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最高に贅沢な3時間!リゾート列車「雪月花」でゆく新潟絶景旅
一生に一度の、最高に贅沢な旅をしてみませんか? 今回ご紹介するのは、雪深い新潟を走るリゾート列車「えちごトキめきリゾート 雪月花」。3時間の列車旅の中で、雄大な山々や海、田園地帯など日本の原風景に出会い、高級料理を心ゆくまでいただきましょう!
リゾート列車「雪月花」とは?
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
移動することそのものが旅の目的になる、そんなリゾート列車に乗ってみませんか?
今回ご紹介するのは、「えちごトキめきリゾート 雪月花(せつげっか)」(以下、雪月花)。日本の中部・新潟エリアを走る豪華列車で、上越妙高(じょうえつみょうこう)駅〜(妙高高原駅折り返し)〜糸魚川(いといがわ)駅間を約3時間で結んでいます。
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
車内180度に広がる雪景色、雄大な山々、窓いっぱいに広がる海、そしてこだわり抜かれた料理……。本記事では、雪月花にMATCHA編集部が実際に試乗! あふれる魅力をあますところなくレポートします。
雪月花でしか味わえない3つのポイント
雪月花が運行するのは、基本的に週末の午前と午後、それぞれ1本ずつ。限られた人だけができる体験ですが、予約は数ヶ月先までいっぱい。何度も利用するリピーターも多いそうです。
そんな雪月花の車内は、通常の列車では味わえない楽しさにあふれています。まずはその魅力を簡単にご紹介しましょう。
ポイント1.広々ととられた窓
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
まず注目してほしいのは、列車に使われる窓としては日本最大級の窓! 雪月花は、広々ととられた窓が最大の特徴の1つです。
乗車中はこの窓の外に次々と絶景が現れるので、カメラの準備をお忘れなく。
特に冬から春にかけての時期には、雪の中を走行します。新潟は冬が寒い地域で、中でも雪月花が走る妙高エリアは、豪雪地帯として有名。
そんな雪の中を走れば、ご覧のように180度が雪景色に!
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
雪の時期でなくとも、春には桜、秋には紅葉。また日本の原風景といえる田んぼや山、海、そして人々の田舎の生活など、乗車する3時間の中で、凝縮された日本の風景を楽しめるのです。
ポイント2.洗練された、最高級の食事
雪月花で特にオススメしたいのが、食事。乗車すればもれなく、食事がついてきます。
食事の内容は午前便と午後便で異なります。午前は、ミシュランガイドで2つ星を獲得しているシェフが監修したフレンチ。午後は、新潟の地元で200年続く料亭が提供する和食。どちらも最高級の新潟の食材を存分につかった贅沢な料理が堪能できます。
具体的には、どんな料理なのでしょうか? ……それは、あとのお楽しみ。
ポイント3.地元の人との触れ合い
雪月花は、途中3、4つの駅に停車します。それぞれ10〜20分ほど停車し、駅周辺を散策したり、新潟みやげを購入したりできますよ。停車駅には、地元の人がおみやげを売りに来たりするため、交流も楽しめます!
それではさっそく、リゾート列車・雪月花の旅に出かけましょう。
10:19 上越妙高駅を出発
上越妙高駅からも雪山が見える
今回MATCHA編集部が乗車したのは、午前便。午前の便は、上越妙高駅から出発します。東京から上越妙高駅までは、新幹線「はくたか」で約2時間。東京駅を7:52に出発し、9:54に上越妙高駅に到着しました。
上越妙高駅は、新潟県の南西に位置する内陸の駅。午前便ではそこから北に進み、日本海に面した糸魚川駅を目指します(※1)。えちごトキめき鉄道の改札でチケットを受け取り、スタートです。
※1:午後の便は逆周りのルート(糸魚川駅を出発し、上越妙高駅で解散)となります。
出発時刻になると、駅のホームにかわいらしい子どもたちが! 乗車時には不定期で、地元の人たちが見送りに来ることがあります。この日は近くの保育園に通う子どもたちが来てくれました。
ほかにも駅によってジャズの演奏や、戦国時代の武将・上杉謙信(うえすぎけんしん)公の姿をした人が出迎えてくれるなど、不定期でイベントが開かれ、旅の気分を盛り上げてくれます。
まずはウェルカムドリンクで乾杯!
