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フォトスポットも!神戸「兵庫県立美術館」で安藤建築の世界観に入り込む
日本を代表する建築家・安藤忠雄氏の世界観を堪能できる兵庫県立美術館は、国内外から多くの建築ファンが訪れるミュージアムです。2019年には安藤氏の建築を紹介するAndo Gallery もオープンしました。
兵庫県立美術館とは?
南側からの外観
1995年神戸の街を襲った阪神淡路大震災。大きな被害を受けた神戸に、2002年「文化の復興」のシンボルとして兵庫県立美術館がオープンしました。
自然と人が調和した環境に佇む美術館は、世界的建築家・安藤忠雄氏の設計で誕生。年間約90万人の来館者数を誇る美術館となりました。コレンクションや企画展の魅力のみならず、建物の鑑賞を目的に足を運ぶ建築ファンの方も多いそうです。
今回は、兵庫県立美術館で味わえる安藤建築の魅力と2019年に新しくオープンした「第2展示棟」(Ando Gallery)を紹介します。
フォトジェニックな安藤建築を体感してみよう!
1. 場所と場所、人と人をつなぐ階段を楽しむ!
さまざまな視点から安藤建築をじっくり鑑賞してみましょう。まずは、迷宮のように入り組んだ構造、場所と場所を繋ぐ役目を担っている階段の数々に注目してください。上の螺旋階段は「円形テラス」。
円形テラスは、地下1Fから地上2Fを屋外で繋いでいます。垂直方向だけでなく、美術館内のギャラリー棟と展示棟を結びつけている重要な場所。
無機質なコンクリートの素材感と、頭上に広がる空とのコラボレーションが、フォトジェニックなスポットです。
3Fの企画展示室へと繋がるエレベーターホールの階段は、ピラミッドの内部を思わせる複雑な構造。
美術館の海側にある屋外エリアをつなぐのは「大階段」。 天気のよい日には、階段に腰掛け、目の前に広がる港の風景や夕焼け空を楽しむことができます。遊歩道もあり日常でもなじみのある散歩と、美術館の非日常感を結ぶ階段でもあります。
2. 光・影・風を楽しむ!
4Fの屋外スペースにある「風のデッキ」。山側には六甲山の峰々、海側には運河や商業施設になっている倉庫群が見えます。建屋と建屋の間に、爽やかな風が吹き抜ける場所です。人気の写真スポットで、ファッション関係の撮影が行われることもあるそうですよ。
屋内を歩いていても、光と影のコントラストが印象に残ります。魅力あるスポットを思い思いに発見して楽しんでください。
3. 色鮮やかな青りんごのオブジェで撮影を楽しむ!
2018年12月に、海のデッキ上に屋外オブジェがお目見えしました。安藤忠雄氏のデザインによる『青りんご』です。こちらはアメリカの詩人、サムエル・ウルマンの詩『青春』をモチーフにデザインしたそう。
「いつまでも挑戦・成長を続ける」安藤氏自身を表すような、永遠の青春が感じられるシンボルです。
オブジェは、幅・奥行・高さそれぞれ2.5メートル。FRP(繊維強化プラスチック)素材で作られています。観るだけという作品が多い中、触ってもOKのオブジェを前に、多くの人が、思い思いのスタイルで記念写真を撮っています。
撮影後は「#兵庫県立美術館」や「#AndoGallery」「#青りんご」のハッシュタグをつけて、SNSに投稿してみましょう。くれぐれも節度ある撮影を心がけてくださいね。
第2展示棟(Ando Gallery)を訪ねよう!
2019年5月、美術館の「さらなる賑わいづくり」をめざして第2展示棟(Ando Gallery)が増設されました。観覧料は無料。安藤氏の作品模型やドローイングの展示を中心に、建築文化を紹介するこの空間は、開設から3ヶ月で2万人以上の来場者を記録した人気スポットです。
2F:常設コーナー
ギャラリーへ入ると、「兵庫/復興」の常設コーナーがあります。兵庫県にある安藤氏の代表作や、1995年に起きた阪神淡路大震災からの復興に関わるプロジェクト(当館を含む)などを紹介するエリアです。
東側には、「原点/仕事」の常設コーナー。1976年に建てられた初期の代表作『住吉の長屋』のパネルや1/10コンクリート模型があります。長屋(ながや)とは、集合住宅のことで、複数の住宅が横方向に連なり、壁を共有する住宅様式です。
海外でも名高い『光の教会』のパネルや1/10コンクリート模型も展示されています。礼拝堂の正面に切り込みが設けられ、礼拝に訪れた人々を十字の光が包み込むという精神性の高いデザイン。
3F:最新プロジェクトの展示コーナー
ギャラリーの階段を上がると、壁一面に設えられた本棚やテーブル、椅子、模型が目に入ります。本棚にある、番号ラベルの付いた建築関係の本は自由に閲覧できます。
取材時には安藤氏が手掛けた瀬戸内の直島一連のプロジェクトが展示されていました。有名な地中美術館を含め、直島に合計7つの建築を立てたプロジェクトです。
日本や世界各国で完成した、あるいは進行中の最新プロジェクトを、模型やパネルで詳しく紹介するコーナーもあります。
取材時には、イタリア・ベネチアの現代美術館「プンタ・デラ・ドガーナ」の1/30木模型、フランス・パリで建設中の美術館「ブルス・ド・コメルス」の1/100木模型などが展示されていました。定期的に展示の入れ替えがあるのでご注意ください。
2020年に大阪で開館予定の「こども本の森 中之島」に関する展示。次世代の育成に熱心な安藤氏の思いが伝わってきます。
Ando Galleryインフォメーション
観覧時間は、10:00〜18:00。特別展開催中の金・土曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前までです。休館日は美術館と同じ月曜日ですが、祝、休日の場合は翌日火曜。詳細はHPをご覧ください。
海外からの来館者に向けた取り組み
エントランスホールの中央には、インフォメーションとチケットブースがあります。日本語以外に、英語、中国語、韓国語のパンフレットを用意。Ando Galleryや建物の鑑賞は無料エリアですが、展覧会にはチケットを購入する必要があります。お支払いは現金のみ(2019年9月現在)のためご注意ください。
今回は、兵庫県立美術館を安藤建築という視点からご紹介しました。多くの人々が芸術の絆で結ばれ、大きな自然災害から立ち上がってきた象徴とも言える美術館です。ぜひお訪ねください。
In cooperation with 兵庫県立美術館、安藤忠雄建築事務所
日本文化、特に絵画や工芸品が好き。福岡、京都、大阪、ベルギー、アメリカを経て現在は神戸在住。座右の銘は「住めば都」。