールを飲むこともできますよ!
ほかの宿泊者と一緒に広間でいただきます。素晴らしい襖絵を見ながらの食事なんて、贅沢ですね。宿坊によっては「部屋食」という、食事を部屋に持ってきてくれる所もあるそうです。
朝食も精進料理です。朝からお米を食べる習慣のない国の方々にとっては、新鮮かもしれませんね。
本覚院について
本覚院は、1190年に高野山を開いた弘法大師(こうぼうだいし)が開いたお寺です。写真左手が本堂で、砂利の庭は宇宙を思わせる波紋が描かれています。
本堂では毎朝6時に勤行(ごんぎょう)というお勤めがあり、宿泊者は参加することができます。それ以外の時間にも参拝できますが、部屋に用意されている浴衣での参拝は控えましょう。
また、護摩供養という、願いを書いた「護摩(ごま)」という木の板を火に投げ入れて祈祷する儀式も行っています。不定期で行われているため、タイミングが合えば見られるかもしれません。
本覚院の内部には江戸時代に滞在していた、狩野派(※1)の絵師による襖絵もありました。
外には昭和初期に庭をデザインしていた、重森三玲(しげもりみれい)の作品「苔の石庭」を含む5つの庭園があります。眺めているだけで、長旅の疲れも癒されてしまいますね。
本覚院は宿泊用の部屋が30部屋ほどあるため、廊下が長くのびており、窓からは庭園を眺めることができます。
場所によって違う庭園を眺められるのは、なんとも贅沢ですね。
※1:狩野派……15世紀から19世紀にかけて、400年もの間日本で活躍した絵師集団の流派。
宿坊の予約方法
予約は高野山宿坊協会の公式HPから予約すると、細かい希望も伝えることができるのでオススメです。または、各宿坊に直接連絡をして予約をすることもできます。
まとめ
もともとは修験者の泊まるところだった宿坊。今は様々なサービスが充実していますが、僧侶の方は日々のお勤めをしながら宿泊者にサービスを行ってくれています。旅館ではないことを忘れないでくださいね。宿坊で、お寺の中で過ごすという貴重な体験を、ぜひしてみてください。
取材協力:本覚院
奈良生まれの旅好きライター。日本の魅力を世界の人々に伝えていきたいです。