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刺身完全ガイド。寿司との違い、種類、価格帯、食べ方など
刺身とは、魚介類などを食べやすい大きさに切り、しょうゆなどで味わう料理のこと。この記事では、刺身の種類の説明、食べ方、刺身を使った料理、価格などをまとめました。
刺身とは
刺身とは、魚介類などを生のまま食べやすい大きさに切り、しょうゆなどで味わう料理のこと。広義では魚介類に限らず、食材そのものを味わう料理の事を指します。
日本の魚料理といえば寿司が有名ですが、刺し身は寿司のように握ったごはんはついていません。寿司のネタの部分、魚介の切り身をいただきます。
昔から、海に囲まれ新鮮な魚介類を食べることが出来た日本では、海で獲れた魚をさばいて、身を切り分け、生の状態で食べる事が一般的です。刺身を楽しむ為には、まず新鮮で味のよい、旬の食品を用意することが大切。火を通さない為、食品衛生上においても鮮度は大切です。
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目次:
1.マグロやサーモン他、刺身の主な具材33種類
2.刺身の付け合わせについて
3.刺身の食べ方
4.刺身のカロリーの目安
5.刺身を使った料理
6.刺身を食べられる場所と価格
マグロやサーモン他、刺身の主な具材33種類
次は、日本で好まれる刺身にはどのような種類のものがあるのかを紹介していきます。
マグロ
日本では古くから食用としてマグロを食してきました。マグロは刺身や寿司、焼き魚として親しまれている他、ステーキや缶詰にして食べられることもあります。
また、マグロは部位によって呼び方が異なり、マグロと呼ばれるものは主に赤身の部位を指します。脂肪の含有量が多い部位は特に中トロや大トロと呼ばれ、赤身に比べると白身を帯びた桃色をしているのが特徴です。
老若男女幅広く受け入れられていて口当たりがよいのは赤身部分です。続いて中トロ、大トロの順に脂っぽい味が強くなり、好みが分かれ始めます。まずはマグロの赤身からチャレンジしてみるのがよいでしょう。
詳しくは「日本のことば事典「トロ・中トロ・マグロ」」の記事をご覧ください。
サケ(サーモン)
女性に人気のある魚です。濃厚な味でオニオンやマヨネーズなどとの相性がよいため、巻き寿司等で見かけることも多いです。
イカ
イカも刺し身の定番。なめらかな舌触りと歯応えが魅力で、味はさっぱりとしており、しょうゆとわさびをつけて味のアクセントをつけるのがオススメです。
栄養的にはビタミンEやタウリンが多い為、亜鉛・DHA・EPAも豊富に含まれます。
ヤリイカやスルメイカなど、イカの種類によっても食味は変わります。
タコ
タコもイカと並んでさっぱりとした風味と、こりこりとした食感が人気の食材です。日本では刺身のほか、ゆでたり、タコ焼きにして食べたり、馴染みのある食材です。
カツオ
日本では刺身のほかに表面を炙ったたたきという調理法で食べられることが多い魚です。北上しているカツオを捕まえると初鰹(はつがつお)となり、こちらはさっぱりとした味、南下しているカツオを捕まえると戻り鰹(もどりがつお)となり、こちらは濃厚な味と言われています。
鰹節の原料でもあり日本では非常に馴染み深い魚なのですが、傷みが早い魚としても知られ、鮮度や味、臭いの差が大きいとされています。
高知県など太平洋側にカツオの名産地があります。
ブリ
ブリも日本で親しまれている魚のひとつです。成長するに従って名前が変わる出世魚としても知られています。
旬は産卵期前で脂がのる冬。日本ではこの時期のブリを特に寒ブリと呼びます。古くから養殖も行われており、年間を通して市場や飲食店に並ぶ冬季の定番の魚です。低価格で美味しい庶民の魚と言えるでしょう。
硬くコリコリとした歯触りで刺し身としても人気です。
冬季時期以外は味が落ちると言われているので、ぜひ冬に味わってください!