席に着くと、ウェルカムドリンクが振る舞われます。アルコールが飲める方は、ここでしか飲めないスパークリングワインを(※2)。
新潟のワイナリー「フェルミエ」が、雪月花のためにオリジナルプロデュースしたワインです。
※2:サイダーや、リンゴジュースなどのソフトドリンクもあります。
ストレスのない環境でのびのび育てられたぶどう。そこから作られたワインは、華やかでフレッシュな香りがさわやかに立ち上り、お酒が苦手な人でも楽しめるおいしさ。窓から見える雪景色を眺めながらいただきましょう。
一息ついたら、車内を探検!
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
少し落ち着いたら、車内を探検してみましょう。雪月花は2つの車両からなり、それぞれに座席があります(すべて指定席)。
1号車は新潟県産の杉の木・越後杉(えちごすぎ)で統一され、窓に面したカウンター席など明るく開放的な雰囲気。
1号車の先頭部分にあるハイデッキは誰でも入れるフリースペース。
目の前をさえぎることのない大窓と周囲の窓をあわせて、180度の景色を楽しめます!
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
2号車はシックで落ち着いた雰囲気。対面座席で2人だけの時間を過ごせますよ。
2号車には誰でも利用できるカフェ・バースペース「さくらラウンジ」が。ここで提供されるのは、沿線にある20蔵から選ばれた地酒(日本酒)や、地元のワインなど。
新潟は日本酒を製造する蔵元の数と、1人あたりの消費量が日本一という日本酒大国です。その中でも厳選された日本酒をいただくことができますよ(※3)。
※3:カフェ・バーでの飲食は有料です。
遠くには雄大な雪山が
カフェ・バーでグラスを傾けていると、窓の外に、雪化粧をした妙高山(みょうこうさん)が現れました。
雪月花でまず出会える景色は、雄大な山々。妙高山は標高2,454メートルある、新潟を代表する山です。
いつの間にか、周囲は雪景色に。ここから、停車する二本木(にほんぎ)駅を目指してさらに標高を上げていきます。
10:35 二本木駅で歴史を感じる
最初の停車駅・二本木駅に到着しました。標高200メートル、周辺は多いときには2〜3メートルの雪が積もる豪雪地帯です。上越妙高駅が標高70メートル程度なので、100メートル以上上がってきたことになります。
停車駅では車掌さんが駅の歴史などを解説してくれる(日本語)
雪月花の停車駅は歴史が感じられる駅が多く、二本木駅もその1つ。木造の駅舎や赤レンガ造りのランプ小屋(いずれも1910年築)、1922年に建てられた木造の雪囲いなどが今も現役で使われています。これらの建物は2019年にも国の有形文化財に登録される見込みです。
11:14 妙高高原駅でおみやげタイム
次に停車する妙高高原駅では、おみやげ屋さんに立ち寄りましょう。ここには新潟のおみやげがところ狭しと並んでいます。
ずらりと並ぶのは、すべてかんずりが入った小瓶
オススメは、かんずりという調味料。唐辛子を雪にさらし、麹(こうじ)や柚子(ゆず:柑橘類の一種)、食塩などを加えた発酵食品です。
唐辛子と聞くと辛そうですが、雪にさらすことで唐辛子のアクと辛みがまろやかになります。香りと風味がよく、塩味がしっかりとついており和食との相性は抜群。味噌汁に入れたり焼き鳥につけたり、あるいは自分の国の料理に合わせてみるなど、ぜひ料理のトッピングにお試しください。
11:30 ミシュランレストランのシェフが手がけた最高の昼食!
かんずりの話をしていたらお腹が空いてきました。おみやげを購入して車内に戻ると、昼食が入ったお重が!
