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日本のことば事典:「山車」〜神輿との違い・山車が出るお祭りなど〜
日本の祭りで登場する山車や屋台について紹介。地方によって異なる呼び名や、お神輿との違い、山車が登場するお祭りなど、山車に関するあれこれをまとめました。
山車(だし)・屋台(やたい)とは
山車・屋台とは、日本の祭りで登場する、飾りがついた巨大な台車のこと。大人数で曳いて動かします。たいていは縦に長くつくられており、高さは1mほどのものから10m以上に及ぶものまでさまざまです。
山車や屋台は、地域や祭りによって呼び名が変わります。
笠鉾(かさぼこ)……埼玉県の秩父夜祭など
だんじり……主に関西地方での名称。大阪の岸和田だんじり祭りなど
山鉾(やまほこ)……京都の祇園祭など
山笠(やまかさ)……福岡の博多祇園山笠など
曳き物(ひきもの)……東京の神田祭りや長崎の長崎くんちなど
このほかにも、曳山(ひきやま)や、単に「山」と呼ぶこともあります。
同音異義語の「屋台」に注意
焼きそばやわたあめ、りんごあめなどの軽食を提供する移動式の店舗も屋台と呼ばれます。どちらも同じ漢字で同じ発音ですが、まったく違う意味なので注意しましょう。
山車と神輿の違いとは
日本の祭りで登場するものの代表に神輿(みこし)があります。神輿と山車の違いは、
・山車は人が引くもの、神輿は人が担ぐもの
・山車には人が乗ることができるが、神輿に人は乗れない
といった点が挙げられます。
これらの違いには、山車と神輿の成立の違いが影響しています。
山車の成立・特徴
©︎JNTO
山車とは、もともと山岳を模してつくられたもの。その昔、日本で山に神(sprit)がいると考えられていた民間信仰(※1)の名残です。神は山頂の木や岩を依り代(※2)として天から降りてくると考えられていました。
祭りの山車は、神が降りてくる依り代として用意されたもの。山車の上に載った鉾や剣は、神がそれを目印にできるようにとの思いが込められています。山車には、神をもてなすために人が乗ることができます。
※1:民間信仰……組織を持たず、地域で信仰されているもの。
※2:依り代……神霊が依りつく物、エリアのこと。
神輿の成立・特徴
一方、神輿はおもに神道のお祭りで登場します。神社で祀られている神は、主に日本神話に登場する人物や、氏神(うじがみ)と呼ばれるその土地に生まれた者を守る神です。神輿はいわば、これらの神々に神社の周辺の地域をまわってもらうための乗り物。
お神輿に神が乗って町をまわることで、穢れを払い、福を分けてくれると考えられています。神聖な乗り物ですので、人は乗ることができません。