アジ
アジは世界各地で漁獲される魚で、赤身と白身両方の味を併せ持っているのが特徴的な魚です。日本では主にマアジが食用魚となっています。味がよいことからアジと名付けられたほど、淡白(たんぱく)さとうまみが万人受けする味です。
タイ
日本ではおめでたい(=happy)という言葉に名前が似ていることから、祝いの席などでよく食べられます。味は淡白で程よい旨味と甘味を感じられます。
スズキ
スズキは、血合いがほとんどない白身の魚で、スズキという和名がすすぎ洗いしたようにきれいな状態の魚に由来するという説もあるほどです。身の質はタイに似ていて、柔らかくて癖もなく、あっさりしている魚です。スズキの肉質がよくなるのは太って脂ののってくる夏と言われています。また、この魚は捨てる部位がないほど様々な料理にも使われています。
サンマ
サンマは、日本においては秋が旬と言われ、秋の味覚を代表する魚として知られています。さんまを刺身で食べたりする際には、臭みを消すため、生姜や、りんご類をスライスしたものが付け添えられているケースが多いです。
カンパチ
身は締まっていて、脂ものっているためこの魚を好む人も多いです。天然もののかんぱちは高級食材として流通することもあります。日本では養殖のものも広く出回るため、そちらもぜひ試してみてください。
サバ
サバは、マグロやアジと並んで世界的に消費量が多い魚で、焼き魚、煮魚、寿司、しめさば(※1)として多く食べられています。缶詰めにされることも多い魚です。生で食べることは少ないですが、関さばなどのブランドさばで、なおかつとれたて新鮮なものに限っては刺身で食されることもあります。DHAやEPAなどが多く含まれている点でも注目されている魚です。
※1:しめさば……塩と酢で振って身を締めたさば。
甘エビ
全身がピンク色から赤橙色をしているエビです。甲が柔らかく、身から離しやすいのが特徴です。生で食べるとグリシンやアラニンなどのアミノ酸に由来する甘みを感じられます。日本でもその甘みからか、子供に人気の魚介の一つです。
ほっき貝
ほっき貝は正式名称ウバガイ。北海道や東北地方では広く食用とされ、寿司ネタとしても一般的でしたが、現在では関東地方以西でも一般的に流通するようになりました。主に加熱済のむき身の冷凍状態で流通し、生や殻付きの状態の物は珍しく、なかなか目にすることはありません。
赤貝
食用として主に寿司や刺身に用いられる貝で、日本最高の歴史書「古事記」にも登場する魚介とされています。こりこりとした食感があり、貝類を好む人はよく口にする貝の一つです。
ホタテ
ほたては食用として広く漁獲される貝ですが、現在では養殖もされています。うまみ成分であるアミノ酸、グルタミン酸などが豊富に含まれるため濃厚な甘みを感じることができ、子供や女性が好む魚介です。
ウニ
日本の三大珍味のひとつとして広く知られ食されているウニ。ただし、一般的に市場に出回っているものは、採れたままではなく、塩やアルコールなどで加工されたものも多いです。
日本では、刺身や寿司ネタ、うに丼など基本的に生食することは多いです。独特の磯の香りがあり、大変濃厚です。
イクラ
イクラは先に紹介した鮭(サーモン)の魚卵のことを指します。一般的には加熱加工せずに塩漬けやしょうゆ漬けにして食べるものです。北海道では秋の味覚として家庭でも親しまれています。ぷちぷちとした独特の食感があり、広い世代から好まれるメニューでもあります。
フグ
食用として流通するのはトラフグ、マフグなどが有名です。特にトラフグは高級食材として知られ、高値で取引されます。主に旬である冬の時期に関西地方で食される魚ですが、毒があるため、通常の調理による毒の分解ができないため、素人による料理は大変危険を伴うとされています。しかし、反面大変美味とされており、特にふぐのはらわたは多くの食通をうならせるとも言われています。現在はお店ではふぐ調理の免許を持った人しか調理しましせんので、安心して食べて大丈夫です。
コイ
鑑賞用のイメージが強いかもしれませんが、コイは食用もされます。食用のコイは福島県からの出荷が最多で、旨煮や甘露煮にするのが一般的です。また、洗い(※2)にして酢味噌などにつけて食べることもあります。地域によってはコイの洗いというメニューを好んで食べる場所もありますが、寄生虫病を発生させる可能性もあるため、あまり一般的ではありません。
※2……洗い:刺身を冷水につけ、身を引き締める調理方法。歯応えが増す。