その姿は、日本の正月に食べるおせち料理のよう。でも、中身はまったく違います。さっそく開けてみましょう。
現れたのは、フレンチの豪華箱詰めフルコース。フレンチですが、食材のほとんどは新潟産のものが使われています。
料理は3段組みで、彩り豊かな計8品が詰まった2段と、サンドウィッチ、バゲットが入った1段です。これは東京・六本木にあるミシュラン二つ星レストラン「Restaurant Ryuzu」のオーナーシェフ・飯塚隆太(いいづか りゅうた)氏(新潟県十日町市出身)がレシピを考案し、新潟の老舗ホテルのシェフが腕をふるった料理。
その料理は、何段階にも驚きを与えてくれるでしょう。まずは、見た目に楽しいその彩り。新潟の新鮮な野菜、海や山の食材が、料理によって新しい命を与えられたように生き生きと輝きます。
次に驚きをくれるのが、食感。シャキシャキとした野菜の歯ごたえが楽しめる「カラフル野菜巻き」、濃厚なクリームがなめらかにとろける「海老のフラン」、新潟のブランド豚「妻有(つまり)ポーク」の歯ごたえが存分に味わえるサンドウィッチ……。一品、一口ごとに食感も変化していきます。
そして、想像を一口ごとに超えてくるその味には、最後まで驚くことでしょう。
筆者のお気に入りは、サンドウィッチと茄子のオムレツ。サンドウィッチには、先ほどご紹介した“かんずり”が隠し味に使われています。料理はお酒にも合う味付けなので、お酒好きにもたまりません。
※:季節によって、料理メニューは変更があります。
食事の楽しみは、デザート。3種類の異なる味わいが、のちのちまで余韻を残します。
今回ご紹介したのは午前便の食事ですが、午後には、新潟・糸魚川市の割烹料理店・鶴来家(つるきや)が作る絶品和食料理をいただけます。
12:48 旅の終盤、日本海へ
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
さあ、料理を楽しんでいるうちに列車は雪深い高地を北上し、海側へとやってきました。
目の前には、雄大な日本海! 夏は夕陽、冬は荒波。この海もまた、季節ごとの表情を見せてくれます。
海沿いの街を見ていると、黒い瓦の家が多いことに気づきます。この一帯はあまり雪が降ることがなく、海沿いで風が強いため、風に強い黒瓦の家が多いのだそう。窓からはその土地に住む人々の暮らしも垣間見ることができます。
途中、トンネルの中にある筒石(つついし)駅を通過する際には照明が落とされます。車内には柔らかく灯りがつき、寝台列車のようなロマンチックな雰囲気に。
13:10 おみやげを手に、糸魚川駅に到着
気づけばあっという間に3時間が経ち、終着駅の糸魚川駅に着きました。旅の最後には、カステラとお米のおみやげがもらえますよ!
解散後は糸魚川観光など、さらなる旅を楽しもう
ヒスイ海岸では宝石の一種「ヒスイ」が取れ、発見すれば無料で持ち帰ることができる
糸魚川駅は海に面し、新鮮な魚介類が食べられる寿司店も点在するエリア。こちらでおいしいお寿司を楽しむのもよいでしょう。ほかにも宝石のヒスイが取れる「ヒスイ海岸」や、10体の仏像だけを展示する個性的な美術館「谷村美術館」などの観光スポットがあり、糸魚川駅内でレンタサイクルを借りて回ることができます。
また、金沢へもアクセスしやすく、同じく新幹線「はくたか」で約50分で金沢駅に到着します。東京へ戻る際は、新幹線「はくたか」で2時間程度。
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雪月花で、極上の3時間を
雪月花に乗車する3時間、食事や駅での降車を除けば、ただ景色を楽しむだけです。
でもそれが、とっても忙しい。美しい山々に、清らかな川。広大な海……次々に現れる息をのむ絶景、笑顔で手をふってくれる地元の人々。そして、それらを眺めながらいただく最高の料理。雪月花では移動すること、それ自体が最高のアクティビティとなります。
Picture courtesy of ETRえちごトキめき鉄道株式会社
乗車時間は3時間。でも、一生心に残る旅。あなたも一緒に出かけてみませんか?
予約方法・料金など
雪月花は、完全予約制で、土日祝日に運行しています(年末年始を除く)。毎月1日に、4ヶ月先の月間スケジュールを公式HPで発表し、予約が開始されます。
料金は、17,500円(食事つき/大人・子ども同額)。予約は電話のみ。詳細は下記までお問い合わせください。
予約センター電話番号:
025-543-8988 (英語対応可)
問い合わせフォーム
https://www.echigo-tokimeki.co.jp/setsugekka/contact/
In cooperation with ETRえちごトキめき鉄道株式会社
MATCHA Editer.