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今さら聞けない、「お花見」の基本と豆知識
訪日観光客向けに日本の春の伝統行事「お花見」を解説しています。古代の宗教的儀式に始まり、歴史的書物に見られる花見の変化、開花シーズンや桜の種類、花見に持っていくと便利なもの、東京都内の人気花見スポットを紹介しています。
お花見とは
お花見とは、木の下で満開になった花を楽しむ日本の春の行事です。対象となる花は桜であることが多いですが、梅や桃の花を鑑賞する場合も花見と呼ぶことがあります。
元々は桜の木の下で和歌(※1)を詠む貴族の行事でしたが、現在は花を観賞しながら飲食するのが一般的な楽しみかたとなっています。
※1:和歌……日本固有の短い詩の形式のこと。
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お花見のはじまりと歴史
お花見には2つの起源があると考えられています。ひとつは宗教的な行事。古来より農民の間では、桜の花の咲きかたを見て秋の収穫を占ったり、種をまく時期を決めていたようです。
もうひとつは、現在のお花見の原型であるともいえる宴(※2)。貴族の間で始まった行事で、その歴史は日本の古い書物にも記録されています。
たとえば783年ごろに刊行された、日本でもっとも古い和歌集「万葉集」には、花について詠んだ詩が多く載せられています。このころは花といえば桜よりも梅のほうを指し、梅について詠まれた詩は、桜の詩の2倍以上あったようです。
※2:宴(うたげ)……大勢で集まって飲食を楽しむ会。
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そのあとに刊行された歌集「古今和歌集」や、1008年ごろに作られた日本の古典文学を代表する長編小説「源氏物語」には、桜の木の下でお花見をする様子が書かれています。このころから「花見=桜を鑑賞すること」として広く知られるようになりました。
貴族を中心に行われてきたお花見の習慣は、時代の流れと共に侍や庶民の間にも浸透し、現在まで続いています。
桜の開花シーズンと見るべき種類
桜が開花するシーズンは、その年の気候によって多少変動します。詳しくは、下記の関連記事をご覧ください。
こちらは「里桜(さとざくら)」と呼ばれる品種です。花びらが何枚も重なっていることから「八重桜(やえざくら)」とも呼ばれています。開花情報の時に基準とされているソメイヨシノの桜よりも開花は遅めです。
ソメイヨシノより1週間ほど開花の早い枝垂桜(しだれ桜)は、枝が下に垂れた状態で咲きます。長く生きる桜で、福島県には樹齢1,000年を超える三春滝桜(みはるたきざくら)という枝垂桜があります。
醍醐寺ほか京都でよく見られ、東京都内では六義園(りくぎえん)で見ることができます。
お花見に持参すべきアイテム
花見に欠かせないものは、まず下に敷くもの。写真のようなブルーシートがあれば、大勢でも座れて防水加工もされているので安心です。
もちろん食べもの・飲みものも持参して、ピクニック気分で楽しく過ごしましょう。みんなで取り分けて食べられるように、皿やコップなどの食器や、フォーク、箸もあると便利です。紙ナプキンやゴミ袋も持参するとよいでしょう。
東京都内の人気のお花見スポット
東京都内の有名なお花見スポットには、広々としている原宿近くの代々木公園や、3.8キロメートルの川沿いに並ぶ800本を越える桜が見事な目黒川沿いの桜並木などがあります。
桜の咲く時期は各地でおまつりも開かれるので、現地の日本人と気軽にコミュニケーションもとれますよ。ぜひ桜を見に出かけてみてください。
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ライター兼翻訳者、時にマーケティング調査員の顔も。訪日旅行客向けに東京都内レストランメニューの翻訳データ・ベースの作成や、宿・ホテル情報検索サイトの翻訳も手掛けてきました。旅行と食材研究が趣味です。