サザエ
日本では代表的な食用貝類のひとつです。刺身として食した際には、独特の苦みを感じる場合もあり、好みが分かれる食材でもあります。
アワビ
高級食材として知られている貝です。こりこりとした歯触りが特徴です。地方によっては肝も珍味として食べられることもあります。海外においてもこのアワビを干したものを使用した料理があるなど、国内外で親しまれている食材です。
キビナゴ
キビナゴも刺身として食される食材で、その身は半透明で、小骨が多いのですが、脂肪分が少なく甘みがあるのが特徴です。食べる際はしょうがしょうゆや酢味噌で臭みを消して食べるのが一般的です。
馬刺し
魚介類ではありませんが、日本の居酒屋などでは刺身とともに馴染みのある馬刺しは、その名の通り、馬の肉です。馬肉をしょうが、にんにくなどの薬味とともに食べます。刺身より味が濃く食べごたえのある味です。
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ブランド魚の刺身
魚は漁獲される地域などによって、同じ種類でも食味が変わります。食味がよい魚はブランド魚と呼ばれ、珍重されています。その土地ならではのご当地グルメでもあるので、ぜひ食べてみてください。ここではその幾つかを紹介します。
大間マグロ(青森)
まず青森県の大間マグロです。味が濃く身の色合いもよいという特徴があり、鮮度が落ちるのを避けるため少し前まではあまり一般に出回らない魚として有名でした。いまではブランドマグロとして、世間一般に広く知られるようになりました。
関サバ(マサバ)
大分県の佐賀関沖・関さば(マサバ)と大分県の佐賀関沖・関アジ(マアジ)も有名です。一般的にアジもさばも回遊魚として知られていますが、佐賀関周辺のさば・アジは周辺海域に居つく傾向があります。豊予(ほうよ)海峡の急流域で育った関サバや関アジは、他のアジやサバに比べて歯応えが優れています。
鮭児(けいじ)(北海道知床)
北海道知床・鮭児(けいじ)はまぼろしの鮭と呼ばれる程希少な魚で、水揚げ量は一年で480尾前後と言われています。非常に脂がのっており、全身トロ状態という風に称されます。
青刀(せいとう)(北海道・釧路)
サンマ特有の青臭さがなく、トロのようなトロける食感なのが特徴です。青魚が苦手な方でも食べやすいサンマです。
松輪サバ(神奈川三浦半島)
神奈川三浦半島で穫れるのが松輪サバです。腹部が張り出し丸々としており、身が脂がのっているために桜色に見え、普通のマサバとは違いが一目瞭然です。7月以降が一番脂がのっておいしい時期と言われていますが、漁獲量が少ないために珍重されています。
刺身の付け合わせについて
日本人は幼いころから刺身に親しんでいますが、海外の方の場合、魚特有の生臭さや食感が苦手と感じることも多いようです。そんな時に役に立つのが、刺身に付け添えられるつまや薬味です。
刺身の盛り付けには大根や大葉などの野菜や海藻なども用いられることが多く、その付け添えのことをつまといいます。このつまも美しく切って造り、刺身にそえて盛りつけ、一緒に食べる事が一般的です。
スーパーマーケットの鮮魚コーナーの刺身棚にも、刺身と一緒につまも美しく盛り付けられたものが多く見られます。たいていの場合、つまは、生のままのダイコンやワカメなどが多いのですが、これも旬の野菜や野草、山菜など様々でバリエーションも豊富です。
さらに、その付け添えの中でも、刺身に対して特に風味をあたえるものを薬味と呼びます。刺身の薬味は海外でも知られている代表的なワサビに加えて、ショウガやウメ、からしなどがあります。
刺身の食べ方
ここでは基本的な刺身の食べ方をご案内します。といっても、細かいルールはありません。まず、小皿にしょうゆを用意しておきましょう。それからお箸で刺身をとり、しょうゆをつけて食べればOKです。
薬味の使い方
海外の方が迷うのが薬味の使い方ではないでしょうか。
わさび
わさびはを刺身に少量(米粒ひとつぶくらい)載せてから、しょうゆをつけて食べます。
わさびをしょうゆに混ぜて食べる人もいます。マナー違反ではありませんが、たくさん入れすぎて辛くなってしまうことも。また、わさびの辛味やうまみを殺してしまうとも言われていますので、刺身に載せて食べるのがオススメです。
わさびはつけすぎると、ツンとした辛味や刺激が強くなり涙が出たり舌が痺れたりと言った状態になる事がありますので、気をつけてください。
辛いのが苦手な人や子供は無理してつけなくてOKです。
しょうが
アジ、カツオなどの刺身ではわさびの代わりにしょうがが添えられています。食べ方はわさびと同じです。わさびをつけて食べたしょうゆ皿とは別に、しょうゆ皿を用意してわさびとしょうがは混ざらないようにして食べてくださいね。
「日本のことば事典「薬味」 」の記事もあわせてご覧ください。
刺身のカロリーの目安
さて、美味しく食べたい刺身ですが、やはり気になるのはカロリーですよね。和食は洋食や中華に比べてローカロリーでヘルシーと言われていますが、実際、刺身のカロリーはどの位なのでしょうか。人気の高い具材のカロリーを挙げてみましょう。
一般的に1人が食べる量をグラム(g)で表記し、カロリーを見ていきます。
マグロ/赤身 30g 38kcal
アジ25g 30kcal
ホタテ25g 24kcal
イカ25g 22kcal
甘エビ 3尾15g 13kcal
上記以外に、刺身によく使われる食品の分量とカロリーは下記です。
マグロ/トロ 30g 103kcal
サンマ 25g 78kcal
ハマチ 30g 77kcal
マイワシ25g 54kcal
サバ 25g 51kcal
キングサーモン25g 50kcal
タイ 25g 49kcal
カツオ(秋獲) 25g 41kcal
ヒラメ 25g 31kcal
スズキ25g 31kcal
カツオ(春獲り) 25g 29kcal
たいらがい 25g 25kcal
タコ 25g 25kcal
しゃこ5尾25g 25kcal
フグ 25g 21kcal
ミル貝 25g 21kcal
かわはぎ25g 20kcal
ホッキ貝25g 18kcal
赤貝 3個24g 18kcal
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刺身を使った料理
刺身サラダ
また、刺身を使った料理として、サラダの上に刺身を乗せた刺身サラダもあり、居酒屋などで気軽に楽しむことができます。このメニューの利点は、魚と一緒に野菜も食べることができるという事です。通常のドレッシングもオススメですが、刺身との相性を考えしょうゆベースのドレッシングや、ワサビを風味を生かしたドレッシングなどでさっぱりといただくことができますよ。
寿司
刺身を使った料理で一番有名なのは、寿司。寿司にも種類があり、酢飯の上に刺身を乗せて握った握り寿司や酢飯とグザイを混ぜたちらし寿司、のりで酢飯と具材をまいた巻き寿司、などがあります。
たたき
さらに、たたきという調理方法もあります。食材を1~2センチ大に切り、香草やみそをのせ、それらをよく混ぜながら包丁で文字通りたたくようにして細かく切り刻む方法、また食材をブロック状に切り、数本の串を打って日の上にかざすという方法。アジやカツオなどの刺身を使ったたたきが一般的です。
刺身としてだけでなく、アレンジを加えることで魚介をより一層楽しむことができますね。
刺身を食べられる場所と価格
最後に、日本で刺身が食べられる場所についてご説明しましょう。まず一番わかりやすいのは寿司屋です。
一般的には握り寿司が出てくるのが普通ですが、回転寿司ではなくカウンターのお寿司やさんであれば、刺身のオーダーをすることができます。板前職人が目の前でさばいて切り分けてくれるのを見ることができるので、お寿司やさんに行ったらぜひオーダーしてみるのもいいですね。
さらに、日本料理レストランでもメニューの中に刺身が記載されている場合もあります。その場合はメニューオーダー時に店員さんに注文してみましょう。小鉢皿、もしくはさらに盛り付けられた刺身や刺身の盛り合わせを楽しむことができるでしょう。
また仲間とくつろぎながらお酒を楽しめる居酒屋でも、同じように刺身をオーダーすることができます。
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刺身の価格
刺身の価格は居酒屋であれば、2人前程度であれば、ものによって500円〜1,200円くらい。高級店では800円〜1,600円くらいです。
たくさんの種類が食べたいときや、3、4人で食べたいときにオーダーしたい3〜5種類の刺身が一皿になった「盛り合わせ」は、1,000円〜1500円前後、高級店では2,000円〜3,500円くらいです。
日本への訪日外国人の方が、もっと増えますように!